【最大80%】小規模宅地等の評価減の特例とは?要件や手続きガイド

小規模宅地の特例で最大80%評価減できる!賢く活用して節税しよう

「土地を相続するときの税負担を何とか抑えたい…」

相続手続きを進めると、誰もが一度は思うことです。そのなかで情報収集を行い「小規模宅地等の特例でどれくらい評価減できるのか」が気になっている段階かと思います。

小規模宅地等の特例は類型によって、最大80%の評価減ができます。要件に該当すれば、強力な相続税対策として活用できる可能性があります。

小規模宅地等の特例の類型

限度面積/減額される割合

特定居住用宅地等
自宅の土地など

  • 限度面積:330平方メートル
  • 減額される割合:80%

貸付事業用宅地等
賃貸アパートや貸し駐車場の土地など

  • 限度面積:200平方メートル
  • 減額される割合:50%

特定事業用宅地等
店舗や工場の土地など

  • 限度面積:400平方メートル
  • 減額される割合:80%

特定同族会社事業用宅地等
同族会社の店舗・工場などに使われている土地など

  • 限度面積:400平方メートル
  • 減額される割合:80%

参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

しかし、インターネット上の情報は曖昧な点が多く、この情報だけで小規模宅地等の特例を使おうとするとミスをする可能性が高いです。

誰がどのタイミングで小規模宅地等の特例を使うのかまで考えて進めないと「小規模宅地等の特例が使えなかった」など、大きな税負担がのしかかることになるのです。

【小規模宅地等の特例の落とし穴】

  • 小規模宅地等の特例が使えない相続人に相続してしまい、最終的に特例が使えなくなった
  • 「小規模宅地等の特例が使える」と自己判断していたものの非常に細かく複雑な要件を理解しきれておらず、結果的に使えなかった
  • 一次相続で小規模宅地等の特例を使ったものの、二次相続の税負担が大きくなってしまった

本記事では、小規模宅地等の特例の評価減の概要や要件、よくある落とし穴をまとめて解説します。

少しでも相続時の税負担を減らすためにも、ぜひ参考にしてみてください。


1章 小規模宅地等の特例では最大80%評価減できる

冒頭でも触れたように、小規模宅地等の特例は最大80%評価減できる強力な特例です。

一例として、自宅の土地の相続税評価額が5,000万円の場合に、小規模宅地等の特例が適用できるシミュレーションをしてみましょう。

【小規模宅地等の特例のシミュレーション】

  • 限度面積:330㎡
  • 減額割合:80%

自宅の土地:5,000万円(264㎡)

5,000万円×80%=4,000万円減額
5,000万円-4,000万円=1,000万円

特例適用後の土地評価額:1,000万円

このシミュレーションでは、本来は土地の評価額5,000万円を相続財産に含めて相続税を計算するところ、小規模宅地等の特例を適用することで、土地の評価額を1,000万円まで圧縮できました。

つまり、5,000万円の土地を相続しながら、相続税の計算上では1,000万円として扱える点が大きなメリットです。

小規模宅地等の特例を上手に活用できれば「相続税が足りなくて不動産を売却しなければならない」「納税のために預貯金を大きく取り崩すことになった」などのリスクを抑えられます。

ただし、小規模宅地等の特例の適用要件は非常に細かく、どのような土地でも80%の評価減が適用されるわけではありません。

小規模宅地等の特例の概要については、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

小規模宅地等の特例とは?要件や計算例、手続きをわかりやすく解説


2章 小規模宅地等の特例の評価減額は土地の用途によって変わる

小規模宅地等の特例は、用途に応じて土地を4つの類型に分けています。

下記のようにそれぞれ評価の減額率や、適用される面積の限度が変わりますが、最大で80%評価減ができます。

小規模宅地等の特例の類型

限度面積/減額される割合

特定居住用宅地等
自宅の土地など

  • 限度面積:330平方メートル
  • 減額される割合:80%

貸付事業用宅地等
賃貸アパートや貸し駐車場の土地など

  • 限度面積:200平方メートル
  • 減額される割合:50%

特定事業用宅地等
店舗や工場の土地など

  • 限度面積:400平方メートル
  • 減額される割合:80%

特定同族会社事業用宅地等
同族会社の店舗・工場などに使われている土地など

  • 限度面積:400平方メートル
  • 減額される割合:80%

参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

ここでは、小規模宅地等の特例の類型ごとの評価減や適用要件などをまとめてご紹介します。

目の前の相続で小規模宅地等の特例が適用できそうか、どれくらい相続税が変わるのか判断するためにも、参考にしてみてください。

2-1 特定居住用宅地等|自宅の土地など

特定居住用宅地等とは、亡くなった人や、亡くなった人と生計をともにしていた親族が、相続直前まで住んでいた土地のことです。

例えば、

亡くなった人と同居していた配偶者が住んでいる自宅の土地
父と同居していた子が土地を相続し、相続税の申告期限まで住み続けた

などが該当します。特定居住用宅地等では、330平方メートルまで土地の相続税評価額が80%減額されます。

特定居住用宅地等の限度面積・減額される割合

限度面積

330平方メートル

減額される割合

80%

特定居住用宅地等の80%という強力な評価減を活用するには、亡くなった人の土地を誰が相続するかが重要です。

亡くなった人の土地を誰が相続しても適用されるわけではないので、下記の表を見て確認してみましょう。

土地を相続する人

適用例

主な適用要件

配偶者

亡くなった人:夫
土地を相続する人:妻

なし

亡くなった人と
同じ建物に住んでいた親族

亡くなった人:父
同じ建物に住んでいた親族:子供
土地を相続する人:子供

  • 相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に住んでいること
  • 相続開始時から相続税の申告期限まで、その土地を所有し続けること

亡くなった人と
同一生計で、別居していた親族

父:別の場所に居住
子:父が所有する家に居住
父と子:生計をともにしている
土地を相続する人:子供

  • 相続開始直前から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住していること
  • 相続開始時から相続税の申告期限まで、その土地を所有し続けること

別居親族
(家なき子特例)

亡くなった人:父
父:配偶者がおらず、自宅で一人暮らし
子:父とは別居し、第三者所有の賃貸住宅に居住
土地を相続する人:子供

  • 被相続人に配偶者がいないこと
  • 相続開始の直前に亡くなった人の自宅に同居していた相続人がいないこと
  • 相続開始前3年以内に、本人・本人の配偶者・3親等内の親族・一定の関係法人が所有する家屋に住んでいないこと
  • 相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがないこと
  • 相続した宅地を相続税の申告期限まで所有していること

参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
参考:国税庁「小規模宅地等の特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」の判定」

例えば、一緒に住んでいた夫が死亡し、妻(配偶者)が土地を相続した場合は特定居住用宅地等の要件に該当します。

一方で、一人暮らしの父が亡くなり、持ち家に住む別居中の子が実家の土地を相続する場合、原則として特定居住用宅地等の要件に該当しません。

このように、特定居住用宅地等の要件は「絶妙に適用されにくい」と言われるほど要件が細かく、自己判断は危険です。自分が該当するのか悩んだ場合は、事前に専門家に相談するようにしましょう。

家なき子の特例については下記の記事で詳しく要件をまとめているので、参考にしてみてください。

小規模宅地等の特例は同居していない人もOK!適用要件を解説

2-2 貸付事業用宅地等|賃貸アパートや貸し駐車場の土地など

貸付事業用宅地等は、被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族が貸付事業のために使用していた土地のことです。

例えば、

  • 亡くなった父が所有するアパートを入居者に貸して家賃収入を得ていた
  • 亡くなった父が所有する倉庫を会社や個人に貸していた

などが該当します。貸付事業用宅地等では、200平方メートルまで土地の相続税評価額が50%減額されます。

貸付事業用宅地等の限度面積・減額される割合

限度面積

200平方メートル

減額される割合

50%

貸付事業用宅地等は、土地に関する要件と相続した人に関する要件を満たしている必要があります。

対象者

主な要件

土地に関する要件

  • 亡くなる直前まで、貸付事業に使用していた
  • アパートや貸家、駐車場など、貸付事業の用に供されていた土地である
  • 原則として相続開始前3年以内に新しく貸付事業を始めた土地ではない

相続した人に
関する要件

亡くなった人が
貸付事業をしていた場合

  • 相続税の申告期限までに貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで継続する
  • 相続税の申告期限まで土地を所有し続ける

同一生計の親族が
貸付事業をしていた場合

  • 相続開始前から相続税の申告期限まで貸付事業を継続する
  • 相続税の申告期限まで土地を所有し続ける

参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

土地に関する要件では、収益物件の棟数や部屋数についての制限はありません。

「亡くなった父が4部屋のアパートを所有し、継続的に入居者へ貸していた」「亡くなった父が所有する分譲マンションの1室を第三者に貸していた」という場合でも、要件を満たせる可能性があります。

また、貸し駐車場は、地面にロープを張っただけのような状態では、土地に構築物があると認められず、特例が適用されないので注意が必要です。アスファルトなどで土地を舗装する、または強固な車止めなどの構築物を設置している必要があります。

マンションの相続に小規模宅地等の特例が使えるかどうかは、下記の記事でもまとめているので参考にしてみてください。

マンションの相続に小規模宅地等の特例は使える!適用要件と注意点

2-3 特定事業用宅地等|店舗や工場の土地など

特定事業用宅地等とは、亡くなった人や同一生計の親族が店舗や工場、事務所などの事業に使っていた土地のことです。

例えば、

  • 父が自分の土地で飲食店を経営しており、父の死亡後に長男が土地と飲食店を相続して事業を引き継ぐ
  • 父が所有する土地に作業場があり、父と生計をともにする長男が、その作業場で大工業を営んでいた。父の死亡後、長男が土地を相続して作業場を継続する

などが該当します。特定事業用宅地等では、400平方メートルまで土地の相続税評価額が80%減額されます。

特定事業用宅地等の限度面積・減額される割合

限度面積

400平方メートル

減額される割合

80%

特定事業用宅地等の適用を受けるには、土地の利用状況に関する要件と、土地を相続した人に関する要件を満たす必要があります。

対象者

主な要件

土地に関する要件

  • 亡くなる直前まで、店舗・事務所・工場など、貸付事業以外の事業に使われていた
  • 原則として、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された土地ではない
  • 建物や構築物の敷地として使われている

相続した人に
関する要件

亡くなった人が
事業をしていた場合

  • 相続税の申告期限までに事業を引き継ぐ
  • 相続税の申告期限まで事業を続ける
  • 相続税の申告期限まで土地を所有し続ける

同一生計の親族が
事業をしていた場合

  • 相続開始直前から相続税の申告期限まで、その土地で事業を続ける
  • 相続税の申告期限まで土地を所有し続ける

※※ただし、亡くなる3年以上前から一定規模以上の事業を行っていた場合は、例外として特例の対象となることがあります。
参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

例えば、父が自分の土地で長年工場を経営していました。父の死亡後、長男が土地と工場を相続し、相続税の申告期限までに工場を引き継いだ場合、その土地は特定事業用宅地等に該当する可能性があります。

一方で、父が亡くなった後に、長男が父が経営していた店舗の土地を相続しましたが、引き継がずに店舗を取り壊して自宅として使用しました。この場合、父の事業を承継していないため、特定事業用宅地等には該当しません。

2-4 特定同族会社事業用宅地等|同族会社の店舗・工場などに使われている土地など

特定同族会社事業用宅地等とは、亡くなった人およびその親族等が合計で株式等の50%超を保有する会社が、店舗や工場などの事業に使用していた亡くなった人所有の土地です。

土地を相続した親族は、相続税の申告期限時点でその会社の役員である必要があります。

例えば、父の土地で、父の家族会社が工場を経営しているときに一定の要件を満たす場合が該当します。特定同族会社事業用宅地等では、400平方メートルまで土地の相続税評価額が80%減額されます。

特定同族会社事業用宅地等の限度面積・減額される割合

限度面積

400平方メートル

減額される割合

80%

特定同族会社事業用宅地等の適用を受けるには、下記の条件を満たす必要があります。

項目

適用条件

土地に関する要件

  • 亡くなる直前から相続税の申告期限まで、その会社の店舗・事務所・工場などに使われている
  • 不動産貸付業、駐車場業などの貸付事業に使われていない

会社に関する要件

  • 亡くなった人およびその親族などが、その会社の発行済株式総数または出資総額の50%超を保有している
  • 相続税の申告期限時点で清算中ではない

土地を相続した親族に関する要件

  • 相続税の申告期限時点で、その会社の役員である
  • 相続税の申告期限まで土地を保有し続ける

参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

例えば、父の家族会社がパン屋を経営しているときに

  • 土地は父個人のもの
  • パン屋を経営しているのは、父や家族が株式の50%超を持つ会社
  • 父が亡くなり、娘が土地を相続(相続税の申告期限時点ではその会社の役員)
  • 会社はその場所でパン屋を続け、娘も土地を持ち続ける

という場合は、特定同族会社事業用宅地等の適用になる可能性があります。

一方で、父の家族会社がパン屋を経営しても

  • 父や家族の株式保有割合が50%以下だった
  • 土地を相続した娘が、申告期限時点で会社の役員ではなかった

など、1つでも要件が欠けていると特定同族会社事業用宅地等の適用になりません。

このように、小規模宅地等の特例は「絶妙に適用されにくい」と言われるほど要件が細かく、自己判断では「自分が対象なのか」を判断することが非常に難しいです。

正しい判断をして手元に残る資金を最大化するためにも、相続に特化した専門家集団であるグリーングループにお悩みをお気軽にお聞かせください。

電話で気軽に聞きたい方はこちらをクリック
メールでじっくり聞きたい方はこちらをクリック
LINEで聞きたい方はこちらをクリック
※平日9時〜20時 / 土日祝9時〜18時まで営業。年末年始以外は営業しております。


3章 【ケース別】小規模宅地等の特例の評価減額事例

ここでは、具体的に小規模宅地等の特例を利用した際の評価減額の事例を紹介します。

3-1 自宅を相続したケース

自宅を相続したケース

【シチュエーション】

亡くなった方が自宅を残して亡くなり、亡くなった方と同居していた長男が相続した。

<評価額>

  • 土地:5,000万円(264㎡)
  • 建物:1,000万円

<小規模宅地等の特例適用後の評価額>

  • 土地:5,000万円(264㎡)→5,000万円×(100%-80%)=1,000万円
  • 建物:1,000万円→適用なし
  • 土地評価額の減額→4,000万円

長男は亡くなった父と同居しており、相続税の申告期限まで居住と土地の所有を続けているため、特定居住用宅地等の適用要件を満たしています。

特定居住用宅地等の場合、330㎡までの部分の評価額が80%減額されます。なお、小規模宅地等の特例で評価額が減額されるのは土地だけですので、建物は減額されません。

小規模宅地等の特例を適用したことで、評価額を4,000万円も減額することができます。仮に相続税率が50%の場合、2,000万円もの相続税が減額されます。

3-2 賃貸物件を相続したケース

賃貸物件を相続したケース

【シチュエーション】

亡くなった方が10年前から賃貸しているアパートを残して亡くなり、長男がこのアパートを相続して賃貸事業を引き継いだ。相続税の申告期限以降も所有し続け、事業も継続する。

<評価額>

  • 土地:1億円(400㎡)
  • 建物:3,000万円

<小規模宅地等の特例適用後の評価額>

  • 土地:1億円(400㎡)→1億円-2,500万円=7,500万円※
  • 建物:3,000万円→適用なし
  • 土地評価額の減額→2,500万円

※特例対象部分の評価額:1億円 × 200/400 = 5,000万円
減額額:5,000万円 × 50% = 2,500万円
特例適用後の土地全体の評価額:1億円 − 2,500万円 = 7,500万円

長男は相続税の申告期限までアパートを所有し、賃貸事業を継続しています。また、土地は相続開始の10年前から賃貸事業に使用されているため、貸付事業用宅地等の適用要件を満たしています。

貸付事業用宅地は、200㎡までの部分の評価額が50%減額されます。
なお、小規模宅地等の特例で評価額が減額されるのは土地だけですので、建物は減額されません。

小規模宅地等の特例を適用したことで、評価額を2,500万円も減額することができます。仮に相続税率が50%の場合、1,250万円もの相続税が減額されます。

3-3 自宅と賃貸物件を相続したケース

自宅と賃貸物件を相続したケース

【シチュエーション】

亡くなった方が10年以上前から賃貸しているアパートと自宅を残して亡くなり、どちらも亡くなった方と同居していた長男が相続。長男はどちらの不動産も相続税の申告期限以降も所有し、賃貸アパートの賃貸事業も継続する。

<評価額>

  • 自宅
  • 土地:5,000万円(264㎡)
  • 建物:1000万円
  • 賃貸アパート
  • 土地:1億円(400㎡)
  • 建物:5,000万円

<小規模宅地等の特例適用後の評価額>

  • 自宅
  • 土地:5,000万円×(100%-80%)=1,000万円
  • 建物:適用なし
  • アパート
  • 土地:1億円-500万円=9,500万円※
  • 建物:適用なし
  • 土地評価額の減額→500万円

※40㎡相当の評価額:1億円 × 40/400 = 1,000万円
その50%を減額:1,000万円 × 50% = 500万円
特例適用後のアパート土地全体:1億円 − 500万円 = 9,500万円

自宅は特定居住用宅地等として、賃貸アパートは貸付事業用宅地等として適用要件を満たしています。

ただし、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等のどちらも相続する場合、小規模宅地等の特例を併用できるものの、限度面積には以下のような制限があります。

特定居住用宅地等の面積(㎡)×200÷330+貸付事業用宅地等の面積(㎡)≦200㎡

併用する場合には、評価額の減額率が高くなるよう調整することが大切です。このケースでは、自宅を最大限に適用するほうが減額率が高くなります。上記の計算式を用いて計算すると、アパートに適用できるのは40㎡のみとなります。

200㎡ - (自宅の適用面積264㎡ × 200 ÷ 330) 
= アパート(貸付事業用)として適用できる残りの限度面積40㎡

もし、賃貸アパートの土地の1㎡あたりの価格が自宅の土地の2.64倍ある場合には、アパートを優先するほうが減額率が高くなります。

自宅とアパートの合計が1億5,000万円だった土地の評価額が1億500万円に抑えることが可能です。仮に相続税率が50%だった場合、相続税は2,250万円減額されます。


4章 小規模宅地等の特例を使うときの落とし穴

小規模宅地等の特例は最大80%の評価減ができる強力な特例ですが、実は安易に使おうとすると思わぬ落とし穴にはまることがあります。

ここでは、小規模宅地等の特例を使うときに知っておきたい落とし穴をご紹介します。相続登記を進めるなかで後悔しないためにも、事前に把握しておきましょう。

小規模宅地等の特例を適用するときの落とし穴

  • 小規模宅地等の特例が使えると思い込み手続きを進めてしまう
  • 特例を使うから相続税の申告は不要だと思ってしまう
  • 二次相続で想像以上の税負担がのしかかる可能性がある

4-1 小規模宅地等の特例が使えると思い込み手続きを進めてしまう

1つ目は、小規模宅地等の特例が使えると思い込み手続きを進めてしまうことです。

「2章 小規模宅地等の特例の評価減額は土地の用途によって変わる」でも触れたように、小規模宅地等の特例の要件は非常に複雑です。

インターネット上の情報を自分に都合よく解釈して「今回の相続では使えるはずだ」と何となく進めてしまうと、小規模宅地等の特例が使える経路を考える工程が抜けることがあります。その結果「最終的に使えなくなる」という失敗に陥ることがあるのです。

実際に相続手続きを急ぐあまり誰が相続するのかをしっかりと検討せず、小規模宅地等の特例が使えなくなった例もあります。

【小規模宅地等の特例が使えなくなった例】

不動産の売却や名義変更を急ぐあまり「とりあえずこの人でいいだろう」と特定の相続人名義にしてしまった結果、小規模宅地等の特例の適用要件を満たさない人が土地を取得してしまいました。

その結果、強力な特例が一切使えなくなってしまいました。相続する人の選定ミスは、遺産分割協議をまとめて登記してしまうと、やり直すことができません。

最終的に、小規模宅地等の特例が使えれば発生しなかった、数百万円単位の税金を支払うことになってしまいました。

「小規模宅地等の特例が使える」という気持ちだけが先走り、要件を満たしているのかなどの確認が漏れてしまうと大きな税負担がのしかかり後悔することになります。

小規模宅地等の特例を最大限に活用するには自己判断をしないで、遺産分割の話し合いを始める前に、専門家に相談をして勝ち筋を立てることが大切です。

4-2 特例を使うから相続税の申告は不要だと思ってしまう

2つ目は、特例を使うから相続税の申告は不要だと思ってしまうことです。小規模宅地等の特例を使った結果、相続税が0円になる場合は、相続税申告は必要です。

小規模宅地等の特例は自動的に適用されるものではなく、相続税の申告を行うことで適用されるものだからです。

「小規模宅地等の特例を使えば相続税はかからないから申告は不要」だと思い込んでいると、申告を怠って自ら適用を放棄したことになり、下記のような事態に陥る可能性があるのです。

【相続税の申告が不要だと勘違いした事例】

「小規模宅地等の特例を使ったから申告は不要だ」と勘違いしてこの期限を過ぎてしまうと、特例自体が使えなくなります。

場合によっては、相続税を期限までに納めなかった延滞税などがかかることも考えられるでしょう。

相続税の申告を怠るだけで本来なら払わなくてよかった数百万円という多額の相続税を請求され、取り返しのつかない事態に陥ります。

相続税の申告は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内という厳格な期限があります。

正確な財産評価や書類作成が必要となるため、遅くとも相続開始から3ヶ月以内を目安に税理士などの専門家へ相談し、申告の要否確認や財産調査を始めることが安心です。

このように、自己判断で進めると「相続税の申告に間に合わない」「相続税の申告自体を不要だと思ってしまう」などのミスが起こってしまうため、専門家と確実に進めたほうがいいでしょう。

4-3 二次相続で想像以上の税負担がのしかかる可能性がある

3つ目は、二次相続で想像以上の税負担がのしかかる可能性があることです。

目先の相続で小規模宅地等の特例を使い相続税を抑えても、次の相続が発生して小規模宅地等の特例が使えなくなった場合に大きな税負担がのしかかる可能性があります。

例えば、下記のケースでシミュレーションをすると、誰が自宅の土地を一次相続するのかによって、二次相続まで含めた相続税の合計額が大きく変わります。

【シミュレーションの状況】

  • 相続人:配偶者・子2人
  • 自宅土地:4,000万円
  • その他財産:8,000万円
  • 自宅土地は小規模宅地等の特例の対象(80%減額)
  • 配偶者だけの財産なし

※二次相続では小規模宅地等の特例を使わない想定

シミュレーションのケース

一次相続

二次相続

合計

一次相続で配偶者に全て相続

0円
(配偶者控除)

1,160万円

1,160万円

配偶者50%・子50%
(土地含めて全部半分にする)

配偶者:0円
子供:225万円

180万円

405万円

子供が土地を一次相続する

配偶者:0円
子供:245万円

0円
(基礎控除内)

245万円

※あくまでも一例です

このシミュレーションでは、一次相続で配偶者が全て相続するより、子供が土地を一次相続したほうが相続税の負担を抑えられます。

このように、とりあえず目先の相続で小規模宅地等の特例を使うことだけを考えていると、将来子供や孫に重い税負担を残すことになります。

誰がどのタイミングで小規模宅地等の特例を使うのかまでを含めて、総合的に判断することが非常に重要です。


5章 自己判断で進める前に小規模宅地等の特例の対象なのか専門家に確認しよう

ここまで触れたように、小規模宅地等の特例は最大80%の評価減ができる強力な特例ですが、しっかりと調べて「特例を有効活用したい」と意気込む方こそ

  • どのように相続すれば小規模宅地等の特例の対象になるのか
  • このタイミングで小規模宅地等の特例を適用していいのか

なども含めて、インターネット上の曖昧な情報に流されて後悔するケースが後を絶ちません。

遺産分割を進める前にグリーングループと一緒に小規模宅地等の特例を使えるのか、使ったほうがいいのかお話してみませんか?

グリーングループは相続に関する相談件数が累計55,193件(2025年10月末現在)と豊富で、さまざまな相続手続きに携わってきました。

これまでの経験や知識を活かして細かくシミュレーションをしながら「小規模宅地等の特例をどうすれば使えるのか」「どのタイミングで使ったほうがいいのか」などをご提案します。

また、相続手続き・不動産・税務の各領域が連携しているので、保有している不動産の出口戦略や他の相続税対策も含めた施策などを提案することも可能です。

非常に複雑な小規模宅地等の特例を自己判断で進め「やっぱり使えない」「相続人を間違えた」などとなると、重い税負担がのしかかります。

そうなる前に一度相続に特化した専門家集団であるグリーングループと現状を整理してみましょう。


まとめ

本記事では、小規模宅地等の特例の類型ごとの評価減や使うときの注意点をまとめて解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇小規模宅地等の特例の類型ごとの評価減は下記のとおり

小規模宅地等の特例の類型

限度面積/減額される割合

特定居住用宅地等
自宅の土地など

  • 限度面積:330平方メートル
  • 減額される割合:80%

貸付事業用宅地等
賃貸アパートや貸し駐車場の土地など

  • 限度面積:200平方メートル
  • 減額される割合:50%

特定事業用宅地等
店舗や工場の土地など

  • 限度面積:400平方メートル
  • 減額される割合:80%

特定同族会社事業用宅地等
同族会社の店舗・工場などに使われている土地など

  • 限度面積:400平方メートル
  • 減額される割合:80%

〇小規模宅地等の特例を使うときの落とし穴は下記のとおり

  • 小規模宅地等の特例が使えると思い込み手続きを進めてしまう
  • 特例を使うから相続税の申告は不要だと思ってしまう
  • 二次相続で想像以上の税負担がのしかかる可能性がある

小規模宅地等の特例は要件が複雑なので、自己判断で進めてしまうと予期せぬトラブルにつながる可能性があります。

ご家族の状況に応じて最適なタイミングで特例を使い、手残りを最大化するためにも、一度グリーングループとお話してみませんか?

相続の失敗は、事前の相談で防げます

まずは相続の全体像を
一緒に把握しましょう。
相続の不安や悩みを一つひとつ、
丁寧に解消していきます。

相談無料・オンラインも対応可能

メールで相談してみる

お電話でも相談を
受け付けています

0120-797-031

平日 9時-20時 / 土日祝 9時-18時 年末年始休業

すでにグリーングループへご依頼中の方は
こちらへご連絡ください。

相続に関わる不安や悩みを、一つひとつ丁寧に解消していきます。
まずはご一緒に状況を整理しましょう。

相談無料・オンラインも対応可能

メールで相談してみる

お電話でも相談を
受け付けています

0120-797-031

平日 9時-20時 / 土日祝 9時-18時 年末年始休業