農地から宅地に転用するまでの期間目安!農地転用の流れと注意点

農地から宅地に転用するまでの期間目安!農地転用の流れと注意点
facebookでシェアする Twitterでシェアする このエントリーをはてなブックマークに追加する LINEでシェアする
司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 6

故人が農業従事者だった場合、農地を相続することもあるでしょう。
農地は基本的に農業にしか使えないので、相続人が農業を営んでいない場合は農地を相続しても使い道がなく困ってしまうケースも多いです。

地目が農地の土地は活用方法を明確にして、農業委員会に届け出をし許可を得られれば農地以外の地目に転用可能です。
農地転用の申請をしてから許可がおりるまでは、6週間程度かかります。

しかし、申請のタイミングによってそれ以上の時間がかかることもありますし、申請前の準備に数ヶ月から1年以上かかるケースもあるので農地転用を検討する場合には早めに準備を始めましょう。

本記事では、農地転用の流れやかかる期間について解説します。
農地の相続については、下記の記事でも詳しく解説していますので、ご参考にしてください。

農地の相続手続きまとめ|農地を相続したくない人の選択肢とは?

1章 農地から宅地への転用にかかる期間の目安

農地を宅地など農業以外に活用できるようにする農地転用を行う際には、所定の手続きが必要です。
農地転用にかかる期間は、準備期間と手続き期間に分けられそれぞれ目安は下記の通りです。

準備期間3ヶ月以上
(農地の種類や転用後の活用方法によって期間に差が出やすい)
手続き期間約6週間

農地転用の申請をしてから許可がおりるまでの期間は、どの自治体も6週間程度のことが多いです。
届け出のみで完了する場合は、審査開始から1週間から10日ほどで回答をもらえる場合もあります。

ただ、農地転用の受付や審議の日程は自治体ごとに決まっています。
そのため、タイミングを逃すと次の審議の日程まで手続きが進まず、時間がかかる可能性もあるのでご注意ください。

また、農地転用は申請前の準備も必要であり、準備期間の方が時間がかかるケースが多いです。
特に、相続した農地が下記に当てはまる場合には、除外申請が事前に必要であり半年程度かかる場合もあります。

  • 土地改良区内にある農地
  • 農業振興地域内にある農地
相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

2章 相続した農地を宅地へ転用する流れ

相続した農地を転用し農業以外に活用する際には、農地転用手続きと相続手続きの2つをしなければなりません。
具体的には、下記の流れで相続した農地を転用しましょう。

  1. 農業委員会へ相談・届出をする
  2. 必要書類の収集・提出
  3. 地目変更登記を行う

それぞれ詳しく解説していきます。

STEP① 農業委員会へ相談・届出をする

法定相続人が農地を相続した場合には、農業委員会への届出をしなければなりません。
農業委員会とは法律で決められた組織で、農地の開発や宅地への転用などを管理しています。

農地の相続が発生した場合には、故人の死亡を知った時点から10ヶ月以内に届出をしなければなりません。
届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合には、10万円以下の過料が科される恐れもあります。
農地相続時に行う農業委員会への届出方法や必要書類は、下記の通りです。

届出する人農地を相続で取得した人
届出先農地の所在地を管轄する農業委員会
費用無料
必要書類農地法第3条の3第1項の規定による届出書
相続登記済みの登記簿謄本

なお、法定相続人以外が遺言などで農地を受け継いだ場合には、農業委員会への届出ではなく許可が必要なのでご注意ください。
また、農地相続時点で農地転用を検討している場合には、届出の際に農業委員会に転用の相談をしておくと良いでしょう。

農地相続時には名義変更手続きも必要

農地を相続したときには、住宅などの不動産を相続したときと同様に、故人から相続人への名義変更手続きが必要です。
農地など不動産の名義変更手続きは、法務局にて相続登記を行います。

農地相続時に行う農業委員会への届出時には、相続登記済みの登記簿謄本の提出が必要です。
そのため、農業委員会への届出前に相続登記をすませましょう。

相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士であれば数万円程度で相続登記を代行できます。

【完全版】相続登記が自分でできる!司法書士直伝の簡単申請マニュアル

STEP② 必要書類の収集・提出

農地転用をする際には、転用後の活用方法などで必要書類が変わってきます。

すべての農地転用で必要になる書類

どの農地転用でも必要になる書類は、下記の通りです。

どの農地転用でも必要な書類備考
農地の登記事項全部証明書3ヶ月以内に発行されたもの
農地の所有者の住民票や戸籍の附票農地所有者の現住所がわかるもの
位置図駅や役場、IC、その他の公共施設からの位置がわかるもの
公図の写し
  • 隣接土地に関する情報(地番や地目、土地所有者、耕作者名)を記載する
  • 農地転用を申請する土地には色枠を付けておく
周辺土地利用状況図住宅地図など周辺の土地利用状況が分かるもの
申請地を含めた周辺の現況写真
  • 農地転用を申請する農地は赤枠で囲む
  • 図面には撮影した方向を記載しておく
資金計画書
資力を証明できる書類預金残高証明書など

農地転用後の活用目的ごとに必要になる書類

農地転用後の活用目的によって、下記の書類も必要です。

農地転用後の活用目的必要書類
相続により農地転用をする場合相続関係を証明する書類
事業を営む場合
  • 事業計画書
  • 農地転用後の活用を証明できる免許証の写し(宅地建物取引業免許や医師免許など)
建物を建築する場合
  • 建築物の平面図および立面図
  • 建築の見積書
法人が農地転用の申請をする場合
  • 法人の登記事項証明書
  • 定款
開発許可を要する造成を行う場合造成計画図
一筆内の一部を農地転用する場合地積測量図

上記以外にも、農地を管轄する農業委員会や転用後の用途によって必要書類が異なる可能性があります。
そのため、農地転用の準備をする前に農業委員会に相談し、必要書類について教えてもらっておきましょう。

必要書類を提出し農業委員会の許可がおりれば、開発工事を行えます。

STEP③ 地目変更登記を行う

農業委員会から農地転用の許可がおり開発工事が完了したら、地目変更登記を行いましょう。
地目変更登記とは不動産登記簿に書かれている地目を「農地」から「宅地」などに変更する登記手続きです。

農地転用後の地目変更登記を行うタイミングは法務局によって若干の違いがありますが、農業委員会へ工事完了報告書を提出し、現地確認が完了してから行うケースが一般的です。
地目変更登記は自分でも行えますが、土地家屋調査士に依頼もできます。


3章 農地から宅地へ転用するときの注意点

農地から宅地などに転用すれば、土地の活用方法が広がり運用や売却もしやすくなります。
ただし、農地転用後は固定資産税の負担が増えるなど、下記の3点に注意しなければなりません。

  1. 農地転用後は固定資産税が上がる
  2. 無許可で転用すると罰則を科される恐れがある
  3. 転用が認められない土地もある

それぞれ解説していきます。

3-1 農地転用後は固定資産税が上がる

農地の固定資産税は低く設定されているので、農地転用により地目が変わると、固定資産税の金額が上がります。
なお、固定資産税はその年の1月1日時点の状況で計算されます。

農地転用後の固定資産税の負担を抑えるためには、農地転用のタイミングも考慮しておくと良いでしょう。

3-2 無許可で転用すると罰則を科される恐れがある

本記事で解説したように、農地転用には農業委員会の許可が必要です。
「バレなければ良い」と安易に考えて、無断でのうち転用するのはやめましょう。

無許可で農地転用する行為は農地法違反に該当し、下記の罰則が科されます。

  •  工事の中止や原状回復を命じられる
  •  最大3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合、1億円以下の罰金)

無許可で農地転用をした場合のペナルティは非常に重いので、絶対にやめましょう。

3-3 転用が認められない土地もある

農地転用はすべての農地で行えるわけではありません。
農地転用できる土地とできない土地は、下記のように分類されています。

農地転用できる土地農地転用できない土地
第2種農地※条件付きで転用可能
(生産力が低く、市街地として発展が見込める農地)
第1種農地
(10ha以上の集団農地や農業公共年対象農地など、生産力の高い農地)
第3種農地
(公共施設や公益的施設が周囲に整っていて、市街地化傾向がある農地)
農用地区域内用地
(農業振興地域整備計画により、農用地区域と定められた区域内にある農地)
甲種農地
(市街化調整区域内の土地改良事業が8年以内に行われた農地)

上記のようにそもそも農地転用が認められない農地もありますし、農地転用できる土地であっても下記要件を満たさないと農地転用の許可はおりません。

  • 申請した用途で使用することが確実である
  • 転用により、周辺農地に支障を生じさせる恐れがない
  • 転用が一時的な場合、利用後に再び農地に復元されることが確実である

上記以外に、自治体ごとで農地転用の条件を設定している場合もあります。

相続土地国庫帰属法でいらない土地を国に返せるようになりました

相続土地国庫帰属法が施行され、相続等で取得した土地を国に帰属(渡すことが)できるようになりました。

制度をを利用すれば、相続した農地を転用しなくても国に返せる可能性があり、管理コストや固定資産税を負担する必要がなくなります。
相続土地国庫帰属制度には、農地転用の費用や手間がかからないメリットはあるものの下記の点に注意が必要です。

  • すべての土地が国に返せるわけではない
  • 10年分の土地管理費用相当額の負担金を納める必要がある

なお、相続土地国庫帰属制度を利用する際には事前に相続した農地の名義変更手続きをすませておく必要があります。
名義変更手続きおよび相続土地国庫帰属制度については、グリーン司法書士法人にお問い合わせください。

相続土地国庫帰属法とは?いつから施行?手続き方法や費用まとめ

まとめ

農地転用を申請してから農業委員会の許可がおりるまでは約6週間ほどかかることが多いです。
ただし、農地転用の申請までには必要書類の準備などをしなければならず、準備自体に数ヶ月から1年近くかかるケースも珍しくありません。

「農地を相続したものの自分は農業をしないので農地転用をしたい」と考えている人は、農業委員会に農地転用を考えていることや必要書類について相談するのが良いでしょう。
また、農地を相続したときには農業委員会への届出も必要ですし、届出の前には相続登記をすませておく必要があります。
相続登記は自分で行うこともできますが、司法書士に数万円程度で依頼できます。

グリーン司法書士法人では、相続登記に関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

よくあるご質問

農地転用の流れは?

農地転用の流れは、下記の通りです。
STEP① 農業委員会へ相談・届出をする
STEP② 必要書類の収集・提出
STEP③ 地目変更登記を行う
▶農地転用の流れについて詳しくはコチラ

農地転用とは?

農地転用とは、農地を宅地など農業以外に活用できるようにする手続きです。
▶農地転用について詳しくはコチラ

この記事は参考になりましたか?

参考にならなかった参考になった! (まだ評価がありません)
読み込み中...

遺産相続の無料資料請求

この記事を読む およそ時間: 6

遺産相続の無料資料請求

  • 遺産相続の流れ
  • 相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 要注意の相続のケース
  • 遺産分割協議書の作成
  • 名義変更手続の方法
  • 相続税の申告
  • 遺言書の作成
  • 後見について
  • 贈与について

相続について話し合うきっかけに!

グリーン司法書士法人作成の遺産相続ガイドブックのイメージ

生前にする相続対策、亡くなってからの相続手続について、わかりやすく解説させていただいております。遺産相続ガイドブックが相続を自分の問題と捉えて、対策を始めるきっかけになったり、相続手続の手助けとなれば幸いです。

無料ダウンロードはこちら

相続でお悩みの方は、今すぐ無料相談!相続相談実績4,762件。今すぐ無料相談したい方はこちら

不安なことは、
グリーン司法書士法人にご相談ください。
一緒に、最適な相続対策を考えていきましょう。

グリーン司法書士法人の強み

01
過去5年間の相続相談実績は約5,000件!
日本有数の実績で安心して任せられる。
02
サポート内容の広さと相談窓口の一元化を実現!
独自のネットワークでどこよりも早い迅速対応!
03
蓄積されたノウハウを元に相談者一人一人にあった提案が可能!

70名を超える相続のプロが徹底サポート

  • ・相続手続きといっても何から始めればいいのかわからない
  • ・しっかりとした遺言書を作成したい
  • ・認知症などの生前対策をしておきたいけどよくわからない

グリーン司法書士法人では相続に関する悩みや疑問をしっかりとお聞きし、理想の相続実現をサポートします。

相続に関して少しでも不安や疑問があればお気軽にお問い合わせください。

お電話での無料相談はお気軽にお問い合わせください。無料相談予約受付ダイヤルは0120-002-110

※「記事をみた」とお伝えください。

365日24時間いつでもメール無料相談