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遺言書は遺産分割協議書より優先?遺産分割協議を行えるケースとは

遺言書は遺産分割協議書より優先?遺産分割協議を行えるケースとは
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司法書士山田 愼一

 監修者:山田 愼一

この記事を読む およそ時間: 4

原則として、遺言書は遺産分割協議よりも優先されます。
そのため、故人が遺言書を作成していた場合には記載された内容通りに遺産を分割します。

ただし、法定相続人全員が合意するケースや受遺者および遺言執行者が同意するケースでは遺言書があっても遺産分割協議を行うことが可能です。
また、遺言書の内容によっては遺産を多く受け取る相続人や受遺者に対して、遺留分侵害額請求を行える場合もあります。

遺言書が無効になるかの判断は難しいので、内容に納得できない遺言書を発見したら、相続に詳しい司法書士や弁護士への相談もご検討ください。

本記事では、遺言書と遺産分割協議書のどちらが優先されるのか、遺言書があっても遺産分割協議を行えるケースを解説します。
遺産分割協議に関しては下記の記事でも詳しく解説しています。

遺産分割協議とは?やり方や注意点・相談できる専門家まとめ

1章 遺言書と遺産分割協議書はどちらが優先される?

遺言書と遺産分割協議書はどちらも財産の相続方法について記載されています。
遺言書と遺産分割協議書のどちらが優先されるかは、相続人が遺言書の存在を知っているかどうかで変わってきます。

詳しく見ていきましょう。

1-1 遺言書の存在を相続人が知っている場合

相続人全員が遺言書の存在を把握した上で遺産分割協議を行った場合には、遺言書よりも遺産分割協議書が優先されます。
相続人全員が合意すれば、遺言書通りの遺産分割をしなくても良いとされているからです。

ただし、下記のケースでは法定相続人全員が合意しても遺産分割協議を行えません。

  • 遺言書で遺産分割協議を禁止しているケース
  • 遺言執行者がいて、遺産分割協議に合意していないケース

1-2 遺言書の存在を相続人が知らなかった場合

故人が遺言書を作成していたと知らず、遺産分割協議を行った場合には、遺産分割協議書よりも遺言書が優先されます。
最初から遺言書の存在を知っていれば、遺産分割協議を行わなかった(錯誤)と考えられるからです。

また、相続人の一部のみが遺言書の存在を知っていて、他の相続人に遺言書を隠したまま行なった遺産分割協議も無効になります。
このように、遺産分割協議後に遺言書が見つかると遺産分割協議が無効になってしまい、相続手続きに余計な手間と時間がかかります。

相続手続きには期限が決まっているものもあるので、スムーズに手続きを終えるためにもまずは遺言書の有無を調査しましょう。
相続発生後に行う手続きは、下記の記事でまとめています。

【保存版】相続手続きでやるべきことまとめ!必要書類や期限も紹介
遺言で失敗したくない方へ。相続業務に特化した司法書士・行政書士がベストな遺言を提案します!

2章 遺言書があっても遺産分割協議を行えるケース

先ほどの章で解説したように、遺言書があるからといってすべてのケースで遺産分割協議を行えないわけではありません。
下記のケースでは、故人が遺言書を作成していたとしても遺産分割協議を行い相続人が財産を受け継ぐ割合に応じて決められます。

  • 法定相続人全員が合意している
  • 受遺者および遺言執行者も遺産分割協議に同意している
  • 遺産分割協議の実施が遺言書で禁止されていない

それぞれ詳しく解説していきます。

2-1 法定相続人全員が合意している

遺言書の内容に従わず遺産分割協議を行うには、法定相続人全員が合意していなければなりません。
具体例として下記のケースでは、遺産分割協議を行うことはできず、遺言書通りに遺産分割しなければなりません。

  • 法定相続人の中に遺産分割協議を反対している人がいる
  • 法定相続人の中に遺言書の存在を知らない人がいる
  • 遺言執行者が選任されていて、遺言執行者が遺産分割協議に同意していない

2-2 受遺者および遺言執行者も遺産分割協議に同意している

遺言書で相続人以外の第三者が受遺者として設定されているケースでは、法定相続人だけでなく受遺者の合意もないと遺産分割協議を行えません。

例えば、故人が法定相続人ではない孫に財産を相続させると遺言書に記載していた場合を考えてみましょう。
この場合には、法定相続人だけでなく受遺者である孫も遺産分割協議に同意する必要があります。

また、故人が遺言書に記載した内容を確実に実行させるために、遺言執行者を選任している場合もあります。
遺言執行者を選任している場合には受遺者だけでなく、遺言執行者の同意も必要です。

2-3 遺産分割協議の実施が遺言書で禁止されていない

故人は遺言書で遺産の分割方法を指定するだけでなく、遺産分割協議の禁止も指示できます。
遺言書にて遺産分割協議の禁止が記載されていた場合は、相続人全員が合意したとしても遺産分割協議を行うことは認められません。

なお、遺言書による遺産分割協議の禁止は期限が5年間とされています。
そのため厳密に言えば、相続開始から5年経過すれば遺産分割協議を行えます。

ただし、遺産分割協議を5年間行わず放置することは下記のデメリットがあるので現実的ではありません。

  • 相続手続きは一切行えない
  • 相続税申告の期限は遺産分割協議の未完了に関わらず、相続開始から10ヶ月以内とされている
  • 相続税申告前に遺産分割協議が完了していないと、相続税の控除や特例を適用できなくなる恐れがある

上記のデメリットがあるので、遺言で遺産分割協議が禁止されていた場合には、遺言書通りに財産を受け継ぐしかないケースもあるでしょう。

遺言書作成時には遺言執行者も選任しよう

遺言書で指示した通りに遺産分割してほしいのであれば、遺言執行者を選任するのがおすすめです。
遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を実現する役割を持つ人物です。

遺言執行者は相続人だけでなく、司法書士や弁護士などの専門家にも依頼可能です。
専門家を遺言執行者としておけば、相続人間によるトラブルや遺言書を作成していても相続人全員が合意して遺産分割協議を行うリスクを減らせます。

遺言執行者とは|誰がなれる?選任方法や仕事内容を徹底解説【完全版】

3章 遺言書の内容に納得できないときの対処法

故人が作成した遺言書によっては、遺産分割の内容に納得できないこともあるでしょう。
相続人の一部に有利な遺言書が作成されていた場合には、相続人全員が遺産分割協議に合意することは考えにくいです。

遺言書の内容に納得できず遺産分割協議を行うことも難しい場合には、下記の3つの方法で遺言書の無効や少しでも財産を受け取るために主張することもご検討ください。

  1. 遺言無効確認調停を申立てる
  2. 遺言無効確認訴訟を行う
  3. 遺留分侵害額請求を行う

それぞれ詳しく解説していきます。

3-1 遺言無効確認調停を申立てる

遺言無効確認調停とは名前の通り、遺言書の無効を話し合う調停です。
遺言書の内容に納得できない場合には、内容ではなく遺言書の有効性そのものを争います。

例えば、遺言書作成時に故人は認知症だったので判断能力がないなどで遺言書の無効を主張するケースが多いです。
遺言無効確認調停は、家庭裁判所に申立てを行い、調停委員が仲介者となり相続人間で話し合います。

あくまでも、話し合いなので調停不成立となった場合には、遺言無効確認訴訟へと手続きが移ります。

3-2 遺言無効確認訴訟を行う

遺言無効確認調停が不成立になった場合には、遺言無効確認訴訟を行い遺言書が無効かどうか裁判所に判断してもらえます。
遺言書が無効と判断された場合には、遺言書が効力を失うので遺産分割協議を行えるようになります。

なお、遺言無効確認訴訟で遺言書が無効とされるのは、主に下記の3つのケースです。

  • 遺言書作成時に故人に遺言能力がなかった場合
  • 故人の意思に反した遺言書だった場合
  • 遺言書の要件を満たしていない場合

例えば、遺言書作成時に故人が認知症だった場合には、遺言書が無効になる恐れがあります。
また、相続人の1人が自分に有利な遺言書を書かせるために脅迫していた事実が明らかになった場合も遺言書は効力を失います。

遺言書が要件を満たしているかは、主に自筆証書遺言で争われやすいです。
自筆証書遺言はすべて自分で作成できるので、署名や日付の書き方が要件を満たさず、無効になるケースがあります。

認知症の人が作成した遺言書は無効?無効を主張する方法とは?

3-3 遺留分侵害額請求を行う

相続人が遺言書の内容に納得できない場合、遺言無効確認調停や訴訟を行うとともに、遺留分侵害額請求を行うケースが多いです。

遺留分とは、故人の配偶者や子供に認められている遺産を最低限度受け取れる権利です。
遺言書の内容が遺留分を侵害していた場合には、遺産を多く受け取る相続人や受遺者に対して、遺留分侵害相当額の金銭を請求できます。

遺留分侵害額請求を行っておけば、遺言無効確認調停や訴訟の結果、遺言書が無効にならなかったとしても最低限度の遺産は受け取れます。
このように、遺留分侵害額請求は、遺言無効確認調停や訴訟の保険的な役割で行われるケースが多いです。

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相続トラブルが顕在化したら弁護士に相談しよう

遺言無効確認調停や訴訟など、相続トラブルが顕在化したら解決できる専門家は弁護士のみです。
特に、遺言無効確認訴訟では相手方になる相続人が弁護士を用意してくる場合もあるので、自分も弁護士に依頼した方が良いでしょう。

一方で、はっきりとした相続トラブルが起きていない場合には弁護士ではなく司法書士でも解決できる可能性があります。
相続トラブルが複雑化、泥沼化するほど解決までに費用や時間がかかりますし、解決後も相続人同士の関係性は悪化したままになりやすいです。

遺言書の内容に納得できない、不審な点がある場合には、早めに司法書士や弁護士に相談するのがおすすめです。

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まとめ

基本的に遺言書は遺産分割協議書より優先されますが、すべてのケースで遺言書通りの遺産分割が行われるわけではありません。
法定相続人全員が合意したケースやそもそも遺言書が無効な場合には、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

遺言書が無効かどうか、遺産分割協議を行えるかどうかは相続人が自分で判断するのが難しいケースもあるでしょう。
相続に詳しい司法書士や弁護士であれば、トラブルが顕在化する前の対処や双方納得のいく解決方法を提案できます。

グリーン司法書士法人は、遺産分割協議を始めとする相続手続きに関する相談をお受けしています。
初回相談は無料、かつオンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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よくあるご質問

遺言書と遺産分割協議書はどちらが優先される?

原則として、遺言書は遺産分割協議よりも優先されます。
そのため、故人が遺言書を作成していた場合には記載された内容通りに遺産を分割します。
▶遺言書と遺産分割協議書について詳しくはコチラ

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