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第8回:相続登記の義務化とは? 〜3年以内に何をすればいい?〜
前回は、不動産の相続手続きとして
「相続登記(名義変更)」が必要になることをお伝えしました。
今回は、その相続登記が2024年から義務化されたことについて、詳しく解説します。
相続登記の義務化とは?
これまで、相続登記には明確な期限がありませんでした。
そのため、
- 住み続けているから問題ない
- 売る予定がないから急がない
といった理由で、何年も放置されるケースが少なくありませんでした。
しかし、2024年4月から、相続登記は法律上の義務になりました。
不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。

義務化の背景には、
「所有者不明土地問題」があります。
相続登記がされず、誰の土地か分からない状態が
社会問題になっていたのです。
3年の起算点はいつ?
「3年以内」といっても、いつからカウントするのでしょうか。
原則は、
「自分が不動産を相続したことを知った日」
から3年です。
これは、必ずしも死亡日とは限りません。

相続人であることを知らなかった場合など、
起算点が問題になるケースもあります。
ただし、基本的には「早めに動く」ことが安全です。
義務に違反するとどうなる?
正当な理由なく、相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過料とは、刑事罰ではありませんが、行政上の金銭的なペナルティです。

「過料があるから急ぐ」というより、
将来のトラブル防止のために早めに行う、
という考え方が大切です。
正当な理由があれば免れる?
法律上、「正当な理由」がある場合には過料の対象とならない可能性があります。
たとえば、
- 相続人の間で争いが続いている
- 相続人が多数で確定に時間がかかる
などの事情です。
ただし、「忙しかった」という理由だけでは、正当な理由になるとは限りません。

放置してしまった場合でも、
まずは状況を整理することが大切です。
何もしないままにしないでください。
義務化の対象は「過去の相続」も含まれる?
はい、含まれます。
2024年以前に発生した相続であっても、まだ相続登記がされていない場合は対象です。
この場合は、2024年4月1日から3年以内に手続きを行う必要があります。

「何十年も前の相続がそのまま」というご相談もあります。
義務化をきっかけに、見直す方が増えています。
相続登記をしないと何が困る?
義務化とは別に、実務上困る場面は数多くあります。
- 売却できない
- 担保にできない
- 次の相続でさらに複雑になる
特に、世代をまたいで放置されると、相続人が何十人にも増え、手続きが極めて困難になります。

放置された不動産は、
将来の家族に大きな負担を残します。
できるだけ“今の世代”で整理することが理想です。
相続人申告登記という新制度
義務化に伴い、「相続人申告登記」という制度も新設されました。
これは、相続登記がすぐにできない場合に、
「自分が相続人であることを申告する」
ことで、義務を果たしたとみなされる制度です。
ただし、これはあくまで暫定的な対応であり、最終的には正式な登記が必要になります。

相続人申告登記は、
「とりあえず期限を守る」ための制度です。
根本的な解決ではない点に注意が必要です。
何から始めればいい?
義務化に対応するために、まず確認すべきことは次の3つです。
- 不動産の名義が誰になっているか
- 相続登記が済んでいるか
- 相続人は確定しているか
登記事項証明書(登記簿)を取得すれば、名義は確認できます。

「名義を確認したことがない」という方は、
一度チェックしてみることをおすすめします。
思い込みと現状が違う場合もあります。
まとめ
今回のポイントは、
- 相続登記は2024年から義務化
- 原則3年以内に手続きが必要
- 過料の可能性がある
- 過去の相続も対象
- 相続人申告登記という制度もある
という点です。
不動産の相続は、放置するほど複雑になります。

義務化は「負担」ではなく、
将来のトラブルを防ぐための仕組みと考えてください。
ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。
次回予告
第9回:共有名義にするとどうなる?
〜“とりあえず共有”の落とし穴〜






