相談の背景
Dさんの唯一の息子は離婚し、その前妻との間に子供がいます。
Dさんは資産を保有しており、息子に生前贈与を考えていますが、その際に前妻との子供にも将来的に遺産が渡ることを避けたいと考えています。可能ならば、現在の妻との間に生まれた孫に直接お金を贈りたいとのことです。
また、現在の妻との孫はまだ幼いため、お金の有効な使用が難しいと思われるので、高校卒業と大学卒業のそれぞれの時点で、800万円ずつ贈与できたらと考えています。
ご提案とサポート
Dさんは高齢であるため、できるだけ早く生前対策を進めたいと考えています。
このケースで重要なポイントは、孫が贈与を受けるまでに時間がかかることです。
そのため、遺言代用信託を活用することを提案しました。
相談の結果
遺言代用信託は、家族信託と遺言を組み合わせたものと考えていただければ分かりやすいです。
Dさんは、高校卒業と大学卒業の時点で孫に預金を贈るための遺言を作成します。
そして、Dさんの死後、この遺言の内容を確実に実行するために信託を設定します。
委託者はDさんであり、孫への財産移転を確実に行うために息子が受託者となります。
未成年の孫のために、財産を受け取る代理人として息子が信託監督人(通常は司法書士や弁護士が担当する場合が多い)を選任し、孫の利益を監督する仕組みを作ることも考えられます。
家族信託の利点
家族信託を利用することで、贈与のタイミングを事前に設定できます。
遺言だけでは財産の引渡しは確実ではありませんが、信託を通じてその実現性が高まります。
さらに、今回のケースのように特定の時期に複数回に分けて贈与することも、家族信託なら実現可能です。