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遺言執行者は相続人でも問題ない|注意すべきトラブルも紹介

遺言執行者は相続人でも問題ない|注意すべきトラブルも紹介
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司法書士中川 徳将

 監修者:中川 徳将

この記事を読む およそ時間: 6

遺言執行者は、遺言の内容を実現するための相続手続きを単独で行う義務・権限を持つ人です。
遺言執行者は未成年者や破産者以外であれば誰でもなることができ、資格などは不要です。
そのため、相続人の1人が遺言執行者になっても問題ありません。

しかし、相続人の1人が遺言執行者になると残りの相続人とトラブルが起きやすいので注意が必要です。
また、トラブルになってから遺言執行者を選び直すと費用と時間がかかるので、はじめから専門家を遺言執行者に選任するのが良いでしょう。

本記事では、相続人が遺言執行者になれるのか、専門家に依頼するメリットや費用相場を解説します。


1章 遺言執行者とは

遺言執行者が選任

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するための相続手続きを単独で行う義務・権限を持つ人であり、具体的に以下のような手続きを行います。

  • 相続人の調査
  • 遺産の調査
  • 法定相続人への連絡
  • 相続財産目録の作成
  • 預金解約手続き
  • 不動産名義変更手続き
  • 相続財産の分配

遺言執行者が選任されていれば、単独で相続手続きを進められるため、非常にスムーズに遺言内容を実現可能です。

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2章 遺言執行者=相続人でも問題はない

遺言執行者は未成年者や破産者以外であれば誰でもなることが認められています。
必ずしも専門家である必要はないため、相続人の1人が遺言執行者になっても問題ありません。

  • 相続人が1人のケース
  • 相続人同士の関係が円満であり相続トラブルのリスクが低い

上記のケースであれば、相続人の1人が遺言執行者になっても問題は起きにくいです。

ただし、遺言執行者の業務は幅広く相続に関する知識がない人が行うのは非常に大変です。
そのため、トラブルが起きにくいケースであっても相続人ではなく専門家に遺言執行者となってもらうことをおすすめします。

さらに、下記のケースでは相続トラブルに発展する可能性もありますので、相続に詳しい司法書士や弁護士などを遺言執行者に選任すると安心です。

  • 相続人が多い
  • 相続人同士の関係が希薄
  • 相続人同士の関係が悪い

3章 相続人を遺言執行者にしたときに起きやすいトラブル

遺言執行者は亡くなった人が遺した遺言内容を実現する人物であり、業務や権限も多くなっています。
そのため、相続人の1人が遺言執行者になると残りの相続人とトラブルが起きる場合もあります。

相続人の1人を遺言執行者にしたときに起きうるトラブルは、主に下記の3つです。

  1. 遺言執行者以外の相続人が不公平感を持つ
  2. 遺言執行者の負担が重く手続きに時間がかかる
  3. 後から専門家を遺言執行者にすると費用や時間がかかる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

3-1 遺言執行者以外の相続人が不公平感を持つ

遺言執行者に選任されなかった相続人が遺言執行者になった相続人に対して不公平感を持つ場合があります。
例えば、長男と次男の2人が相続人で長男に遺言執行者を任せていた場合、次男が下記のように不信感や不公平感を持つ恐れもあるでしょう。

  • 長男の方が頼りにされていたようで納得できない
  • 長男にとって有利な遺言書となっているんじゃないか
  • 長男が次男にとって不利な内容で遺言内容を実現するのではないか

遺言執行者である長男が遺言書の内容を自分にとって有利な内容に改変することはできないですし、長男が遺言執行人の業務を真面目に行っていた場合、次男の不満に対し反発する可能性もあります。

3-2 遺言執行者の負担が重く手続きに時間がかかる

遺言執行者は遺言内容を実現するために、相続人調査や各財産の名義変更手続きなどを行わなければなりません。
亡くなった人の婚姻回数が多いケースや遺産の種類や金額が大きい場合、業務が多岐にわたり非常に手間と時間がかかります。

相続に関してそれほど詳しくない相続人が遺言執行者になってしまうと、手続きを進めていくのが大変です。
平日日中は仕事をしながら遺言執行者としての役割を果たしているものの時間がかかり、他の相続人から「早く遺産を分けてくれ」と言われ遺言執行者が不満に思う恐れもあります。

3-3 後から専門家を遺言執行者にすると費用や時間がかかる

相続人が遺言執行者に選任されたもののやっぱり業務を完遂することが難しい場合、司法書士や弁護士を遺言執行者に選任し直す必要があります。
その場合、遺言執行者以外の相続人が司法書士や弁護士に費用を払うことに納得せず、遺言執行者に選ばれた相続人が自腹を切らなければならない可能性もあるでしょう。

  • 遺言執行者に選ばれた相続人が自腹で遺言執行者を選任しなければならない
  • 遺言執行者の選任し直しが発生し、相続手続き完了までに時間がかかる

遺言執行者の選任し直しが必要な場合、上記のデメリットがあります。


4章 遺言執行者を専門家に依頼するメリット

遺言執行者は業務や権限が多いので、相続人の1人に任せるのではなく、はじめから専門家に依頼するのが良いでしょう。
遺言執行者を専門家に依頼するメリットは、下記の3点です。

  1. 遺言書の内容を確実に実行できる
  2. 相続手続きがスムーズに進む
  3. 相続人同士のトラブルを回避できる

遺言執行者を司法書士や弁護士などの専門家に依頼すれば、遺言書の内容を確実に実行できますし手続きに慣れている分、スムーズに遺産分割を行えます。
特に司法書士は争いのイメージがないため相続人が身構えることもなく、円満相続の道筋を立てやすい点がメリットです。

また遺言書を作成する段階で専門家に依頼しておけば、亡くなった人の想いを代弁してくれ遺言書の信ぴょう性も高まります。
遺言書の内容を説明する役割も遺言執行者である専門家が担ってくれるので、遺産を多く受け取る相続人の心理的なストレスを減らせるのもメリットといえるでしょう。


5章 遺言執行者を専門家に依頼したときの費用相場

遺言執行者を専門家に依頼すると手続きがスムーズに進むなどのメリットがありますが、一方で費用がかかります。
相続人が遺言執行者になる場合と専門家が遺言執行者になる場合の費用相場を見ていきましょう。

5-1 相続人が遺言執行者になる場合

相続人の1人が遺言執行者になる場合は、報酬を定めないケースが多いです。
しかし、遺言執行者となった相続人が報酬を受け取ることは問題ないので、報酬を支払いたいのであれば遺言書に明記しておきましょう。

また、遺言書にて報酬が指定されていない場合や設定されている報酬に不満がある場合は、家庭裁判所に報酬を決定してもらえます。

  • 相続財産の内容
  • 遺言執行者が行った業務内容や難易度
  • 遺言執行者の地位や収入
  • 遺言執行者との関係性

家庭裁判所は上記の内容を総合的に判断して、遺言執行者の報酬を決定します。
ただし、あくまでも報酬は家庭裁判所の裁量にゆだねられており、原則として決定された報酬に対して異議を唱えることはできません。

5-2 専門家が遺言執行者になる場合

遺言執行者として選任される専門家は主に下記の3つであり、それぞれの報酬相場は下記の通りです。

遺産総額司法書士弁護士銀行
5,000万円以下30~50万円40~60万円60~100万円
1億円以下50~100万円60~130万円100~150万円
3億円以下100~250万円130~300万円160~500万円

※上記の表はあくまで目安です。

司法書士は相場帯が最も安く、その後に弁護士と銀行が続きます。
銀行に遺言執行者を依頼した場合、実務を行うのは銀行から外注された司法書士や行政書士であるため、費用が高額になりやすいです。

さらに遺産に不動産がある場合は、不動産の名義変更手続きを司法書士に外注することが多いです。
そのため、遺産に不動産がある場合は最初から司法書士に遺言執行者を依頼すると費用を抑えられます。

遺言執行者に支払う報酬相場はいくら?金額の決め方や誰が支払うのか解説

6章 遺言執行者を解任・辞任する方法

遺言執行者が相続人の1人であっても司法書士や弁護士などの専門家であっても、解任や辞任することは認められています。
ただし、解任を求める場合は遺言執行者を辞めさせるべき正当な理由が必要です。

遺言執行者の解任方法および辞任方法を詳しく見ていきましょう。

6-1 遺言執行者の解任方法

遺言執行者を解任させるには家庭裁判所への申立てが必要であり、下記に当てはまるような解任すべき正当な理由がなければなりません。

  • 遺言執行者が業務を怠った
  • 一部の遺言内容しか執行しない
  • 相続財産を不正に使い込んでいる
  • 一部の相続人に利益が出るよう加担した
  • 行方不明/長期不在である
  • 明らかに高額な報酬を請求している
  • 病気などによって役目を全うできない

例えば、相続人の1人が遺言執行者に選ばれたもののいつまでたっても忙しいと言い遺言内容を実行しない場合は解任できる可能性があります。
一方で「遺言執行者と折り合いが悪く気に入らない」「遺言執行者に報酬を払いたくない」などの理由では解任できません。

遺言執行者の解任申立ての方法および必要書類は、下記の通りです。

申立てできる人解任を希望する利害関係者(相続人や受遺者など)の代表者
申立て先遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
費用収入印紙:800円分
連絡用の郵便切手代:1,000~数千円程度
必要書類
  • 申立書
  • 遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本(※)
  • 遺言執行者の候補者の住民票または戸籍附票
  • 遺言書の写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し(※)
  • 戸籍謄本など利害関係を証明する資料
    (※)の資料は申立て先の家庭裁判所に遺言書検認の記録が保存されている(保存期間は検認から5年間)場合には不要

6-2 遺言執行者の辞任方法

亡くなった人が遺言執行者に指定していたものの仕事が忙しい、荷が重いなどの理由で断ることも可能です。
遺言執行者に指定されただけで引き受ける前であれば、辞任ではなく辞退するだけで問題ありません。

一方で、遺言執行者を引き受けてしまった後に辞任したいのであれば、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所の許可を得るには、遺言執行者としての業務を行えない正当な理由が必要であり「面倒だから」などといった理由では認められない可能性が高いです。
そのため、遺言執行者に指定されていた場合は引き受けるかの判断を慎重にしましょう。

なお、家庭裁判所から辞任許可をもらったら、相続人全員への通知と遺言執行者の業務を行うために保管、管理していた書類を相続人に引き渡します。


まとめ

遺言執行者は未成年者や破産者以外がなることができ、相続人の1人がなるケースもあります。
ただし、相続人の1人が遺言執行者になると残りの相続人とのトラブルになる、遺産分割に時間がかかるなどの恐れがあります。

そのため、トラブルを避け相続人の負担を減らすのであれば、最初から司法書士や弁護士などの専門家に遺言執行者を依頼するのが良いでしょう。
相続に詳しい司法書士や弁護士であれば、遺言書の作成から遺言執行者の業務まで対応できます。

グリーン司法書士法人では、遺言書作成や遺言執行者に関する依頼をお受けしています。
初回相談は無料ですし、オンラインでの相談も可能ですのでまずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

遺言執行者と相続人は同一人物でも良い?

遺言執行者は未成年者や破産者以外であれば誰でもなることが認められています。
そのため、相続人の1人が遺言執行者になっても問題ありません。

遺言執行者は誰でもなれる?

遺言執行者は、未成年・破産者以外であれば誰でもなることができます。
下記の人物がなることが一般的です。
・相続人
・専門家

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