
「実家の家族信託を考えています…」となると、多くの方がまず気にするのは料金表ですよね。
「格安パック」
「一律◯万円」
「家族信託に対応」
こうした言葉が並んでいると、つい“どこに頼んでも同じ”に見えてしまいます。
しかし、ここで安易に選ぶと、後になって取り返しがつかなくなる可能性があります。
なぜなら、十分な実務経験がないまま、メニューに「家族信託」と書き足しただけで受任している事務所も少なからず存在するからです。
一般の方からは見分けがつきにくいのですが、家族信託は報酬が高いので「依頼を受けてから勉強しながら進めればいい」という姿勢で、とりあえず引き受けてしまう事務所もあります。
その結果、たとえば次のような深刻なトラブルにつながることがあります。
- 親族から「本人の意思ではなかった」「認知症だったのでは」と争われ、信託開始後に裁判に発展する
- 本人が亡くなった後に、財産が最終的に誰のものになるのか(帰属権利者)が契約書で明確になっておらず、結局、関係の良くない親族まで含めた遺産分割協議の対象になってしまう
だからこそ本記事では、値段や分かりやすさに流されず、実家の家族信託を安心して任せられる司法書士事務所を見抜くための基準を実際の事例と併せて解説します。
また、私たちグリーンは、2011年当時、家族信託を扱う事務所が極めて少ない中、いち早く同分野の実務に着手し、これまで家族信託に10年以上携わってきた司法書士法人です。
家族信託をはじめ、今までに頂いた相続のご相談件数は累計55,193件にのぼります。(2025年11月現在)
親御様の認知機能低下が急激に進行し、ご自宅などの財産が凍結してしまうことは少なくありません。
ご実家のお持ちの方に向けて、グリーンなら安心してご実家の家族信託をお任せいただける理由について、詳細をまとめたページをご覧ください。
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目次
1.実家の家族信託は「格安パック」や「HPの対応業務一覧に記載があった」だけで選んではならない
実家の家族信託を依頼する際、「格安パックだから」「ホームページの対応業務一覧に“家族信託”と書いてあるから」といった理由だけで事務所を選ぶのは危険です。
一見どこも同じサービスに見えても、実態は「名前だけの対応」から、将来の紛争を防ぐ高度な設計まで、質に大きな差があるからです。
1-1.未経験でメニューに「家族信託」と書き足しているだけの事務所も少なからず存在する
実は一般の方には見分けがつきにくいのですが、十分な実務経験や専門知識がないまま、「依頼を受けてから勉強しながら進めればいい」といった姿勢で、ただメニューに「家族信託」と書き足しているだけの事務所が少なからず存在します。
では、なぜそんなことが起きるのか。
理由はシンプルで、家族信託は司法書士などの専門家にとって、高収益になりやすい商品だからです。
通常の相続登記(5万〜8万円程度)に比べて、家族信託は報酬が数十万円〜数百万円単位になることもあります。
そのため、十分な経験がなくても「とりあえず受けたい」と思わせるだけの金額が動く分野なのです。
1-2.経験の浅い事務所の作る家族信託には実務上の致命的な欠陥が潜んでいる
経験の浅い事務所の作る家族信託では、通常効率を重視するあまり、画一的なテンプレート(ひな形)を流用しています。
そうなると、登場人物が増えることによる「壮大な家族関係の設計」や、個別の事情(兄弟間の仲や将来の希望)を反映した深いヒアリングが期待できません。
結果として、以下のような実務上の致命的な欠陥が起きてしまうのです。
<よくあるトラブル1>手続きを簡略化するために「公正証書」の作成を省く
信託登記(不動産の名義変更)をする際、実は信託契約書は必須の添付書類ではありません。そのため、経験の浅い司法書士は「登記さえ入ればいい」と考え、公正証書ではなく私文書で済ませることがあります。
しかし、公正証書を作らず「私文書」で済ませた場合、親族から「本人の意思ではなかった」「認知症だった」と攻撃されると、対抗できる証拠が何もなく裁判で負けてしまう可能性が高まります。
<よくあるトラブル2>税務上の落とし穴を見落とす
自宅を信託すると、将来売却する際の「空き家特例(3,000万円控除)」が使えなくなるケースがあります。
信託をすることによって財産の名目が「相続財産」から「信託財産」へと切り替わるためです。例えば、親が亡くなった後に実家を売却して兄弟で分けようと考えていた場合、信託をしていたばかりに3,000万円控除が受けられず、結果として譲渡所得税などで数百万単位の税負担増を招く可能性があります。
ときに、「最後は自宅で過ごしたい」という親の想いがあっても、家族信託が最適とは限りません。むしろ、元気なうちに売却して家を手放すという精神的につらい選択をしたほうが、結果として税務上のリスクを避けられるケースさえあります。
しかし、経験の浅い事務所や信託報酬を優先する事務所は、こうしたリスクを説明せず、あるいは知識不足で気づかないまま、安易に信託を契約させてしまいます。
したがって、安さや手軽さを売りにした事務所ではなく、実務経験と説明力のあるプロを選ぶことが、最終的な家族の幸せに直結するのです。
2.実家の家族信託に強い司法書士事務所を選ぶ4つの判断基準
ここからは、実家の家族信託を依頼する専門家について、最低限ここだけは確認してほしいという「4つの基準」を紹介します。
- 司法書士と行政書士、両方の看板を掲げている
- 「公正証書」と「信託専用口座」を基本的にマストとしている
- 「税務上の不利益」を示唆してくれる
- 失敗事例やトラブル事例を熟知している
この4つの基準は、家族信託をこれからやるうえで全部重要です。
なぜかというと、「1-1.未経験でメニューに「家族信託」と書き足しているだけの事務所も少なからず存在する」で紹介したような専門家を避けることにつながるからです。
迷ったら、この4つに当てはまるかどうかで見極めてください。
3.実家の家族信託に強い司法書士の特徴(1)司法書士と行政書士、両方の看板を掲げている
まずは、「司法書士」登録だけでなく、「行政書士」としても登録・活動している事務所を選ぶのが安心です。
なぜなら、家族信託は「契約」と「登記」という2つの異なる法的性格を持っており、一方の資格だけでは法的なカバー範囲が不十分になるリスクがあるからです。
司法書士と行政書士はそれぞれ、法的な役割分担がなされています。
| 司法書士 | 「登記」の専門家 |
| 行政書士(または弁護士) | 「契約書作成」の専門家 |
役割をざっくり言うと、司法書士は「登記」の専門家で、行政書士(または弁護士)は「契約書作成」の専門家です。
司法書士が、登記の周辺業務として一定の書類作成を行うことはあります。
しかし、家族信託のように内容が複雑になりやすい契約書を、 司法書士が「登記に付随する範囲」を超えて、複雑な信託契約書を単独で作成することには法的な議論(いわゆるグレーゾーン)があります。
一方で「司法書士×行政書士」のダブルライセンス事務所であれば、契約書作成は行政書士業務として、信託登記は司法書士業務として、それぞれ正当な根拠に基づいて受任できます。
【司法書士×行政書士」のダブルライセンス事務所に依頼するメリット】
・重要な財産である不動産が含まれる信託も、含まれない信託も全方位の家族信託に対応できる
多くのご家庭の財産は、大きく分けて「不動産(自宅や土地)」と「お金(預貯金・株式など)」の2つで構成されているでしょう。
ダブルライセンスの事務所であれば、これら両方の手続きを一つの窓口でまとめて進めることができます・「ここはできませんので、次は別の事務所へ」といった手間やストレスを避けられるのです。
実家の家族信託は、親の大切な財産を次の世代に繋ぐための「重い契約」。
だからこそ、私たちグリーンは、行政書士登録をせずに複雑な信託契約書を作成しようとするのは、専門家として不誠実であると考えています。
「登記ができればいい」ではなく、契約と登記の両面から法的に隙のないサポートができる「ダブルライセンス」の事務所を選ぶことが、将来の紛争を防ぐための最大の防衛策となるでしょう。
4.実家の家族信託に強い司法書士の特徴(2)「公正証書」と「信託専用口座」を基本的にマストとしている
次に、「公正証書での契約」と「信託専用口座の開設」の2点を、基本的にマスト※としている事務所を選ぶべきです。
※親御様のご容態を考えて、とにかく手続き完了スピードを重視するお客様は、公正証書ではなく私文書での信託を進める場合もあります。
これらを「任意」とする、あるいは「費用を抑えるために省きましょう」と手続きを簡略化して安く見せる事務所は、将来発生しうる紛争のリスクを軽視していると言わざるを得ません。
実は、信託登記(不動産の名義変更)の手続き自体は、実は公正証書や信託専用口座がなくても、完了できてしまいます。
しかし、それでは、法的な証拠力と実務的な管理体制が決定的に不足します。
・公正証書にしないリスク:公証人という公的な第三者が関与しない「私文書」での契約は、後から親族に「親は認知症だった」「無理やり書かされた」と主張された際、本人の意思を証明できず裁判で負ける可能性が高まります。
・信託専用口座を作らないリスク: 預金管理が曖昧になり、不動産売却代金の管理実務が滞るだけでなく、税務調査や親族からの「使い込み」という疑いに対して、正当なエビデンスを示せなくなります。
これらを怠った結果、以下のような「悪夢のようなトラブル」に発展するケースが実際にあります。
事例(1)公正証書がないために親族に裁判を起こされた…
しっかりとした証拠(公正証書など)を残さず、登記だけを済ませてしまった場合に起こる典型的なトラブルです。
価値の高い不動産を長男一人に託すような契約をした際、他の兄弟から「不公平だ」「お父さんに無理やり書かせた」と裁判を仕掛けられることがあります。
事例(2)親の介護のために使った支出なのに自己負担に…
不動産を売却したお金を、信託専用口座を通さず長男の個人口座などで管理していた場合、親の介護のために使った支出であっても、他の兄弟から「勝手に自分のために使った」と訴えられ、信託の目的に沿って使ったと証明できないために負けてしまうことがあります。
とくに、安さを売りにする事務所は、こうした手間のかかる公正証書や信託専用口座の重要性を説明せず、登記だけを入れて終わらせてしまいます。
結果として、依頼者は後になって「こんなはずではなかった」と悩むことになります。
したがって、手間や費用がかかっても「将来の裁判にも耐えうる証拠(公正証書)」と「透明性の高い管理(信託専用口座)」をセットで提供し、顧客の幸せを最後まで見越して提案できる事務所こそが、本当に信頼に値する専門家といえるでしょう。
5.実家の家族信託に強い司法書士の特徴(3)「税務上の不利益」を示唆してくれる
続いて、家族信託のメリットだけでなく、税理士と連携して「税務上の不利益(デメリット)」を示唆してくれる専門家を選んでください。
家族信託は、やり方次第では数百万から一千万円単位の税務上の控除が受けられなくなるという、非常に大きな「落とし穴」があるからです。
実家の家族信託をすると、財産の種類が「相続財産」から「信託財産」に変わります。そうなると、昭和56年(1981年)以前に建てられた実家などの場合、相続時に使える強力な減税特例「空き家特例(3,000万円控除)」が使えなくなることがあるのです。
だからこそ、本来は「家族信託をするかどうか」だけで考えるのではなく、まず売却のタイミングを含めて整理する必要があります。
たとえば、親が存命中に売却できるのであれば「マイホーム特例」が使える場合があります。また、状況によっては、無理に信託を組むよりも、生命保険や遺言を組み合わせたほうが費用も安く、税務面でも有利なケースがあります。
本当に信頼できる専門家は、安易に信託を勧めたりしません。「生前に売るか、死後に売るか」といった家族の覚悟まで含めて整理し、必要であれば「信託ではなく、保険や遺言のほうが適切です」といいにくいことでもはっきり伝えます。
このように、家族信託の専門家とは、単に契約書を作る人ではなく、税理士など他の専門家とも連携し、「税務的な不利益まで見越して、家族の財産を最大化する戦略」を提案できるコンサルタントであるべきだと、私たちは考えています。
ですから、依頼者の視野が狭くなっているときに、あえて「しんどい話(税金や売却の覚悟)」を正直に伝え、最適な選択肢を提示してくれる事務所こそが、本当に実家の信託を任せられるパートナーだといえるでしょう。
6.実家の家族信託に強い司法書士の特徴(4)失敗事例やトラブル事例を熟知している
最後に、実家の家族信託を依頼するなら、きれいごとばかりを並べる事務所ではなく、「失敗事例」や「泥沼化した親族トラブル」を熟知している専門家を選ぶべきです。
なぜならば、現実の家族の問題は、教科書どおりの知識だけでは防ぎきれないからです。
とくに、家族信託は、登場人物が増えるほど複雑になり、1つのミスも許されない非常に大変な業務です。
実務経験が豊富な事務所は、以下のような高度で繊細な課題をクリアしてきた実績があります。
事例(1) 複数の不動産を全員が納得できるように設計した事例
たとえるならば、「世田谷の一等地にある物件」と「地方の田舎にある物件」があるような事例です。
これらを子供たちに別々に継がせようとすると、資産価値の差から必ず揉めることになります。単純に特定の物件を特定の人に割り当てるだけでは、相続人間で「不公平だ」という不満が出て、泥沼の争いに発展するリスクがあります。
この問題を解決するために、以下のような設計(スキーム)を構築します。
- 一般社団法人の活用: 財産を管理するための「一般社団法人」を設立し、そこに全ての収益不動産を一度信託して管理。
※一般社団法人=受託者となる - 信託の仕組みを利用し、お父様が亡くなった後の「受益権(賃料収入などを得る権利)」を子供たちに1/3ずつなど、均等に相続させるように設計。
一般社団法人を使うのは、“家族の誰か1人に権限と責任を背負わせないため”です。家族信託は便利ですが、家族内の利害衝突が起きると一気にトラブルとなります。そこで、中立の器(組織)として一般社団法人を挟むことがあります。
これにより、不動産そのものをバラバラに分けるのではなく、一つの箱(法人)で管理しながら、そこから生まれる利益を子供たちで公平に分け合う形を作ります。
事例(2)「契約の不備」による悪夢のような相談事例
ある依頼者が「別の専門家に家族信託を頼んだけど、説明が不十分で不安だ」と相談に来たケースです。
その契約書を確認したところ、本人が亡くなった後に財産が最終的に誰に帰属するのか(帰属権利者)が、契約書上きちんと定められていない状態でした。
このままだと財産が宙に浮き、結局は嫌な親族も含めた「遺産分割協議」の対象になってしまいます。
さらに厄介なのは、すでに契約が成立している点です。後から修正しようとすると、関係者の調整や手続きが一気に複雑になり、相談を受けた側としても「他人が作った不備を立て直すのは、正直かなりしんどい」と感じるレベルの状況でした。
このような事例は、相続登記の延長線上で、依頼を受けてから勉強しつつ受任する事務所には決して解決できません。
この設計は、単なる「実家の信託」とは次元が異なる難易度です。これに対応できるのは、
- 民法や信託法だけでなく、金融法や会社運用の知識など、法学部の応用コースで学ぶような極めて専門的な知識
- 家族族関係や「信用の順番」を詳細に聞き取り、1個のミスも許されない状態で契約書に落とし込むだけの正確性
といった知見にくわえ、極めて高い実務能力を持つ専門家に限られるでしょう。
7.まとめ
実家の家族信託は、「格安パック」や「HPのメニューに書いてある」だけで選ぶと危険です。
家族信託は高額報酬になりやすく、未経験でもメニューだけ追加して受任する事務所を選んでしまう可能性があるからです。
今回ご紹介した信頼できる専門家を見極める判断基準は、次の4つです。
- 司法書士と行政書士、両方の看板を掲げている
- 「公正証書」と「信託専用口座」を基本的にマストとしている
- 「税務上の不利益」を示唆してくれる
- 失敗事例やトラブル事例を熟知している
最後に、私たちグリーン司法書士法人について少しだけお伝えします。
私たちは、家族信託をはじめとした各種手続きの専門家ですが、何より大切にしているのは「単に家族信託をすること」ではありません。
私たちが目指しているのは、依頼者の方が、心より安心して前に進める状態をつくることです。
そのために、この記事でお伝えしたポイントを、私たちは高い水準で満たし、お客様のこのさきの幸せまで、責任をもって伴走できる体制を整えていると自負しています。
私たちの実家における家族信託に対する考え方や強みについて、以下のページで詳しくご紹介しています。よろしければご覧ください。






