
「亡くなった父の不動産や現金を相続すると、けっこうな相続税がかかりそう…遺産から払えるかな?税負担が大きかったらどうしよう」
相続税の納付期限までに遺産分割が完了していれば遺産から払うことが可能です。遺産分割が完了していなくても、下記のような方法で相続税の支払いを検討できます。

ここまで読み「遺産から払えてよかった」と思うのはまだ早いです。実は多くの人が相続税の納付期限が迫ってから焦り、下記のようなミスに陥っています。
【相続税の納付期限が迫ったときのトラブル例】
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本記事では、相続税を遺産から払う方法や遺産だけでは足りないときの対処法などをまとめて解説します。
相続税は期限までに納付できないと、延滞税などのペナルティ対象になる可能性があります。「相続税が足りない」と焦る必要がないように、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
1章 相続税を遺産から払うことはできる

相続税は、故人の遺産を受け継いだ相続人全員がそれぞれの相続税額を納める必要があります。
故人の遺産から相続税を支払いたい場合は、相続税の申告・納税期限までに遺産分割協議や預貯金の名義変更手続きを完了させる必要があります。
原則として、遺産分割協議と銀行での払戻し手続きが完了し、相続人が預貯金を受け取れていれば、そのお金から相続税を納められます。
相続税を遺産から払うときの考え方は、下記のとおりです。
- 相続税の納税までに遺産分割が完了していれば遺産から払える
- 相続税には連帯納付義務がある
- 相続税の立替えは可能だが注意が必要
それぞれ詳しく解説していきます。
1-1 相続税の納税までに遺産分割が完了していれば遺産から払える
相続税は財産を受け継いだ相続人全員が、それぞれの納税分を払わなければなりません。
故人の遺産から相続税を払うこともできますが、その場合は相続税の納税期限までに遺産分割協議や預貯金の名義変更手続きを完了させなければなりません。
故人が遺言書を用意していなかった場合、預貯金の相続手続きを行うまでには下記の調査や話し合いが必要です。
相続税の申告・納付期限は、原則として、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。上記の調査や話し合いを自分たちで10ヶ月以内で終えようとすると難しいケースもあるでしょう。
被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内にすべての財産に関する遺産分割協議や相続手続きを終えられない場合は、下記の方法で預貯金のみ遺産分割してしまう方法を検討してみてください。
【預貯金のみを遺産分割する方法】
(※特例の適用を受けるためには、当初の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておく必要があります) |
上記の方法により遺産から相続税を払おうとした場合、相続人全員で預貯金の遺産分割方法を決定して、合意しなければなりません。
相続人間で預貯金の遺産分割方法に揉めた場合、上記の方法は使えないので注意しましょう。
自分の預貯金から相続税の納税資金を用意するのが難しく、遺産から相続税を払いたい場合は、税理士(相続税の相談・申告)や司法書士・弁護士(相続手続き・遺産分割のサポート)に依頼することもご検討ください。
代償分割(特定の相続人が不動産などを取得する代わりに、他の相続人に自分のお金などを支払って公平を図る方法)を検討していて現金が足りないと感じている場合は、下記の記事も参考にしてみてください。
代償分割で現金がない時の対処法6つと注意点をわかりやすく解説
1-2 相続税には連帯納付義務がある
相続税は各相続人が納める税金ですが、相続人全員に連帯納付義務が課せられています。
【連帯納付義務とは】 相続税は、原則として各相続人が自分の納税分を支払います。ただし、各相続人は、相続によって受けた利益の価額を限度として、他の相続人の相続税についても連帯して納付する義務があります。 |
そのため、相続人の一人が相続税を払わなかった場合、他の相続人に未納通知が届きます。
未納通知を放置すると、他の相続人に対しても相続税の納付通知書が届き最終的には督促状が届いてしまいます。「自分の分の相続税は払っている」という言い訳は、税務署に認めてもらえないのでご注意ください。
1-3 相続税の立替えは可能だが注意が必要
遺産によっては相続税が高額になってしまい、支払い能力のある相続人がまとめて払い、立替えておくケースもあります。
他の相続人の相続税を立て替えた場合、立て替えた人には、その金額の返済を求める権利があります。
この権利を放棄して返済を免除すると、立替額を贈与したもの(みなし贈与)になり、立替えてもらった相続人に対して贈与税がかかる恐れがあるので注意しましょう。
なお、相続税を立替えた金額が贈与税の基礎控除額である年間110万円以内の場合は、贈与税が発生することはありません。
みなし譲渡と判断されるケースや回避方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。
2章 遺産から相続税の納税資金を用意する方法
故人の遺産によっては相続税額が数百万円程度かかる場合もあるため、相続人の預貯金から相続税を支払えないケースもあるでしょう。
相続税の納税資金は下記の3つの方法でも用意できます。
- 預貯金の仮払い制度を利用する
- 生命保険を活用する
- 相続税の申告期限までに遺産分割を完了させる
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 預貯金の仮払い制度を利用する
銀行が口座名義人の死亡を確認すると銀行口座を凍結してしまいますが、仮払い制度を利用すれば一定額まで亡くなった人名義の預貯金を引き出せます。
【預貯金の仮払い制度とは】 ・遺産分割が成立する前でも、相続人が亡くなった人名義の預貯金の一部を単独で払い戻せる制度 <預貯金の仮払い制度に必要な主な書類>
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参考:一般社団法人全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」
仮払い制度を利用すれば、遺産分割協議書の提出や相続人全員の合意は必要ありません。
相続開始時の口座の預貯金額×1/3×相続人の法定相続分まで引き出すことができます。
なお、仮払いの上限は「1つの金融機関につき150万円」までのため、上記の計算式で150万円を超えてしまった場合には、その金融機関からは150万円までしか引き出せません(複数の金融機関に口座がある場合は、各金融機関ごとに150万円まで引き出し可能です)。
預貯金の仮払い制度を利用すれば、手元に現金を確保する流れを作り故人の遺産から相続税を払えます。
しかし、相続税が高額なケースや相続財産のほとんどが土地であり預貯金の残高が少ないケースでは、納税資金を用意できない可能性もあるでしょう。
2-2 生命保険を活用する
故人を被保険者とした生命保険に加入しておけば、生命保険金を相続税の納税資金に充てられます。生命保険金は相続財産ではなく受取人の財産として扱われるので、遺産分割の対象にならないからです。
また、生命保険は保険会社が被保険者の死亡を確認した段階で振り込まれるので、遺産分割協議や相続手続きが完了していなくてもまとまった現金を用意できます。
ただし、故人が保険料を負担していた死亡保険金は、民法上は相続財産でなくても、税務上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になるので注意しましょう。
相続人が受け取る場合は「500万円×法定相続人の数」で計算される金額までの非課税枠(非課税限度額)があります。
生命保険については、下記の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
生命保険(死亡保険)の相続税はいくら?上限額や計算方法を解説
2-3 相続税の申告期限までに遺産分割を完了させる
本記事の1章でも解説しましたが、相続税の申告、納税期限までに遺産分割協議や預貯金の名義変更手続きを完了できれば、遺産から相続税を支払えます。
ただし、預貯金の解約や名義変更手続きを終えるには、事前に下記の対応を進めておく必要があります。
- 故人が生前のうちに遺言書を用意しておく
- 遺言書がない場合は、相続人全員で相続人調査(戸籍謄本の収集など)や相続財産調査、遺産分割協議を完了させ、遺産分割協議書を作成する
生前のうちに遺言書を作成しておくと、遺産分割協議をせずに預貯金の名義変更手続きを行えます。遺された家族や親族の負担を軽減したいのであれば、遺言書を作成しておくと良いでしょう。
また、遺産のなかに不動産があり相続税の支払いのために売却を考えている場合は、買い手を見つけて決済するまでに数ヶ月単位の時間がかかります。
限られた時間のなかで現金化するには、相続手続きを開始する段階から売却の計画を立てて戦略的に進める必要があるでしょう。
3章 相続税を遺産から払えないときの対処法
ここまでの方法を使っても遺産から相続税を払うことが難しい場合は、下記のような対処法も検討してみてください。
遺産から相続税を払えないときの対処法 | 概要/メリット/デメリット |
相続財産(不動産や有価証券など)を売却する | 不動産や有価証券などの相続財産を売却して現金化する |
代償分割をする | 財産を多く引き継いだ人が他の相続人に対して自身の財産から代償金を支払う |
売却を予定している不動産の遺産分割を先に行う | 相続人全員の合意を得て先に売却予定の遺産分割を進めて早く売却できるようにする |
相続放棄をする | 相続税負担が大きく相続してもマイナスになる場合は相続放棄をする |
例えば、相続した遺産のほとんどが不動産の場合は、期限内に不動産を売却して、いち早くまとまった現金を作る戦略を立てる必要があります(詳しくは「4-1 不動産の割合が多い場合:いち早く売却活動を開始する」で解説しています)。
上記以外に、下記のような対処法も検討できますが、この3つは利用が難しいケースが多いです。
遺産から相続税を払えないときの対処法 | 概要 |
延納制度(分割納付)を利用する | 利用条件が厳しく、延納期間が長くなるほど利子の負担が大きくなる |
物納制度を利用する | (不動産の場合)実際の売却価格より低くなる、条件が厳しい |
銀行などからお金を借りる | 「納税資金が足りない」という理由だけでお金を貸してくれる金融機関は限られるため、現実的な解決策ではない |
例えば、延納制度では、一定の条件を満たすと相続税の延納ができるようになります。
しかし、条件が厳しいことと、延納期間が長いと利子が大きくなるというハードルがあります。そのため、積極的に検討できる方法とは言い難いでしょう。
このように、相続税が遺産から払えないとなったときには、さまざまな対処法が検討できますが、どの対処法が適切なのか慎重に検討する必要があります。
相続税が払えない時の対処法は下記の記事で詳しくまとめているので、参考にしてみてください。
相続のプロが教える相続税が払えない時の対処法8つと放置のリスク
4章 相続税を遺産から払うなら効率よく現金化する計画を早期に立てる必要がある
相続税を遺産から払いたい場合は、相続税の納付期限が迫ってから慌てるのではなくできるだけ早く計画を立てる必要があります。
ここでは、専門家の視点から状況に応じてどのように計画を立てることができるのかご紹介します。
相続税を遺産から払うなら効率よく現金化する計画を早期に立てる必要がある |
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無理なく相続税を納付できる確率を高めることができるので、事前にチェックしておきましょう。
4-1 不動産の割合が多い場合:いち早く売却活動を開始する
遺産の中に不動産の割合が多く現金が足りない場合は、不動産を売却して納税資金を作る必要があります。
ここでよくあるトラブルが「すべての財産の分け方が決まるまで、不動産は売却できない」と思い込み、売却活動のスタートが遅れてしまうケースです。
親族間の話し合いが少しでも長引けば、あっという間に10ヶ月の期限が迫ってきます。必ずしも遺産分割を一回で完璧に終える必要はありません。
「とにかくこの家は売却して現金化する」という不動産に関する合意だけを先に取り、売却に必要な不動産の相続登記だけを行えるように遺産分割協議書を作成しましょう。
一足先に売却活動をスタートさせることで、期限ギリギリになり「現金がなくて税金が払えない」という最悪の事態を回避しやすくなります。
遺産を見て「不動産が多い」と感じたら、まずは相続税を支払えるのかシミュレーションをして、戦略的に相続税に充てる現金を作っていくことが重要です。
4-2 遺産分割協議が長引く場合:預金口座の解約を先行して行う
相続税は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に現金で一括納付しなければなりません。
口座を解約して現金を引き出すには、誰がどの財産を相続するかを決める「遺産分割協議」を完了させる必要があります。
親族間の話し合いが長引いたり、戸籍集めなどの手続きに手間取ったりすると納税期限が迫り、手元に現金がない状態に陥ります。
納付期限までに口座から現金を引き落とすことができないと、相続税が納付できず延滞税などのペナルティを課せられる可能性があるのです。
この場合は「とりあえず預金口座だけを解約して現金化し、納税に充てる」という部分的な合意を先行して結ぶことが可能です。
預金解約だけを先に行う道筋を迅速に組むことで、預貯金を相続税の納付に充てられるように工夫をしていきます。
このように、現状は「相続税を遺産から支払うことが難しい」と思えても、さまざまな角度から戦略を立てることで相続税を遺産から払える可能性を広げていきます。
5章 相続税を遺産から払うにはグリーングループと一緒に早期現金化の道筋を立てましょう
手元に現金がなく、何とかして遺産から相続税を払いたいときには、一刻も早く現状を正しく把握して、早期現金化の道筋を立てる必要があります。
不動産を売却する必要がある場合は短期間で売却活動を進める準備を、遺産の預貯金さえあれば足りる場合は先行して引き出せる手続きを進めなければなりません。
そこで、相続に特化した専門家集団であるグリーングループと一緒に、早期現金化の道筋を立てませんか?
グリーングループは司法書士だけでなく、税理士や不動産会社もグループ内に連携しており、不動産の売却活動にもいち早く取り掛かることが可能です。
専門的な知識を活かしながらシミュレーションをして、ご家族の状況に応じて最適な筋道を立てて問題解決に導きます。
実際に金融資産の解約手続きを最優先で進める戦略を立てて、無事に相続税の納付を完了させた事例もあります。
金融資産の解約手続きを最優先で進めて相続税の納付を完了させた事例 |
被相続人が亡くなり、相続手続きが始まりました。被相続人の子供であるご依頼者様が相続財産を確認されたところ、複数の土地の評価額が合計で数億円、預貯金は約1,000万円であることが判明。 税理士による試算の結果、相続税が約1,000万円となる見込みとわかり、納税資金をどう確保するかが現実的な問題として浮上しました。 兄弟は今後も相続する土地に住み続けることを強く望んでおり、不動産を売却して資金を作る選択肢はありません。 刻一刻と納税期限が迫るなか、自分では解決できないと判断して、グリーングループにご相談いただきました。 <グリーングループだからこそできたこと>
不動産を売却したくない意向を尊重しながら、限られた資産の中から期限内に納税資金を捻出する慎重な判断を重ね、無事に相続税を納付できた事例です。 この事例は下記で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください |
相続税の納付期限が迫ったところで「相続税が払えない」と慌てても、できることが限られてしまいます。
相続手続きを進める段階で安心して相続税を払える道筋を立てておくためにも、ぜひ今の状況をお聞かせください。
まとめ
本記事では、相続税を遺産から払う具体的な方法や戦略の立て方をご紹介しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇相続税を遺産から払うときのポイントは下記のとおり
- 相続税の納税までに遺産分割が完了していれば遺産から払える
- 相続税には連帯納付義務がある
- 相続税の立替えは可能だが注意が必要
〇遺産から相続税の納税資金を用意する方法は下記のとおり
- 預貯金の仮払い制度を利用する
- 生命保険を活用する
- 相続税の申告期限までに遺産分割を完了させる
〇相続税を遺産から払うなら効率よく現金化する計画を早期に立てる方法は下記のとおり
- 不動産の割合が多い場合:いち早く売却活動を開始する
- 遺産分割協議が長引く場合:預金口座の解約を先行して行う
相続税を遺産から払いたいときは、相続手続きを進める段階で戦略を立てて取り組むことが非常に重要です。
「どのタイミングで何をすればいいのか分からない」と戦略に悩む場合は、グリーングループと一緒に考えてみませんか?





