- 会社売却とは何か
- 会社売却のメリット、デメリット
- 会社売却の方法・流れ
「会社売却をしたいけれど、方法や売却価格など詳しいことがよくわからない……」とお悩みの人もいるのではないでしょうか。
会社経営をしてきた人でも、会社売却を経験したことがある人は少ないです。
したがって、会社売却の知識がないのは当然のことだと言えます。
しかし、会社売却について知らないまま手続きを始めるのは失敗のリスクが高いです。
会社売却には、複数の方法があるので売却理由や自社の状況に合う方法を選択する必要があります。
本記事では、会社売却の基礎的な知識や方法、注意点などを解説していきます。
会社売却についてしっかり理解して、あなたの理想通りの売却を成功させましょう。
目次
1章 会社売却とは
会社売却とは、今まで経営してきた会社を売ることです。
会社売却をすれば売却利益が手に入るため、経営者がリタイアするときや新事業に注力するときなどに行われます。
ここで「売却価格はどれくらいになるのだろう?」と、疑問に思った人も多いはずです。
会社売却での価格の相場を見ていきましょう。
1-1 売却価格の相場は経常利益の5倍程度
会社売却の価格には、明確な相場は存在していません。
買い手側と売り手側が納得する価格であれば交渉が成立するので、場合によって大きく異なるのです。
大まかな目安としては、会社の経常利益の5倍程度だとされています。
ちなみに、少しでも高い価格で会社売却を行いたいのであれば、会社の目に見えない資産を大切にするべきです。
単に売上だけではなく、取引先の将来性や従業員のスキル、事業の発展性なども会社売却では重要とされます。
したがって、売却価格を相場以上にしたいのであれば、目に見えない資産も積極的に増やしていきましょう。
2章 会社売却のメリット
会社売却をすれば、売却利益が得られるだけでなく従業員の雇用環境を維持できるなどのメリットがあります。
会社売却のメリットは、主に下記の通りです。
- 売却利益が得られる
- 会社が存続し発展する可能性がある
- 従業員がその後も働ける
- 経営者による個人保証を解除できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 売却利益が得られる
会社売却を行うことによって、売却利益が得られます。
売却価格の目安はすでにご紹介した通り、経常利益の5倍程度です。
リタイアをするなど会社経営をやめるとしても、廃業を選ぶと撤退コストがかかることもよくあります。
例えば、会社が入っていたテナントを入居時の状態に戻す原状回復費用などが必要となることもあるでしょう。
一方で、会社売却を行えば売却利益が得られるだけではなく、撤退コストも不要になります。
撤退コストについて意識しておかなければ、廃業の際に予想外の費用がかかってしまうことも多いです。
他にも、廃業を選ぶと今まで商品を生み出すために使ってきた設備も適切に処分しなければなりません。
しかし、会社売却を行えばテナントや設備ごと買い手に引き継いでもらえます。
会社売却をすれば、売却利益を得られることに加えて、撤退コストを負担しなくて良くなるため、経営者は大きな金銭的メリットが得られるはずです。
せっかく今まで経営を続けてきたのであれば、会社経営から退くときも利益を得られるように意識しましょう。
2-2 会社が存続し発展する可能性がある
会社売却を行うことによって、経営者がリタイアしても会社が存続していきます。
それによって、今まで以上に会社が発展する可能性も高いです。
今行っている事業をより上手く行える買い手を見つければ、会社は大きくなっていくと考えられます。
経営者を退いてからも自分が経営していた会社が発展するのは嬉しいものです。
身近に後継者がいなくて困っていたというときでも、会社売却によって経営を続けていくことができます。
したがって、後継者不足で悩んでいるときでも会社売却を行えば、いわゆる事業承継が可能です。
事業承継と言えば親族や従業員がするものと考えている経営者も多いと思います。
しかし、実際には会社売却を用いた第三者への事業承継もよくあることです。
リタイアはしたいけれど廃業するのには抵抗があるというとき、会社売却という手段を考えてみてください。
2-3 従業員がその後も働ける
会社売却を行うことによって、従業員はその後も働き続けることができます。
経営者がリタイアして廃業してしまうと、従業員は職をなくしてしまうのです。
今まであなたの会社のために頑張ってくれた従業員の仕事をなくすのは心苦しいという経営者も多いと思います。
したがって、会社経営から退く場合でも会社売却を用いて、従業員の雇用を継続するべきです。
このとき重要なのは、買い手側に従業員も含めて会社を買ってもらうことです。
会社売却をする際には、契約内容を十分に確認するようにしてください。
2-4 経営者による個人保証を解除できる
中小企業の場合、会社が借入を行うときに経営者が連帯保証人となっているケースも多いです。
しかし、会社売却を行えば経営を退くため、個人保証を解除してもらえる可能性があります。
経営からリタイアするだけでなく老後に向けて自分の資産や負債について整理したいと考えている場合にも、会社売却は有効といえるでしょう。
ただし、連帯保証人の地位を外れるには、買い手側が連帯保証人の地位を引き継ぐこともしくは金融機関が連帯保証人なしで借入を行うことに合意しなければなりません。
このように、会社売却にはメリットもありますが、一方でデメリットもあります。
次の章では、会社売却のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
3章 会社売却のデメリット
会社売却をすると売却利益を受けられるなどのメリットがありますが、売却までに時間がかかる、一定期間は競業ビジネスを行えない恐れがあるなどのデメリットがあります。
会社売却のデメリットは、主に下記の通りです。
- 競業ビジネスを一定期間行えない恐れがある
- 売却後も会社に残ることを求められる場合がある
- 売却に時間がかかる恐れがある
- 希望通りの条件で売却できない恐れがある
- 取引先との関係が悪化する恐れがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1 競業ビジネスを一定期間行えない恐れがある
会社売却をすると、一定期間は競業ビジネスを行えない可能性があるのでご注意ください。
会社売却をしたときに契約内容に、競業となるビジネスを行わないことなどと明記されることも珍しくないからです。
3-2 売却後も会社に残ることを求められる場合がある
会社売却の手続きが完了した後も、一定期間は事業や経営に関わることや会社に残るように求められることも多いです。
会社売却後も取引先や従業員との契約など行う手続きは非常に多いからです。
取引先や従業員との契約を円滑に進め、事業承継をスムーズにするためにも前の経営者が協力しなければならない場合もあります。
3-3 売却に時間がかかる恐れがある
当たり前ですが、会社売却は買い手を見つけなければ成立しません。
事業内容や会社の状態によっては、買い手がなかなか見つからず売却に時間がかかる恐れもあります。
3-4 希望通りの条件で売却できない恐れがある
本記事で解説したように、会社売却は売り手と買い手が条件に合意すると成立します。
したがって、買い手との交渉次第では希望通りの条件で売却できない恐れもあることを理解しておきましょう。
3-5 取引先との関係が悪化する恐れがある
会社売却により、取引先との関係が悪化する可能性もゼロではありません。
特に、これまで経営者の手腕によって事業が成り立っていた場合、経営者が変わることで取引先や顧客とこれまでの関係を築けない恐れもあるでしょう。
会社売却後も事業が安定し従業員が働きやすい環境を維持したいのであれば、事業承継について関係者に丁寧に理解してもらうことが大切です。
4章 会社売却の方法・流れ
会社売却には、大きく分けて以下の3つのステップが必要となります。
- M&A会社との契約・自社価値の判断
- 買い手探し・条件交渉
- 売買契約の締結
それぞれのステップについて、順番に確認していきましょう。
STEP① M&A会社との契約・自社価値の判断
会社売却をするのなら、まずはM&A会社との契約が必要です。
自分だけで会社売却をしようと思っていた人も多いと思います。
しかし、会社売却には専門的な知識が必要なので、プロの力を借りるべきです。
M&A会社と契約することによって、会社売却が成功する確率が高まります。
M&A会社を利用すれば自分で買い手と交渉するより、良い条件で売却できる可能性もあります。
M&A会社と契約したら、まずは自社がどれくらいの価格で売れそうなのかを見極めてもらいましょう。
その価格を参考にしながら、次のステップである買い手探しに移ります。
STEP② 買い手探し・条件交渉
M&A会社と契約したら、買い手探しと条件交渉を行うことになります。
買い手を自分だけで探すのが難しいというときも、M&A会社に手伝ってもらえば良い買い手が見つかりやすいです。
M&A会社によっては、幅広いネットワークを使って最適な買い手を見つけてくれることも少なくありません。
あなただけでは見つけられなかったような買い手と出会える可能性も高いです。
買い手候補が見つかったら、お互いに納得できる会社売買が行えるのかの話し合いをします。
このときに大切なことは、自分の中で譲れない条件は明確にしておくことです。
会社売却では、自分が希望していた条件が100%そのまま採用されることは多くありません。
したがって、自分の中で絶対に譲れない条件と状況によっては譲っても良い条件を整理しておくことで、売買契約を成立させやすくなります。
事前にM&A会社としっかり打ち合わせたうえで、買い手との条件交渉に臨みましょう。
条件交渉が上手くできるか不安な人も多いと思いますが、M&A会社に依頼しておけば専門家に同行してもらえるので安心です。
STEP③ 売買契約の締結
買い手との条件交渉を終えたら、売買契約を締結します。
契約書は専門的な知識が必要となり、誤ったら後悔する結果となるのでM&A会社に依頼してください。
売買契約を締結したら、あなたは会社を買い手に譲り、買い手からは売却利益を受け取ることになります。
事業を譲り、売却利益を受け取ったら会社売却の手続き自体は終了です。
売買契約が締結されるまでは、成功しそうだとしても気を抜かずに手続きに取り組んでください。
ただし、本記事の2章で解説したように、会社売却後も一定期間は会社に残るように契約することもありますし、取引先や従業員の理解を得るには先代の経営者であるあなたの協力が必要不可欠です。
5章 会社売却を行うのに最適なタイミング
会社売却を行うのに最適なタイミングは、経営者であるあなたが売りたいと考えたときです。
売りたいと考えたなら、できるだけ早くM&A会社に相談に行きましょう。
相談に行ったうえで、売却価格を高めたいなどの希望を伝えて具体的な時期を決めていけば良いです。
自社の価値が高いときにいつか会社売却を行おうと思っていても、なかなかタイミングがつかめなくなってしまいます。
したがって、売りたいと思ったならまずはM&A会社のところに行くというように考えておいてください。
また、本記事の4章で解説したように、会社売却は買い手探しや条件交渉などを行う必要があり、思い立ったときにすぐ実行できるものではありません。
最低でも、会社売却には数ヶ月程度はかかるので、売却について考えだしたときにM&A会社に相談しておくことが大切となります。
6章 会社売却を成功させるコツ・注意点
会社売却を成功させるには、売却目的を整理しておくことや早めに検討しておくことが大切です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
6-1 売却目的や条件を整理する
会社売却の目的や希望条件を整理しておくと、買い手も探しやすくなりますし、交渉でも譲れるポイントと譲れないポイントをハッキリさせられます。
例えば、会社売却といっても下記のように様々な目的が考えられるでしょう。
- 従業員の雇用を守り続けたい
- 自分が経営を退いた後も事業をは発展させたい
- 1年以内に会社を売却したい
経験豊富なM&A会社や担当者であれば、会社売却の目的や条件を整理する手伝いもしてくれるはずです
本記事の5章でも解説しましたが、売却を考え始めた時点で信頼できるM&A会社に相談しましょう。
6-2 会社売却について早めに検討する
少しでも有利な条件で会社を売却したいのであれば、経営が軌道に乗っているうちに売却についても考えておくことをおすすめします。
経営が傾き赤字になった状態では、買い手が見つからない恐れや希望しない条件でしか売却できない恐れがあるからです。
6-3 売却が決まるまでは話を広めない
会社売却を行う際には、売却が完全に決まるまでは話を広めないようにするべきです。
もしも会社売却の途中段階で話が広まってしまうと、従業員や取引先が会社から離れてしまうかもしれません。
そうなると、あなたの会社の価値も大きく下がってしまい、会社売却で得られるはずだった売却利益も減ってしまうのです。
場合によっては、買い手自体が交渉を途中でやめてしまう可能性もあります。
良かれと思って早めに従業員や取引先に軽く話したつもりでも大きなトラブルに発展することは多いのでご注意ください。
したがって、買い手探しの段階や条件交渉の段階では外部に話を漏らさないようにしましょう。
M&A会社にも、自分以外とは会社売却についての話をしないように約束しておいたら安心です。
7章 会社売却について専門家に相談しよう
会社売却については、専門家に相談するのが安心です。
専門的な知識がなければ会社売却を成功させるのは難しいとされています。
したがって、早い段階から会社売却については専門家の力を借りましょう。
一般的に会社売却をするのであれば、M&A会社に相談することが多いです。
他にも契約書については司法書士に相談するなど、適宜具体的な専門家は異なります。
専門家に相談するのは早ければ早いほど良いので、まずは相談に行ってみてください。
多くの専門家やM&A会社は初回相談無料としているため、複数の専門家に相談してみて、信頼できる担当者を探してみるのも良いでしょう。
あなたと相性の良い専門家を見つければ、相談費用よりも多くの譲渡利益が手に入るはずです。
積極的に専門家に相談に行き、納得のいく会社売却を行ってください。
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