
【この記事でわかること】
- 抵当権抹消手続きにかかる費用の内訳・相場
- 司法書士に抵当権抹消手続きを依頼するべきかの判断基準
- 抵当権抹消手続きをせずに放置するリスク・デメリット
住宅ローンを借りる際には、返済保証として住宅に抵当権を設定することになります。
抵当権は住宅ローンなどの借金を完済した際に消滅し、それを登記に反映させるのが抹消登記です。
抵当権抹消手続きの費用相場は、登録免許税や司法書士への報酬を合わせても数万円程度ですが、物件の種類や地域によって異なることもあります。
本記事では、抵当権抹消手続きにかかる費用の内訳や相場について詳しく解説します。
抵当権抹消手続きについては、下記の記事で詳しく解説しているので、よろしければ併せてお読みください。
目次
1章 抵当権抹消手続きにかかる費用
抵当権抹消手続きでは、①登録免許税や②司法書士報酬、③雑費などの費用がかかります。
手続き時の状況によっても変わってきますが、不動産1つにつき14,000~20,000円ほどかかることが一般的です。
本章では、抵当権抹消手続きの費用の内訳や相場を詳しく見ていきましょう。
それではさっそく、抵当権の抹消にかかる費用をご説明します。
早見表で全体像をざっくり把握し、個別の説明に移っていきます。
1-1 登録免許税の計算方法
抵当権抹消手続きを行う際には、登録免許税が課せられます。
抵当権抹消手続きの際にかかる登録免許税は、不動産の個数×1,000円です。
ただし、上限は20,000円であり、不動産の個数が30筆あろうと100筆あろうと上限金額20,000円で処理してもらえます。
抵当権抹消手続きの際の登録免許税の計算方法は単純ですが、マンションの抵当権抹消手続きをする場合、注意しなければなりません。
マンションという不動産を分解すると、①区分建物(部屋)と②敷地(土地)の2つに分けることができ、それぞれが別個独立した不動産として考えられます。
したがって、マンションの場合、不動産の個数を計算するときは、「部屋+敷地の筆数」という足し算で考えなければなりません。
例えば、マンション敷地が2筆の場合には「部屋(1つ)+敷地(2筆)=3つの不動産」と考えられ、3筆×1,000円で3,000円の登録免許税がかかります。
1-2 司法書士報酬の相場
抵当権抹消手続きを司法書士に依頼した場合には、報酬がかかります。
住宅ローンの完済に伴う抵当権抹消手続きを司法書士に依頼した場合の報酬相場は、10,000円~20,000円程度です。
ただし、上記の相場は単純な抵当権抹消手続きを想定しており、下記のような事情がある場合には報酬も高額になります。
- 相続による不動産の名義変更と連動して行う場合
- 金融機関から交付された手続き書類を紛失した場合
- 大正時代や昭和初期などに設定された、極めて古い抵当権を抹消する場合
上記のような状況で抵当権抹消手続きをする場合には、まずは司法書士法人の無料相談を活用し、見積もりをしてもらうことをおすすめします。
2章 司法書士に依頼するか否かの目安
抵当権抹消手続きは自分で行うこともできますが、司法書士に依頼も可能です。
抵当権抹消手続きは必要書類を揃えれば自分で手続きできるため「司法書士に依頼すべきか」「自分で手続きして費用を抑えるべきか」悩んでしまうこともあるでしょう。
抵当権抹消手続きを司法書士に依頼すべきケースと自分で手続きしても良いケースは、それぞれ下記の通りです。
司法書士に依頼すべきケース |
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自分で手続きしても良いケース |
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それぞれ詳しく解説していきます。
2-1 司法書士に依頼した方が良いケース
まずは、司法書士に依頼した方が良いケースをご紹介します。
2-1-1 手続きにかかる手間や時間を抑えたい場合
抵当権抹消手続きでは、登記申請書の作成や書類の確認・収集、管轄役所の確認、申請手続きなど、いくつかの作業があります。
現役世代で日中働いている方にとって、これらの作業を行うのは仕事終わりや土日になるため、時間的な負担も大きくなるでしょう。
「人生で一度か二度の登記申請のために、貴重な時間を使うのはもったいない」と感じる場合には、司法書士に依頼することもご検討ください。
2-1-2 抵当権抹消手続き後に不動産取引を行う場合
不動産を売却する際、売主は買主に対して、抵当権が抹消された無担保の不動産を引き渡す義務があります。
もし、抵当権が抹消されず、そのまま買主に名義が移転した場合、担保除去義務に違反し、損害賠償を請求されることもあります。
このように、抵当権抹消手続き後に不動産取引を予定している場合は、ミスが許されないので司法書士に依頼すると良いでしょう。
なお、抵当権抹消が完了するまで、または司法書士が確実に抹消可能だと確認するまで、売買代金は支払われません。
売却する不動産に抵当権が残っている場合は、取引をスムーズに進めるためにも、司法書士に依頼することが大切です。
2-1-3 何らかの理由により抵当権抹消手続きが複雑になる場合
必要書類を揃えて手続きすれば良いわけでなく、下記などの事情により手続きが複雑になる場合も、司法書士に依頼することをおすすめします。
- 相続登記と連動して行う場合
- 金融機関から交付された手続き書類を紛失した場合
- 交付された書類は残っているが時間が経ちすぎて、委任状に記載された銀行の代表者が変更されている場合
- 大正時代や昭和初期などに設定された、極めて古い抵当権を抹消する場合
このようなケースでは専門知識はもちろん、銀行や法務局との打ち合わせが必須となるため、自分で手続きすることは現実的ではありません。
2-2 自分で手続きしても良いケース
一般的な抵当権抹消手続きであれば、自分で手続きすることも可能です。
詳しく見ていきましょう。
2-2-1 ごく一般的な抵当権抹消手続きの場合
住宅ローン完済後に抵当権抹消手続きをする場合など、ごく一般的な抵当権抹消手続きであれば、司法書士に依頼せずとも自分で手続きできるはずです。
2-2-2 司法書士への報酬を抑えたい場合
何らかの事情があり、司法書士への報酬を支払うことが難しい場合や、手続き費用を抑えたい場合には、自分で手続きしましょう。
自分で抵当権抹消手続きを行えば手間や時間はかかるものの、10,000~20,000円程度の報酬を浮かせることができます。
3章 抵当権を抹消せず放置することのリスク
不動産を売却しない限り抵当権抹消をしなくても問題が発生することは少ないため、手続きせずに放置してしまう方も中にはいます。
しかし、抵当権抹消手続きを放置すると、銀行からの書類を紛失するリスクが高まったり、名義人が亡くなって手続きが複雑になったりする恐れがあります。
結果として、自分で抵当権抹消手続きを行うことが難しくなり、司法書士への報酬も高額になってしまう可能性もあるでしょう。
他にも、抵当権抹消手続きを放置していたことが不動産取引時に発覚すると、不動産の売却タイミングを逃すこともあるのでご注意ください。
このような事態を避けるためにも、住宅ローン完済後は抵当権抹消手続きを速やかに行いましょう。
まとめ
抵当権抹消手続きをする際には、14,000~20,000円程度の費用がかかります。
費用をできるだけ抑えたい場合には、司法書士に手続きを依頼せず、自分で手続きすることを検討しても良いでしょう。
ただし、銀行から届く必要書類を紛失した場合や、長年にわたり抵当権抹消手続きを放置していた場合には、自分で抵当権抹消手続きを行うことが難しい可能性もあります。
その場合は、司法書士法人の無料相談を活用して、見積もりを出してもらうと良いでしょう。
グリーン司法書士法人では、抵当権抹消手続きについての相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
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抵当権を外すにはどうすればいい?
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抵当権を外すには、抵当権抹消登記をする必要があります。
▶抵当権抹消登記について詳しくはコチラ -
抵当権抹消手続きをしないとどうなるの?
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不動産の売却を控えているわけでもない限り、抵当権抹消の手続きは義務ではありませんが、放置していると将来的なリスクを増大させてしまいます。
例えば、長く放置することで、必要な書類を紛失してしまうリスクが高まります。また、不動産の名義人が亡くなってしまうと、相続手続きと連動して行う必要があります。最悪の場合、不動産の売却が決まったのに売却できなくなる可能性もあります。
詳しくは下記リンク先をご参考にしてください。抵当権抹消にかかる費用はいくらですか?
抵当権抹消にかかる費用は14,000~20,000円程度かかることが一般的です。
抵当権抹消は自分でできますか?
住宅ローン完済後に抵当権抹消手続きをする場合など、一般的なケースでは自分で手続きすることも可能です。
一方で、抵当権抹消手続きを長年にわたり放置していた場合には、自分で手続きすることが難しくなります。