私は司法書士として、数多くの生前贈与の案件にかかわってきました。
中でも、北村様(仮名)からのお問合せ、相談は強く印象に残っている出来事です。
相談者様との出会い
北村様が事務所に相談に訪れたときは70代になり、資産の整理や相続対策をしたいと考え始めたときでした。
北村様は小柄ながらも背筋が伸びていて、話していてこちらも明るい気分になれるような印象でした。
北村様は50代のときにご主人を亡くされたそうです。
それ以来、ご主人が遺した財産を守りつつ自分も働き、資産を増やしてこられたとのことです。
3人いる子供も全員独立し、自分の老後を考え出す年齢になったため、生前贈与や相続対策などをしたいとのお考えでした。
北村様はご主人を亡くされたとき、相続手続きに大変手間がかかった記憶をお持ちで、とにかく子供に負担を掛けたくない、相続税をできるだけ減らしてあげたいと希望を持っておられました。
問題の分析と対応
北村様のご希望を聞い、まずは資産状況および家族構成について詳細を伺いました。
北村様は資産をかなりお持ちであり、遺産の中に占める不動産の割合も多めでした。
そのため、まずは賃貸用不動産を子供たちに贈与するメリットについてお話させていただきました。
加えて、北村様のお父様から受け継いだ田舎の土地は将来的に価値が上がらないことが予測できるため現金化するなど資産の組み換えについてもアドバイスいたしました。
北村様のご希望は子供たちの相続税負担を減らすことでしたので、贈与税や相続税のシミュレーションに関しては税理士にサポートしていただきました。
贈与契約の作成と実行
こちらの提案内容に同意してくれたので、贈与契約書の作成や北村様のご子息への説明を行いました。
子供たちも「相続税の負担が減るのはありがたい」「ただ資産を贈与しすぎてしまい本人の老後が不自由になるのは避けたい」と意見を持っておられたので、納得がいくよう丁寧に説明させていただきました。
北村様およびご子息が納得されたので、贈与契約書の作成や登記申請を行いました。
贈与税の申告については、税金のシミュレーションを行った税理士に依頼しました。
ご相談者様の反応
生前贈与の手続きが無事完了し、北村様もご子息も安心されていたのが印象的でした。
また、北村様およびご子息は互いのことを思いあっており、この方々ならこれからも良い関係を保ち互いに助け合っていくことができるだろうと確信しました。
「丁寧に説明してくれてありがとう」「おかげで不安がない状態で手続きを終えられました」と北村様から感謝のお言葉をいただき、大変うれしく思いました。
まとめ
この経験を通して、生前贈与は単なる資産移転の手段ではなく、ご家族の将来を考え希望を実現するための手段だと再認識しました。
これからも、ご相談者様の希望や状況を丁寧に聞き、もっとも良い提案をしていければと思います。