
「母が亡くなり、相続手続きを進めなければならない。まずは誰が相続人なのか調査する必要があるけど、どうやって行うんだろう…」
母が亡くなり慌ただしいなかで、相続人を確定させなければならないと焦る気持ちでこの記事に辿り着いたかと思います。
相続人調査とは、亡くなった人の戸籍を出生から死亡まで確認し、誰が法定相続人になるのかを特定する手続きのことです。
下記の7つの手順に沿って、子供や父母、兄弟姉妹と辿り、法定相続人を確定させます。

一見すると簡単そうな調査に見えますが、実はご家庭の状況によっては難易度が非常に高くなります。
安易に自己判断で進めて、一人でも法定相続人が漏れているとその後の手続きに大きな影響を及ぼし、下記のようなトラブルに発展する可能性があるのです。
【相続人調査で法定相続人が漏れていた場合のトラブル例】
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相続人調査は相続手続きの要となる工程だからこそ、漏れやミスがないように、専門家と一緒に進めるようにしましょう。
そこで本記事では、相続人調査の概要や手順、自力で進めるときの注意点などをまとめて解説します。
相続手続きをスムーズに進めるためにも、誰が法定相続人なのか的確に判断することが非常に重要です。ぜひ参考にしてみてください。
また、以下の動画では「戸籍はどこまで集めれば足りる?」「最短でそろえるコツは?」といった、実務の秘伝ノウハウを、グリーンの代表・山田が動画でわかりやすく解説しています。
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1章 相続人調査とは
冒頭でも触れたように、相続人調査とは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を確認して、誰が法定相続人なのかを調査することです。
相続手続きの初期段階に行う重要な手続きです。

相続人調査の概要 | |
担当者 | ・相続人(専門家に依頼可能) |
期間の目安 | ・約3ヶ月〜8ヶ月以上 |
費用内訳 | ・戸籍謄本や除籍謄本等の発行手数料など |
調査対象者 | ・法律で定められている法定相続人の範囲 |
相続手続きを進めるときには、ご家族が把握している人だけが相続人だとは限りません。
過去の婚姻や認知、養子縁組などによって、ご家族が把握していない相続人が存在する可能性があります。
そこで、戸籍などの公的書類をもとに1つ1つ確認をして、誰が法定相続人なのかを確定させる必要があるのです。
漏れなく法定相続人を確定させたうえで遺産分割に進むことで、遺産分割協議のやり直しなどを回避して、円満に手続きが行えます。
「3章 相続人調査を行う7つの手順」で詳しく解説しますが、相続人調査は非常に複雑でご家族で進めると壁にあたることが多いです。
だからこそ、相続登記や財産管理などの各種手続きとあわせて、職務上請求を使って戸籍謄本などを取得できる専門家に依頼をし、スムーズに相続人調査を進めることが一般的です。
2章 相続人調査の対象は法定相続人になる可能性がある人
相続人調査の対象となるのは、法定相続人になる可能性がある人です。先ほども触れたように、相続人調査は亡くなった人の法定相続人を確定させる調査です。
法定相続人になれる人と順位は、法律によって定められているので、その範囲に該当する人が調査対象になります。
「〇〇さんも相続人かな?」「この人も相続人かもしれない」と闇雲に調査をしても、法律に沿った範囲でなければ法定相続人にはなれないので、意味のない作業になってしまうのです。
法定相続人になる可能性がある人は、亡くなった人の子供や両親、祖父母などです。配偶者を除いて、下記のように優先順位が定められています。

【法定相続人になる順序】
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例えば、第1順位である子供がいることを戸籍で確認できれば、第2順位の父母・祖父母、第3順位の兄弟姉妹まで調査する必要はありません。
相続順位は全員が候補になるのではなく、先順位の相続人がいれば、後順位の人は相続人にならない仕組みだからです。相続人調査では、優先順位の高い相続人から順に調査を進めていきます。
▼親族の誰が法定相続人に該当するのか、親族の数え方は、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
▼直系尊属の見分け方やよくあるトラブルについては、下記の記事で詳しく解説しています。
【図解】直系尊属とは?誰まで含む?相続順位・法定相続分を解説
3章 相続人調査を行う7つの手順
相続人調査の概要が分かったところで、実際にどのように相続人調査を行うのかご紹介します。
相続人調査は散らばったパズルを1つずつ組み合わせるような、根気と労力のいる作業です。どのような難所があるのかも含めて解説しているので、自分でできそうか確認してみましょう。
相続人調査を行う7つの手順 |
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3-1 ステップ1:亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集める

まずは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集めます。出生まで遡って戸籍を確認するのは、法定相続人になる可能性がある人を漏れなく把握するためです。
亡くなったときの戸籍だけでは、過去の婚姻や離婚、転籍などを確認できない場合があります。
例えば、若い頃に離婚して別れた前妻との間の子供(実子)や過去に形式的に行った養子縁組の子供などは、現在の家族がその存在すら知らないことがあります。
しかし、法律上では第1順位の相続人なので、確認が漏れてしまうと後からトラブルになることが考えられます。
相続人調査では、亡くなった人の相続人を漏れなく見つけ出す必要があるので、市区町村役場で、下記のような書類を集めておきましょう。
集める主な書類 | 費用目安 | 概要 |
戸籍謄本 | 450円 | 戸籍に入っている全員の身分関係を証明する書類 |
除籍謄本 | 750円 | 戸籍にいた人が全員抜けるなどして閉鎖された戸籍の内容を証明する書類 |
改製原戸籍 | 750円 | 法改正などによって戸籍が作り替えられる前の古い戸籍 |
※費用はあくまでも一例です
なお、令和6年3月1日からは「広域交付制度」が始まり、相続人本人が役所の窓口へ直接行けば、本籍地以外の最寄りの役所でも亡くなった人の戸籍をまとめて取得できるようになりました(郵送や代理人による請求は不可)。
「戸籍を集めるだけなら、すぐにできそう」と感じるかもしれません。実際には、下記のような手順で数日の隙間もなく戸籍を集める知識と根気が必要な作業になります。
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集める手順 | |
ステップ1:死亡の事実が記載された戸籍謄本などを取得する | 死亡時の本籍地を管轄する市区町村を確認して、死亡の事実が記載された戸籍謄本などを取得する |
ステップ2:戸籍に記載された『従前戸籍』を確認して1つ前の戸籍を辿る | 戸籍に記載された「一つ前の戸籍(従前戸籍)」や「書き換え前の戸籍(改製原戸籍)」の情報を確認して辿る |
ステップ3:1つ前の戸籍を取得する | 判明した1つ前の本籍地の役所から戸籍や除籍謄本を取得する |
ステップ4:亡くなった人の出生まで繰り返す | この作業を亡くなった人の出生まで繰り返す |
戸籍には「昭和〇年〇月〇日、〇〇県〇〇市〇〇番地から転籍(本籍地の移動)」「改製により本戸籍を作成(法律による書き換え)」など、一つ前の本籍地の情報が記載されています。
それをヒントに、一つ前の役所を特定することを地道に行っていきましょう。
特に、転籍を繰り返している場合や相続関係が複雑な場合は取得する戸籍の数が増え、調査に時間がかかります。
3-2 ステップ2:配偶者が戸籍に入っていることを確認する
手元に集まった戸籍を見ながら、亡くなった人の配偶者を確認します。法律上、配偶者は常に相続人になるからです。
しかし、法定相続人となれるのは、戸籍上の配偶者です。元配偶者や内縁の配偶者は戸籍上の配偶者ではないので、法定相続人に含まれません。
配偶者のパターン | 概要 |
事実婚(内縁の妻・夫) | どれだけ長年ともに暮らし支え合っていたとしても、婚姻の届出をしていない限り法定相続人にはなれない |
離婚協議中・別居中の配偶者 | 戸籍上で離婚届が提出されていない限り、配偶者としての相続権がある |
元配偶者(前妻・前夫) | 離婚が成立していれば戸籍上の配偶者ではないので、法定相続人にはなれない |
例えば、いくら配偶者と不仲であっても離婚が成立していなければ法定相続人になるので、下記のようなケースも起こり得るのです。
【妻との離婚調停中に亡くなった例】 Bさんは、25年前に妻と深刻な不和になり別居。その後、新しいパートナーAさんと出会い、20年間実質的な夫婦(内縁関係)として連れ添い、Aさんとの間に子供を授かりました。 離婚調停中にBさんが亡くなり、Aさんは「20年も別居して、離婚調停中だったのだから、あの前妻にはもう相続権などないだろう」と考え、自力で戸籍を集め始めました。 しかし、法務局では「戸籍上で離婚が成立していません」と言われてしまい、Aさんは相続人になれませんでした。 |
だからこそ、戸籍上の配偶者かどうかという視点で、誰が相続人になるのか確認する必要があるのです。
参考:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」
3-3 ステップ3:子供を確認する
亡くなった人の配偶者が確認できたら、続いて子供を確認します。法律上、子供は第1順位の法定相続人になるからです。
子供の場合は、現在の配偶者との間にいる子供だけではなく、養子など法律上の親子関係にある子供も含まれます。
子供のパターン | 概要 |
前妻(前夫)との間の子供 | 何十年音信不通であったとしても、現在の配偶者の子供と同等の相続権がある |
生前に認知した子供 | 戸籍に記載されていれば、現在の配偶者の子供と同等の相続権がある |
離縁届が出されていない過去の養子 | 役所に「離縁届」が出されていなければ、現在の配偶者の子供と同等の相続権がある |
例えば、前妻との間に生まれた子供は、どれだけ長年交流がなかったとしても、血がつながっている法律上の第1順位の法定相続人です。父母が離婚しても、子供と実父・実母との親子関係は解消されません。
亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍を遡ることで、下記のような現在の家族が把握していなかった子供の存在が明らかになることもあるのです。
【現在の家族が把握していなかった子供の存在が明らかになった例】 家族は全員「父は初婚で、自分たちだけの温かい家庭だ」と信じ切っていました。 しかし、父が他界して戸籍謄本を集め始めたところ、父の若い頃の除籍謄本から過去に一度離婚歴があり、前妻との間に子供が1人いたことが分かりました。 法務局や銀行の窓口からは「前妻との間の子供も法律上の実子であり、相続権を持ちます」と告げられました。 長男が意を決して前妻との間の子供に連絡を取ろうとしたところ「実父の遺産があるなら、自分の法定相続分を主張する」と言われてしまいました。 |
相続手続きを進めたときに、知らない子供の存在が明らかになると、手続きのやり直しやトラブルに発展する可能性があります。
亡くなった人の戸籍をしっかりと見て、知らない子供の存在がないかを調査しましょう。
【子供が亡くなっている場合は孫が代襲相続人になる】 代襲相続人とは、本来相続人になるはずだった人が死亡している場合などに、その人に代わって相続する仕組みです。 例えば、亡くなった人の子供が既に死亡している場合、第2順位の相続人を確認する前に、亡くなった子供に代わって相続できる孫がいるかを先に確認します。 代襲相続の概要や仕組みは下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 |
3-4 ステップ4:父母・祖父母などを確認する
法定相続人の第1順位となる子供がいない(代襲相続もない)ことが明らかになった場合は、第2順位の相続人である父母・祖父母などの直系尊属を確認します。
【直系尊属とは】 自分より上の世代でかつ親子関係でまっすぐつながる人のこと、父母や祖父母、曾祖父母などが該当する |
第2順位の相続人調査は、単に父母や祖父母を探せばいいわけではありません。下記の2つの注意点があるのです。

【相続人調査で第2順位を確定するときの注意点】
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とくに複雑なのは、直系尊属が全員他界していることを完璧に証明できない限り、兄弟姉妹が相続人になるかどうかを確定できないことです。
下記のように、父母が亡くなっている場合でも、祖父母、曾祖父母と遡ります。
【直系尊属を遡る例】
→このように上限なく遡る必要がある |
死亡の事実が記載された戸籍謄本・除籍謄本などを取得して、被相続人が亡くなった時点で存命の直系尊属がいなかったことを証明しなければなりません。
上の世代へ遡るほど、証明しなければならない対象者の人数は増えていくので、これを自力で集めると多大な時間と労力がかかるのです。
- 父母:2人
- 祖父母:父方・母方合わせて4人
- 曾祖父母:8人
- 高祖父母:16人
「親が亡くなっているから、次は兄弟姉妹(第3順位)の出番だろう」と考えがちですが、そこにたどり着くには、直系尊属が亡くなっていることを証明する難易度の高い工程を踏まなければなりません。
3-5 ステップ5:兄弟姉妹を確認する
子供や孫などがおらず、父母や祖父母などの直系尊属もすでに亡くなっている場合は、第3順位である兄弟姉妹がいないかを確認します。
亡くなった方の兄弟姉妹を確認するには、亡くなった方本人の戸籍だけでなく、両親の出生から死亡までの連続した戸籍を揃えて、下記のようなケースも確認しなければなりません。
兄弟姉妹のパターン | 概要 |
父に前妻との子供がいた・母に前夫との子供がいた | 異母兄弟姉妹・異父兄弟姉妹となり相続する権利がある |
母に婚姻関係にない男性との子供がいた | 異父兄弟姉妹となり相続する権利がある |
例えば、父と母の間には子供が2人いるとします。しかし、母が父と結婚する前に、婚姻していない男性との間に子供を授かっていた場合、その子供も母を同じくする異父兄弟姉妹となり相続権があります。
ここまで調査しても相続人がいない場合や全員が相続放棄している場合は、相続人不存在の状態になります。
必要に応じて家庭裁判所が相続財産清算人(相続人がいない場合などに、亡くなった人の財産を管理、清算する人)を選任して財産の清算や国庫への帰属手続きを進めます。
【兄弟姉妹全員が亡くなっている場合は甥・姪が代襲相続人になる】 兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子供である甥・姪が代襲相続人となる可能性があります。 兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の一代限りで、甥・姪の子供が再代襲することはありません。 |
3-6 ステップ6:相続人の現在の戸籍を取得する
ここまで来て、誰が亡くなった人の相続人になるのか確認できたら、今度は相続人の現在の戸籍を取得します。
相続人が現在も存命しているか、被相続人との身分関係に誤りがないかを確認するためです。
「現在の戸籍を取るだけなら、各自が役所で1通もらうだけで簡単だ」と思われがちですが、下記のような難しさがあります(詳しくは「4章 相続人調査を自分で進めることは難しい!つまずいてしまう3つの理由」で解説しています)。
【相続人の戸籍を集めるときの難所】
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例えば、亡くなった人の戸籍から娘の存在が確認できても、その娘が結婚して別の戸籍に移っている場合があります。
この場合は、婚姻後の戸籍を辿り現在の戸籍を取得して、相続人である娘が現在も存命であることなどを確認しなければなりません。
これを1人ずつ確認して「本当に相続人なのか」「存命しているのか」などを確認していく作業は、相続人が多ければ多いほど労力がかかります。
3-7 ステップ7:相続関係説明図を作成する
収集した戸籍をもとに、相続関係説明図を作成します。相続関係説明図とは、亡くなった人と法定相続人との関係を家系図のようにまとめた書類のことです。
ここまで進めてきた相続人調査をもとに誰が法定相続人なのかを一目で確認できるようにしておくことで、相続手続きが進めやすくなります。
相続関係説明図の例は、下記のとおりです。

【相続関係説明図に記載する情報の例】
<例>
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せっかく相続人の現在の戸籍を取得していても、ここでの記載方法を誤ると間違えたまま相続手続きを進めてしまう可能性があります。
どこに何を記載するのか間違えないように、慎重に進めましょう。
ここまで完了して、相続人調査は終了です。
なお、作成した相続関係説明図と収集した戸籍の束を法務局に提出し「法定相続情報一覧図の写し」を取得(法定相続情報証明制度)しておくと、その後の銀行や不動産の手続きが劇的にスムーズになります。
▼相続人に養子がいる場合の相続関係説明図は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
相続人に養子がいる場合の相続関係説明図の作り方【具体例で解説】
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4章 相続人調査を自分で進めることは難しい!つまずいてしまう3つの理由
相続人調査の手順を見て、本当に自分で進められるのか不安になった方もいるかと思います。
相続人調査は難所が多く、自分で進めようとしてもつまずいてしまうことが多いです。
ここでは、相続人調査を自分で進めることが難しい理由を具体例を踏まえてご紹介します。
相続人調査を自分で進めることは難しい理由 |
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相続人調査では1人でも漏れがあると、後の手続きに大きな影響を与えます。どのような点でつまずいてしまうのか、事前に把握しておきましょう。
4-1 戸籍の読み取り(連続性を証明する)が非常に難しい
1つ目は、戸籍の読み取りが非常に難しいことです。
戸籍は制度上、2つの戸籍に同時に所属することはできず、除籍した日に別の戸籍に入ったり、新しい戸籍が作られたりするはずです。亡くなった人の戸籍の収集では、この連続性を証明しなければなりません。
特に、難しいのは、昭和初期や明治・大正期などの古い戸籍が含まれている場合です。古い戸籍は役所の担当者が毛筆で手書きをしているので、インクの掠れや独特の崩し字などで正しく読めないケースが多いです。
独特の崩し字や今では使われていない旧ひらがな(変体仮名)が多用されており、解読には高度な知識が問われます。
文字が解読できないと一つ前の本籍地などが読み取れず、次にどこの役所に請求すればいいのか判明せずにつまずくケースも見受けられます。
また、表記ミスによる同一性の不一致や、保存期間切れによる古い戸籍の破棄などにより、手続きが複雑になることもあります。
例えば、戦災などで原本が焼失してしまい再編したときに、役所側のミスで「花子(はなこ)」さんが「花(はな)」さんと誤記されたとしましょう。この場合、同一人物であることを役所に証明する「補正手続き」が発生します。
「ただ戸籍を順番に取得すればいい」と思うかもしれませんが、実はそれが非常に難しく、時間と手間をかけても終わらない悪循環に陥ることがあります。
4-2 知らない相続人が発覚する
2つ目は、知らない相続人が発覚することです。
「3章 相続人調査を行う7つの手順」でも触れたように、相続人調査を進めるなかで、知らなかった子供、兄弟などの存在に気付くケースは多々あります。
知らない相続人が発覚するケース | 概要 |
前妻との間に子供がいた場合 | ・前妻との間の子供も現在の子供と同等の第1順位の法定相続人になる |
離縁していない大昔の養子がいた場合 | ・戸籍上は現在も「実子と同等の子供(相続人)」として権利があるので現在の子供と同等の第1順位の法定相続人になる |
このような問題は「相続人が増える」「相続人が変わる」など手続きに影響が出ることも大きなリスクではありますが、感情的な対立が起こりやすいです。
例えば、前妻との間にご家族の知らない子供がいた場合、現在の家族から見れば、会ったこともない他人です。
一方で、前妻の子から見れば自分を捨てた父親と、その新しい家族という非常にデリケートな感情が存在します。
現在のご家族から連絡を取っても激しい猜疑心・警戒感を抱かれ、感情的な対立から紛争へと発展する可能性があります。
このように、知らない相続人があぶり出されたというだけではなく、その相続人との関係性を含めて調整していくことが非常に難しいのです。
4-3 兄弟姉妹などの横のつながりは自力で情報を収集しにくい
3つ目は、兄弟姉妹などの横のつながりは自力で情報を収集しにくいことです。
自分の親や子供など、縦方向につながる戸籍は広域交付制度を利用して最寄りの役所で比較的簡単に取得できます。
一方で、叔父叔母や兄弟姉妹などの横方向のつながりの戸籍は同制度が使えないため、遠方であってもそれぞれの本籍地の役所へ個別に請求する必要があり、非常に手間がかかります。
自分の戸籍から亡くなった親の戸籍、亡くなった兄弟の戸籍と順を追って何段階もの証明書類を取得して「自分と相手が確かに兄弟関係であり、かつ相続手続きに必要不可欠であること」を証明しなければなりません。
実際に下記のように、横のつながりを証明するために、何ヶ月も時間がかかった事例もあります。
【横のつながりを証明するために、何ヶ月も時間がかかった事例】 子供のいない叔父が亡くなり、甥が手続きを進めることになりました。遠方のいとこ(甥・姪)の現在戸籍を集めるため、役所の窓口へ向かいます。 しかし、「戸籍は個人情報保護のため、正当な理由と直系関係を証明する膨大な戸籍一式、または本人からの委任状がないとお渡しできません」と門前払いにあってしまいました。 戸籍を先に何通も集めて何度も役所を往復する羽目になり、書類1通を取るだけで数ヶ月間かかってしまったのです。 |
相続人調査はさまざまな可能性を見越して、多くの戸籍を取得するケースが多々あります。
だからこそ、簡単に戸籍が取得できないとなると調査が前に進まず、多くの時間と費用を費やすことになるのです。
5章 相続人調査は相続手続きの土台!自己判断で終えると次の工程が全てやり直しになるリスクがある
ここまで解説してきた相続人調査は、相続手続きの初期段階で行う土台となる工程です。
「これで全員だろう」
「ここまで調査すれば問題ないだろう」
と、自己判断で進めると、相続人が1人でも漏れていた場合に全てやり直しになるリスクがあります。
例えば、相続人が1人でも欠けた状態で行った遺産分割協議は原則として無効です。後から新たな相続人が判明した場合、改めて相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。
それだけでなく、後から法定相続人だと判明した人にとっては「隠蔽しようとしていたのでは?」など疑心暗鬼の思いが生まれて、手続きが泥沼化するリスクが出てくるのです。
実際に、下記のように相続手続きを進めた後に、漏れていた法定相続人が分かり、泥沼化した例もあります。
【前妻との間の子供を把握しないまま相続手続きを進めた例】 父が亡くなり、母が既に他界していたAさん、Bさんは相続人は兄弟2人だけだと信じ込み、遺産分割協議書を作成して手続きを進めました。 法務局で相続登記をしようとしたところ「父の最初の婚姻時に前妻との間にお子様がいました。除外して作成された遺産分割協議書は無効となります」と言われたのです。 焦ったBさんは戸籍の附票から前妻との間の子供の現住所を調べて電話をかけ「父が亡くなったので、遺産手続きの書類に実印を押して印鑑証明書を送ってほしい」と伝えました。 しかし、存在すら知らされていなかった前妻との間の子供からすると、突然の連絡に対して激しい不信感と猜疑心を抱くことになります。 前妻との間の子供は「絶対に書類には判を押さない」と拒否。当事者同士のやり取りは一瞬で泥沼化してしまいました。 |
相続手続きを進めてから「知らない法定相続人がいた」となると、本来スムーズに進むはずの相続手続きが複雑化します。
そうならないためにも、専門家と一緒に「本当に漏れている法定相続人はいないか」を確実に確認してから相続手続きを進めることが非常に重要です。
6章 グリーングループでは職務上請求を使い複雑な相続人調査をスムーズに完了させます
「やっぱり自分で相続手続きを進めるのは不安がある」と少しでも感じたら、相続に特化した専門家集団であるグリーングループと一緒に相続人調査を進めませんか?
グリーングループでは司法書士などの一定の資格者が職務上請求を使って、必要な書類を日本全国の役所から最速で一括収集できます。
役所を往復してやり取りする手間やストレスをかけずに、相続人調査をスピーディーに進めます。
また、亡くなった人の人生ストーリーを伺いながら、今までの経験則で先回りして「法定相続人の漏れがありそうか」を察知。専門家でも見逃してしまうような法定相続人をしっかり洗い出して、円滑に手続きを進めます。
実際に、面識のない相続人が多数いる相続手続きを支援した事例もあります。
面識のない相続人が多数いる相続手続きを支援した事例 |
ご依頼者様の兄弟が亡くなり手続きを進めることになりました。妻子や存命の直系尊属がいないため、相続権は亡くなった人の兄弟姉妹に移ります。 しかし、存命の兄弟はご依頼者様一人。他界した他の兄弟の相続権は甥や姪に引き継がれていました。相続人の数は多く、関東・関西など各地に散らばっており、中には全く面識のない方もいます。 また、手続きの途中で、相続人であった別の兄弟とその子供が相次いで亡くなり数次相続が発生。相続関係はさらに広がり、面識もない被相続人の大姪にあたる未成年者までが相続人の一人となりました。 この状況でどのように手続きを進めるべきか分からず、グリーングループにご相談いただきました。 <グリーングループだからこそできること>
相続人が多数にのぼるだけでなく、複雑な事情が絡む相続手続きにおいて、相続人が納得できる糸口を見つけた事例です。 ▼この事例は下記で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 |
相続人調査に漏れがあるまま相続手続きを進めてしまうと、その後の工程がやり直しになります。
「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、相続人調査の段階からグリーングループと一緒に進めてみませんか?
まとめ
本記事では、相続人調査の概要や手順、注意点をまとめて解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇相続人調査とは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を確認して、誰が法定相続人なのかを調査すること
〇相続人調査の対象は法定相続人になる可能性がある人
〇相続人調査の手順は下記のとおり
- ステップ1:亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集める
- ステップ2:配偶者が戸籍に入っていることを確認する
- ステップ3:子供を確認する
- ステップ4:父母・祖父母などを確認する
- ステップ5:兄弟姉妹を確認する
- ステップ6:相続人の現在の戸籍を取得する
- ステップ7:相続関係説明図を作成する
〇相続人調査を自力で行うことが難しい理由は下記のとおり
- 戸籍の読み取り(連続性を証明する)が非常に難しい
- 知らない相続人が発覚する
- 兄弟姉妹などの横のつながりは自力で情報を収集しにくい
相続人調査は相続手続きの初期段階で行う大切な工程です。ここでミスをすると、その後の手続きにも大きな影響が出てしまいます。
だからこそ、相続に特化した専門家集団であるグリーングループと一緒にスムーズに相続人調査を進めましょう。





