
- 相続財産調査を司法書士に依頼した場合の費用相場はいくらくらいか
- 相続財産調査の依頼費用を決める要素は何か
- 相続財産調査を司法書士に依頼するメリット・デメリット
相続手続きを進める上で、まず行うべき重要な作業のひとつが「相続財産調査」です。
故人がどのような財産をどれくらい所有していたのかを正確に把握できなければ、遺産分割協議や相続登記、相続放棄などの判断を適切に行うことはできません。
しかし、不動産や預貯金、株式、保険、借金などを一つひとつ調べるのは、想像以上に手間と時間がかかります。
本記事では、相続財産調査を司法書士に依頼した場合の費用相場や、費用を左右する要素についてわかりやすく解説します。
目次
1章 相続財産調査を司法書士に依頼した場合の費用相場
相続財産調査を司法書士に依頼した場合の費用相場は、おおむね10万円~30万円程度が一般的です。
とはいえ、相続財産調査だけを単独で受けている司法書士事務所は決して多くありません。
多くの司法書士事務所では、相続登記や遺産分割協議書の作成、金融機関の名義変更といった一連の相続手続きをまとめて受任し、その業務の一環として相続財産調査を行うケースが一般的だからです。
そのため、ホームページや見積書上でも「相続財産調査費用」として明確に分けて表示されておらず、「相続手続き一式〇万円」といった形で提示されることも少なくありません。
相続財産調査の業務内容は財産の種類によって異なり、財産の内容が比較的シンプルで、不動産や金融機関の数が少ない場合には、10万円前後で対応してもらえるケースもあります。
一方、不動産が複数の市区町村にある場合や証券や保険、借入金など調査対象が多岐にわたる場合には、調査工数が増えるため、20万円~30万円程度になることも珍しくありません。
2章 相続財産調査の依頼費用を決める要素
相続財産調査の費用は一律ではなく、いくつかの要素によって変動することがほとんどです。
ここでは、費用に影響する代表的なポイントを解説します。
2-1 調査する財産の種類
一般的に、調査対象となる財産の種類が多いほど、費用は高くなる傾向にあります。
相続財産は、以下のように様々な種類があります。
- 不動産(土地や建物、マンション等)
- 預貯金(銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行など)
- 有価証券(株式や投資信託など)
- 生命保険や共済
- 自動車
- 借入金やローン、クレジット債務
不動産については、市区町村ごとに名寄帳を取得する必要があり、複数の自治体にまたがる場合はその分手間が増えます。
また、金融機関ごとに残高証明書の請求手続きが必要となるため、取引先が多いほど作業量も増加します。
「不動産のみ」「預貯金口座が数行のみ」といったシンプルなケースと、「不動産や預貯金、株式、借金が混在しているケース」とでは、同じ調査でも負担が大きく異なります。
2-2 遺産総額
遺産総額が増えるほど、依頼費用も高額になるケースもあります。
これは、遺産総額が増えるほど、遺産の種類が多岐にわたる傾向があるためです。
また、司法書士事務所によっては「遺産総額×〇%」と報酬を設定していることもあります。
他にも、遺産総額が大きいケースでは、相続税申告を視野に入れた正確性の高い調査が求められるため、専門家としてより慎重な確認作業が必要になる傾向があります。
3章 相続財産調査を司法書士に依頼するメリット
相続財産調査は、自分で行うことも可能ですが、実務上は想像以上に手間と時間がかかります。
不動産や金融機関への照会、取得した資料の読み取りなど、専門的な知識が必要となる場面も少なくありません。
ここでは、相続財産調査を司法書士に依頼することで得られる主なメリットについて解説します。
3-1 相続財産調査に漏れが発生しにくい
司法書士に依頼する最大のメリットのひとつが、プロに任せることで相続財産の調査漏れが起こりにくくなることです。
自分で調査を行う場合、通帳や証書類、郵便物などを手がかりに金融機関や保険会社を探すケースが一般的です。
しかし、以下のような事情により、財産を見落としてしまうことがあります。
- 使われていない古い口座が残っている
- ネット銀行や証券口座の存在に気づかない
- 被相続人名義の不動産が遠方にある
- 住宅ローンやカードローンなどの負債を把握できていない
司法書士は、相続実務に精通しており、どのような資料を確認すべきか、どの機関に照会すべきかを体系的に把握しています。
例えば、不動産については名寄帳や固定資産評価証明書を取得し、市区町村単位で所有状況を確認します。
金融資産についても、残高証明書の取得方法や必要書類を熟知しているため、効率的に調査を進めることが可能です。
また、プラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナス財産も含めて調査するため、相続後に思わぬ負債が発覚するリスクを抑えられる点もメリットといえるでしょう。
3-2 他の相続手続きも一括で依頼できる
司法書士に相続財産調査を依頼するもうひとつの大きなメリットは、調査後の相続手続きをまとめて任せられる点です。
相続では、財産調査だけでなく、以下のような手続きが発生します。
- 相続人調査や相続関係説明図の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 不動産の相続登記申請
- 金融機関の名義変更手続き
- 相続放棄・限定承認に関する書類作成
司法書士は、不動産の相続登記申請を専門とする国家資格者であり、相続に関する書類作成や申請業務を幅広く取り扱っています。
相続財産調査を担当した司法書士が、そのまま後続手続きまで対応することで、情報の引き継ぎがスムーズになり、二度手間を防げます。
また、相続人の状況や財産内容を把握したうえで手続きを進めるため、状況に応じた適切なアドバイスを受けられる点もメリットです。
例えば、「相続放棄を検討すべきか」「遺産分割協議書の作り方に注意点はあるか」といった点についても、実務経験に基づいた助言が可能です。
4章 相続財産調査を司法書士に依頼するデメリット
相続財産調査を司法書士に依頼することで、多くのメリットを得られる一方、いくつか注意しておきたい点もあります。
ここでは、依頼前に理解しておきたい代表的なデメリットについて解説します。
4-1 依頼費用がかかる
司法書士に相続財産調査を依頼する場合、当然ながら専門家報酬が発生します。
相続財産調査の一般的な費用相場は10万円~30万円程度ですが、内容によってはそれ以上になることもあります。
自分で調査を行えば、役所や金融機関で発生する実費だけで済むため、「できるだけ費用を抑えたい」と考える方にとっては負担に感じられるかもしれません。
特に、以下のようなケースでは、費用が高くなりやすい傾向があります。
- 不動産が複数の市区町村に点在している
- 金融機関や証券会社の数が多い
- 相続人が多く、戸籍収集に時間がかかる
- 追加調査や再調査が必要になる
また、事務所によって料金体系は異なり、「基本料金+加算方式」や「パッケージ料金」など様々です。
見積もり時に調査範囲を十分に確認しないと、後から追加費用が発生する可能性もあります。
4-2 依頼内容によっては別の専門家の対応となる
司法書士は相続財産調査や不動産の相続登記、各種書類作成を専門としていますが、すべての相続関連業務を単独で対応できるわけではありません。
例えば、以下のようなケースでは、別の専門家の関与が必要になります。
| 専門家 | 依頼内容 |
|---|---|
| 弁護士 | 相続人同士で争いがあり、調停・訴訟が必要な場合 |
| 税理士 | 相続税の申告や節税対策が必要な場合 |
| 不動産会社 | 不動産の売却に関する仲介 |
このように、依頼内容によっては司法書士だけでは完結せず、他士業との連携が必要となります。
その結果、「最初からすべてを一つの専門家に任せたい」と考えている方にとっては、手間に感じることもあるでしょう。
ただし、多くの司法書士事務所では、弁護士や税理士と連携体制を整えており、必要に応じて適切な専門家を紹介しています。
窓口として司法書士が調整役を担うケースも多く、必ずしもご本人が個別に探す必要があるとは限りません。
5章 相続財産調査を依頼する司法書士の選び方
相続財産調査を安心して任せるためには、どの司法書士に依頼するかが非常に重要です。
相続分野は実務の幅が広く、経験値によって対応力に差が出やすい分野でもあります。
ここでは、司法書士を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
5-1 相続関連業務の実績が豊富かを確認する
まず確認したいことは、相続関連業務の取扱実績がどの程度あるかということです。
司法書士の業務範囲は、不動産登記や商業登記、成年後見、債務整理など多岐にわたります。
そのため、すべての司法書士が相続分野に精通しているとは限りません。
相続財産調査では、以下のような知識と経験が求められます。
- 不動産の所有関係を正確に読み取る力
- 名寄帳や評価証明書の取得実務
- 金融機関ごとの照会手続きへの理解
- 戸籍の読み取りと相続関係の整理
- マイナス財産の調査能力
これらを日常的に扱っている司法書士であれば、調査漏れのリスクを抑えながら、スムーズに業務を進められるでしょう。
事務所のホームページで「相続案件の取扱件数」「相続専門ページの有無」などを確認すると、相続分野に力を入れているかどうかの目安になります。
5-2 他の士業とのつながりがあるかを確認する
相続手続きは、司法書士だけで完結しないケースも多くあります。
相続財産調査の結果、相続税申告が必要になったり、相続人間でトラブルが発生したりすることもあるからです。
そのため、税理士や弁護士など、他の士業と連携体制があるかも重要なチェックポイントとなります。
初回相談時には、以下のようなことを確認しておくと、良いでしょう。
- 相続税が発生しそうな場合に税理士を紹介してもらえるか
- 相続トラブルが起きた場合に弁護士と連携できるか
- 不動産売却が必要になった場合の相談先があるか
他士業とのネットワークが整っている司法書士であれば、状況に応じて適切な専門家につないでもらえるため、自分でいちから探さなくてすみます。
5-3 見積もり費用の内訳が明確か確認する
費用面のトラブルを防ぐためも、見積もりの内訳が明確に提示されているかを必ず確認しましょう。
具体的には、以下のような点をチェックしましょう。
- 基本料金に含まれる業務内容
- 追加費用が発生するケース
- 財産の種類ごとの加算有無
- 実費の取り扱い
「相続財産調査一式〇万円」とだけ記載された見積もりでは、どこまで対応してもらえるのかが分かりにくく、他の事務所と比較検討もしにくくなります。
調査対象となる財産の範囲や件数を前提としたうえで、具体的な内訳が示されているかが重要です。
まとめ
相続財産調査を司法書士に依頼した場合の費用相場は10万円~30万円程度が一般的であり、財産の種類や数、内容によって変動します。
司法書士などの専門家に依頼すれば、調査漏れのリスクを抑えられ、相続登記などの後続手続きまで一括で任せられます。
グリーン司法書士法人では、相続財産調査についての相談をお受けしています。
初回相談は無料、オンラインでの相談もお受けしているので、まずはお気軽にお問い合わせください。
よくあるご質問
相続財産調査だけを司法書士に依頼することはできますか?
はい、相続財産調査のみを司法書士に依頼することは可能です。
ただし、事務所によって対応方針や料金体系は異なります。
「調査単体での依頼が可能か」「基本料金はいくらか」「どこまでの調査が含まれるか」といった点は、事前に確認することが大切です。故人に借金があるか不安ですが負債についても調査してもらえますか?
はい、相続財産調査ではプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産についても調査します。
具体的には、故人宛ての郵便物や契約書類の確認に加え、信用情報機関への情報開示請求を行い、相続人が把握していなかった故人の負債が見つかることがあります。










