相続登記したいけど法務局で何すればいい?全手順と注意点を解説

自分で相続登記の申請を法務局に行うときの注意点とよくあるQ&A

「母が亡くなって時間が経ち、そろそろ相続登記しないといけないと思っている。義務化になり放置できないし、自分で法務局に申請できないかな?」

相続人が自分で法務局に出向き、相続登記を進めることは可能です。下記のステップに沿って、法務局での申請まで進めることができます。

相続登記で法務局に申請するまでのステップ

ただし、自分で相続登記をしようとした人の多くは、下記の部分でつまずき「最初から専門家に依頼すればよかった」と感じています。

【自分で相続登記を進めようとした人によくあるトラブル例】

  • 登記申請書や遺産分割協議書にミスがあり、何度も持ち帰りやり直すことになってしまった。遺産分割協議書は相続人全員の訂正印が必要なので、他の相続人から苦言を言われてしまった
  • 法務局で「税負担を軽減できる方法を見落としている」と教えてもらえず、本来使える特例、控除を見落として多額の税負担がのしかかった

この記事では、法務局に出向き相続登記を進めるステップと自分で手続きを進める注意点をまとめて解説します。

とりあえず申請だけ済ませようと安易に進めると大きな後悔につながるので、事前にこの記事を参考に「最適な申請方法」を考えてみましょう。

また、以下の動画では自分で相続登記を行う際の困難な点や実務の秘伝ノウハウを、グリーンの代表・山田が動画でわかりやすく解説しています。

\コラムの論点を“動画で補強”したい方はこちら/


1章 相続登記で法務局に申請するまでの5ステップ

まずは、相続登記で法務局に申請するまでのステップをご紹介します。

法務局に関連するのは、ステップ1とステップ5のみです。法務局での申請までにはどのようなステップを踏むのか、相続登記の全体像を把握しておきましょう。

相続登記で法務局に申請するまでのステップ

相続登記に必要な書類は、下記の記事でまとめています。どのような書類を用意しなければならないのか事前に知っておきたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

【ケース別】相続登記の必要書類一覧と収集・作成のポイントを解説

1-1 ステップ1:不動産の情報を集める

まずは、下記の書類を集めて、相続の対象となる不動産情報を確認しましょう。

必要な書類

窓口

概要

名寄帳
(固定資産課税台帳)

不動産がある市区町村の役場

・所有者ごとの資産の所在地や面積、評価額などを確認する

登記事項証明書
(不動産登記簿)

法務局

・所有者は誰か、抵当権(借入の担保)はついているか、差し押さえなどの制限はないかを確認する
(相続登記の書類作成時にも必要になる)

公図・地積測量図

法務局

・隣地との境界が明確かなどを確認する

所有不動産記録証明書

法務局

・被相続人が所有していた不動産を一覧で確認する※

※※令和8年2月開始の新制度。書面請求の手数料は検索条件1件につき1通1,600円です。
参考:法務局「所有不動産記録証明制度について」
参考:法務局「登記事項証明書(土地・建物)、地図・図面証明書を取得したい方」

不動産の所有者や抵当権の有無などが確認できる登記事項証明書、所有不動産記録証明書などは、法務局が窓口になります。

法務局の窓口で申請をするか、法務局のオンライン申請を利用して書類を揃えましょう。

また、相続の対象となる不動産の情報を集めるときには、漏れている不動産がないかを確認することが大切です。

毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に載っている土地が全てだと思い込んでいると、納税通知書に載らない非課税の不動産や名義変更がされていない土地などを見落とす可能性があります。

【知らない不動産を相続してしまった例】

相続する不動産は実家のみだと思い込み、遺産分割協議書に「その他一切の不動産は長男が相続する」と記載して相続登記を進めました。

しかし、実際には知らなかった山林、田んぼなどの不動産が含まれていました。長男は知らぬ間にそのすべての土地の所有者となり、固定資産税や重い管理負担を背負うことになりました。

上記の例のように、知らなかった不動産の責任まで負う事態に陥らないためにも、この時点で名寄帳などを活用して、相続対象となる不動産を明確に把握しておきましょう。

とくに、先祖代々の土地がある場合や田んぼ、山林などを保有している場合は、一体どの範囲が相続対象になるのか見極めることが難しい場合があります。

そのような場合は「恐らくこれが相続対象の不動産だろう」と曖昧なまま進めないで、相続に特化した専門家集団であるグリーングループと一緒に整理していきましょう。

【相続する不動産によってはローンの有無なども確認しよう】

相続する不動産によっては下記のような状況も把握しておくと安心です。

<確認しておきたいポイント>

  • ローンの有無:不動産購入時のローンが残っているかどうか
  • 団信の加入状況:亡くなった人が団信に加入しているかどうか
  • 確定申告の状況:収益物件の場合はどれくらい収益が出ているか
  • 管理の状況:収益物件や田んぼ、山林の場合は管理が行き届いているか

例えば、相続する不動産に住宅ローンが残っていることを知らずに、放置して引き落としが滞ったとしましょう。

そのまま放置を続けると、保証会社が亡くなった人の代わりにローンを返済する「代位弁済(立て替え払い)」を実行します。

代位弁済が行われてしまうと、団信を適用してローンを完済する権利自体を失ってしまい、本来であればゼロになるはずだった何千万円もの住宅ローン債務が、そのまま相続人に残ってしまうのです。

このような事態に陥らないためにも、相続の対象となる不動産の状態も併せて把握しておきましょう。

1-2 ステップ2:亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を収集して全相続人を確定させる

死亡時の戸籍から順に出生時までさかのぼって戸籍謄本を取得するイメージ

相続する不動産が分かったら、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を全て集め、誰が法的な相続人なのかを確定させます。

戸籍は最寄りの市区町村役場の窓口や電子申請、郵送などで取得できます。

一見すると「役所に行って戸籍を集めるだけの単純な作業」に思えるかもしれませんが、相続手続きの中で最も挫折しやすく、専門的な知識と根気を必要とする難所なのです。

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍がすぐに分かる状態であれば簡単に取得できるのですが、実際には下記のように複雑化しているケースが多いです。

この状況を自分で紐解き、1つずつ戸籍を取得していくことは、本当に根気と時間を要する作業です。

【亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を全て集めることが難しい理由】

  • 亡くなった人の結婚や離婚、本籍地の移転などを1つずつ追いかけて隙間を作らず戸籍を取得しなければならない
  • 明治、大正、昭和初期に作られた改製原戸籍(かいせいはらこせき)は手書きで書かれており、読み解くことが非常に困難になっている
  • 亡くなった人との関係性によっては戸籍を全て集めるために、亡くなった人と自分との関係性を証明する別の書類も必要になる

※以前は本籍地ごとに請求する必要がありましたが、令和6年3月1日からは『広域交付制度』が始まり、所得できる条件が満たされていれば、最寄りの市区町村窓口でまとめて取得できるようになり少し簡単になりましたが、あくまで、亡くなった方の戸籍を集めてくれる制度のため、相続人の戸籍の取得や、必要な戸籍がそろっているかの確認はご自身でしていただく必要があります。

例えば、亡くなった人が結婚や離婚、本籍地の移転などの人生の節目で、戸籍がどんどん移り変わっていた場合、1枚の戸籍謄本を取れば、そこに生まれてから死ぬまでの歴史が載っている状態にはなりません。

途中で本籍地が遠方に移っていれば、現地の役所に郵送での請求手続きを行う必要も出てきます。亡くなった人の人生の歴史を1本につなげていく地道な作業が必要になってくるのです。

ちなみに、司法書士などの専門家は、業務に必要な範囲で戸籍謄本などを取得できる「職務上請求」を利用できます。転籍を繰り返している場合を始め、複雑な戸籍収集をまとめて任せることが可能です。

1-3 ステップ3:遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成する

相続人が明確になったら、相続人全員で遺産分割協議を行います。

【遺産分割協議とは】

相続人全員で遺産の分け方を話し合う協議のことです。「誰が、どの財産を、どれくらい相続するか」について具体的に話し合います。

遺産分割協議の実施方法は、相続人全員で行うこと以外は定められていません。全員が1箇所に集合しなくてもメールや電話、LINEなどで進めることも可能です。

遺産分割協議は家族で集まって、誰がどの財産をもらうか話し合うだけの単純な作業に思えますが、実際には法務(権利関係)と税務(税金の落とし穴)、そしてご家族の感情が複雑に絡み合います。

「時間もないしとりあえず相続登記を済ませよう」と安易に進めると、下記のようなトラブルに発展します。

【安易に遺産分割協議を進めるときのトラブル例】

  • とりあえず共有名義にしておこうと進めてしまい、将来相続人の1人が認知症になり不動産の売却、改修などができない状態に陥ってしまう
  • 目先の相続税を抑えることだけを意識して相続人を決めてしまい、二次相続で多額の税負担がのしかかってしまう
  • 相続登記を終えてから財産を分けようと考え、相続登記後の大きな財産の移動に贈与税が課せられてしまう

「法務局でもアドバイスしてもらえるのでは?」と思うかもしれませんが、個別事情に踏み込んだアドバイスやコンサルティングは、法務局では一切行われません。これは、制度上「してはいけないこと」とされています。

「それは法務局では扱えないので、司法書士の事務所に行ってください」と途中で案内を打ち切られてしまうケースも少なくありません。

だからこそ、遺産分割協議を進めるときは、専門家に情報提供をしてもらいながらご家族の状況に応じて納得できる経路をしっかりと設計するようにしましょう。※

※ご家族の説得を依頼することは弁護士以外の法律家にはできませんので、注意が必要です。

遺産分割協議で話がまとまったら、決定内容をもとに遺産分割協議書を作成して、相続人全員が署名と実印の押印をします。

▼遺産分割協議書の作成方法は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

遺産分割協議の流れ・やり方の大原則となるルールや注意点を徹底解説
【雛形付】遺産分割協議書の書き方を記入例付きで解説

【法定相続分どおりに相続する場合は遺産分割協議が不要】

法定相続分(遺言書がない場合などに民法で定められている相続人ごとの相続割合に沿って相続すること)どおりの割合で相続するのであれば、遺産分割協議を経なくても手続きを進めることは可能です。

ただし、安易に法定相続分どおりの相続登記(共有名義での登記)をしてしまうことは、取り返しのつかない大損やトラブルを招きます。

手間を省くために安易に法定相続分どおりを選択するのではなく、ご家族にとって最適な経路を見つけることが大切です。

1-4 ステップ4:登記申請書を作成する

誰が何をどのように相続するのか確定したら、登記申請書を作成します。

登記申請書とは、「不動産を誰が相続するのか」「どのような不動産なのか」など、相続登記の基本的な情報をまとめて記載する書類です。

A4サイズの用紙に必要な事項が記載されていれば、どのような形式でも問題ありません。一例として、法務局が公開している記載例は下記のとおりです。

登記申請書の記載例

出典:法務局「<記載例>登記申請書」

登記申請書は非常に厳格な書類で、法務局で厳しく確認されます。一文字の誤字・脱字や、印鑑のわずかなミスなども許されません。

法務局から「申請内容が間違っている」などの補正が来ると、オンラインや郵送で簡単に直せるケースは少なく、平日の日中にわざわざ法務局の窓口まで出向く必要があります。場合によっては一度すべての申請を取り下げて、一からやり直さなければなりません。

法務局はあくまで手続きの最終局面で、書類の不備をなくすために行く場所と捉えておくといいでしょう。

登記申請書に記載する項目や具体的な書き方は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

【見本付き】相続登記の申請書の書き方ガイド!書類・提出先も解説

1-5 ステップ5:必要な書類をまとめて法務局で申請をする

ここまで来たら、必要な書類をまとめて法務局で申請を行います。必要な書類は、下記のとおりです。

相続登記に必要な主な書類

集める書類

  • 不動産取得者の住民票
  • 亡くなった人の住民票の除票(または亡くなった人の戸籍の附票)
  • 亡くなった人の戸籍謄本(除籍・改製原戸籍(原戸籍)を含む)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 印鑑証明書
  • 相続放棄申述受理証明書(必要な場合)

作成する書類

  • 登記申請書(台紙に登録免許税分の収入印紙を添付)
  • 相続関係説明図
  • 遺産分割協議書
  • 委任状(司法書士などに依頼する場合)

※ご家族の状況に応じて他の書類も必要になるケースがあります

これらの書類が揃ったら、下記のいずれかの方法で法務局に相続登記の申請をします。

【登記申請をする方法】

  • 窓口提出:法務局へ直接持参する方法
  • 郵送提出:申請書類を法務局へ郵送する方法(書留など追跡できる方法が推奨)
  • オンライン申請:インターネットで申請する方法(相続登記では戸籍謄本などの原本は後日郵送または持参する必要があるケースが多い)

参考:法務局「不動産登記の申請書様式について」

このときに法務局が行うのは、必要な書類が揃っており正しく記載できているかという形式面でのチェックのみです。

法務局では具体的な事情に踏み込んだアドバイスやコンサルティングは、制度上「してはならないこと」として厳格に禁止されているためです。

「本来使える特例が適用されていない」「これでは将来揉める」などの指摘は受けることはないため、書類に問題がなければ処理されてしまいます。

相続登記の法務局での申請は、書類が揃ったからといってそのまま進めると後戻りできなくなります。

「本当に使える特例はないか」「このまま進んで揉めることはないか」という部分まで確認し、納得したうえで法務局の申請を行うようにしましょう。

相続登記に必要な書類は、下記の記事で詳しくまとめているので参考にしてみてください。

【ケース別】相続登記の必要書類一覧と収集・作成のポイントを解説


2章 相続登記のために法務局に行くときは窓口対応時間を必ず確かめよう

相続登記での書類収集や申請のために法務局に行くときは、窓口対応時間を必ず確認するようにしましょう。

申請方法

窓口対応時間

窓口

・原則午前9時~午後5時
(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
※一部法務局で時間外対応あり

オンライン申請

・平日:午前8時30分~午後11時
・土日祝日:午前8時30分~午後6時
(年末年始を除く※)

※ただし、平日の午後5時15分以降および土日祝日の申請は、翌業務日の受付となります
参考:法務局「法務局の窓口対応時間について」

法務局の窓口受付時間は、原則平日の午前9時~午後5時と決まっています。

札幌法務局など一部の法務局では、職員に声をかけることで午前8時30分~午後5時15分といった時間対応が可能です。手続きをする法務局の窓口対応時間を事前に確認しておくと安心です。

また、オンライン申請の場合も、申請時間が決まっているので、時間内に申請をするようにしてください。

とくに、窓口申請の場合は、平日の限られた時間内に法務局を訪れて、申請手続きを終えなければなりません。仕事を休むなど事前準備が必要になり、負担が大きくなることを念頭に置いておきましょう。

参考:札幌法務局「業務取扱時間・開庁日」


3章 法務局はサポートできない!自分で相続登記を進める危険性

少しでも費用を抑えるために、相続登記の準備を自分で進めることは非常に危険です。

なぜなら、申請先である法務局は、あなたが期待するほど手取り足取り面倒を見てくれる場所ではないからです。

法務局の役割は、提出された書類が「形式上正しいかどうか」を確認すること。書類の不備は容赦なくチェックされる一方で、どう直せばいいのか、もっと有利な方法がないのかまでは教えてくれません。

具体的には、下記の3つの「やってくれない」がトラブルの原因になります。

法務局が案外やってくれないこと

  • 原本コピーの1ミリのズレも見逃してくれない
  • 書き間違いをその場で修正してくれない
  • 使える特例・控除を教えてくれない

相続登記は一度完了すると、簡単にやり直すことができません。無理に自分で進めて後悔しないためにも、法務局が何をしてくれて、何をしてくれないのかを確認しておきましょう。

3-1 原本コピーの1ミリのズレも見逃してくれない

1つ目は、法務局が原本のコピーのわずかなズレも見逃してくれないことです。

相続登記で提出する戸籍や遺産分割協議書などの原本を返してもらう場合は、原本還付の手続きが必要です。書類によっては原本のコピーを作成し、原本と相違ない旨を記載するなどの対応が求められます。

ただコピーをすればいいのではなく、すべての原本のコピーを寸分違わず作成し、それらを正しい順番で並べる作業が必要になります。

法務局はこの形式が整っているかどうかを厳格に確認するため、ハンコが1ミリでもずれたり、かすれたりしただけで、書類不備として却下されます。当然、「ここはこう直しておきますね」と代わりに整えてくれることもありません。

「面倒だから原本をそのまま法務局にあげてしまえばいいのでは?」と考えるかもしれませんが、原本還付をしないと下記のようなデメリットがあります。

  • 費用がかかった戸籍や証明書類が返却されず、他の相続手続きで再利用できない
  • 遺産分割協議書の原本が手元になくなり、再度作成が必要になる

原本還付は避けて通れない手続きです。法務局が融通を利かせてくれない以上、難易度が高く緊張を伴う作業と、自分で向き合わなければなりません。

3-2 書き間違いをその場で修正してくれない

2つ目は、法務局が軽微な書き間違いすら修正してくれず、差し戻しになることです。

相続登記に必要な書類となっている遺産分割協議書は、ミスがあったときに修正テープや修正ペンで直すことが認められません。軽微なミスを直すだけでも、二重線を引いた上で相続人全員の捨印または訂正印が必要になります。

法務局は「受理できるか、できないか」を判断するだけの窓口です。一度突き返されれば、その後始末は親族全員を巻き込む作業になります。実際に、遺産分割協議書にミスがあり、印鑑証明書や修正印が必要になりトラブルになった例もあります。

【法務局で遺産分割協議書の差し戻しにあった例】

長男は遺産分割協議書を作成するときに「司法書士に頼むと数万円の費用がかかる。ネットに無料のテンプレートもあるし、自分で名前を書いて実印をもらうだけなら簡単だ」と考えました。

一度全員が実家へ集まる機会を設け、和やかな雰囲気の中で署名をしてもらい、全員がきれいに実印を押し、印鑑証明書を長男に手渡しました。長男はこれで安心し、法務局の窓口へ向かいました。

しかし、担当者から間違いを指摘され受理できないと言われてしまいました。長男は、遠方に住む長女や自宅に戻った次男に連絡を取りました。

「本当にごめん。ちょっとだけ一文字書き間違えちゃって…法務局に差し戻されたから、もう一度この訂正箇所に実印を押してほしい。最初に取ってもらった印鑑証明書の期限が切れちゃうかもしれないから、もう一通新しいの取ってきてくれない?」と話しました。

このお願いをされた次男と長女の心理は、長男の想像以上に急激に冷え込んでいきました。「なぜ一度でできないんだ」「もしかして、自分たちが気づかないうちに、裏で都合のいいように変更しているの?」など想像もしなかった言葉が返ってきました。

法務局は書類を受け取るかどうかを判断するだけで、崩れた家族関係までは元に戻してくれません。

「なぜもう一度手続きをしなければならないのか」「なぜ間違えたんだ」と責められるのは、手続きを進めた本人なのです。

3-3 使える特例・控除を教えてくれない

3つ目は、本来使えたはずの特例や控除があっても、法務局が一切教えてくれないことです。

繰り返しになりますが、法務局では申請した書類が形式上正しいかどうかの確認しかしません。そもそも相続税を扱うのは税務署であり、法務局の管轄外です。

そのため「特例を使えていない」「もっと税負担が軽減できる」など具体的な相談やアドバイスはしてもらえず、見落としている特例や控除があってもそのまま相続登記が完了してしまいます。

一例として、相続登記をするときは、ご家族の状況に応じて下記のような控除、特例が適用できます。

相続税の控除例

概要

配偶者の税額の軽減

配偶者が取得した遺産について、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多いほうの金額まで相続税がかからない※

小規模宅地等の特例

一定の要件を満たす宅地について、土地の相続税評価額を最大80%減額できる

※適用には原則として相続税の申告期限までの遺産分割と申告が必要です
参考:国税庁「配偶者の税額の軽減」
参考:国税庁「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

このような特例、控除は知識がないと、適用できるかどうか、どのように手続きを進めればいいのか分かりません。実際に、手続き方法を誤り、強力な特例が使えなくなった例もあります。

【小規模宅地等の特例が使えなくなった例】

実家の土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」をインターネット上の情報で把握して「特例を使えば基礎控除内に収まるから、うちは相続税が0円だ」と判断しました。

特例を適用する場合は0円であっても税務署で申告手続きをしなければなりませんが、それを知りませんでした。期限内に申告をしていない=特例を適用していないとみなされます。

後から税務署の指摘によって、特例なしの満額の相続税に加えて、遅延ペナルティを請求されてしまいました。

安易な自己判断で進めると、本来払わずに済んだ多額の相続税を支払うことになるのです。


4章 専門家に相続登記を依頼するのは、「今の手続き」と「その後」の安心を買うため

専門的な知識が必要となる相続登記を何とか自分で進めようと無理をするのではなく、専門家に依頼しましょう。

ここでは、専門家に相続登記を依頼したほうがいい理由を分かりやすくご紹介します。

専門家に相続登記を依頼したほうがいい理由

  • 慣れない相続登記を進めるストレス・負担から解放される
  • 二次相続の税負担軽減まで見据えた戦略を立てられる

どのような点で差が出てくるのか、チェックしておきましょう。

4-1 慣れない相続登記を進めるストレス・負担から解放される

相続登記を専門家に依頼することで、慣れない相続登記を進めるストレス・負担から解放されます。

「自分でやれば費用が浮く」というネットの情報を信じ、いざ自力で相続登記を始めようとして、途中で心が折れてしまう方は後を絶ちません。

実際に自分で相続登記の手続きを進められた人は、17.3%しかいないのが現状です。

相続登記の手続きをした人についてのアンケート結果

出典:ベンナビ相続「家や土地を相続したら「相続登記」が義務に!相続経験ない方の約80%が「知らない」」

自力で進めようとすると下記の3つの大きな壁があり、時間と労力が奪われていきます。

【相続登記を進めるときの3つの壁】

  • 複雑な法律への理解が必要になる
  • 書類の収集や作成などに時間と労力がかかる
  • ミスをするたびにご家族との関係に亀裂が入り大きなストレスになる

実際にグリーングループに相談に来るご依頼者様も「どうすればいいのか分からず、途方に暮れている」など大きな不安を抱えているケースが多いです。

専門家に依頼することは、どうすればいいのか分からない不安を安心に変えて心身の負担を軽減できる大きなメリットがあります。

4-2 二次相続の税負担軽減まで見据えた戦略を立てられる

専門家に依頼すると相続登記の手続きだけでなく、二次相続まで見据えた戦略を立てられます。

目の前の相続だけを意識して相続税対策をしてしまうと、下記のように二次相続で想像以上の税負担がのしかかることがあります。

【二次相続で大きな税負担がのしかかった例】

父が亡くなったときに、配偶者控除を使い、すべての財産を母に相続しました。目の前の相続税は0円になり家族は安心しましたが、その後母が亡くなったときに、別居している子供2人が実家と預貯金を相続することになりました。

このときには配偶者控除が使えるわけがなく、父のときとは比べ物にならない高額な相続税がのしかかってしまいました。

二次相続に大きな税負担が残ると、子供や孫に非常に辛い思いをさせることになるでしょう。

そこで、専門家に依頼することで、二次相続まで見据えたシミュレーションをしながら、何をどのタイミングで誰に相続するべきか戦略を立てられるようになります。

その結果、将来子供や孫に負の遺産を残さないような相続ができるようになるのです。


5章 法務局がやらないことを、グリーングループがやります

「専門家の必要性は理解できたけれど、誰に頼めばいいんだろう」と悩む場合は、グリーングループと一緒に相続登記を進めてみませんか。

3章でお伝えしたとおり、法務局は提出された書類が形式上正しいかどうかを確認するだけの窓口です。書類の不備は指摘されても、直してはくれません。相続人を代わりに調べてもくれませんし、使える特例や控除も教えてくれません。

私たちがお引き受けするのは、まさにこの「法務局ができない部分」です。

法務局がやらないこと

グリーングループがやること

相続人が誰なのかは調べてくれない

戸籍を丁寧に調査し、代襲相続人まで一人残らず正確に洗い出します

書類の不備は指摘するだけで直してくれない

戸籍の収集から書類作成、押印の手配まで代行し、差し戻しのない形で申請します

使える特例・控除は教えてくれない

税務の専門家が適用可否を判断し、申告が必要なケースも取りこぼしません

親族間の調整には関与しない

揉めにくい分け方を設計し、全員が納得できる遺産分割協議をサポートします

登記した後のことまでは考えてくれない

手残りを最大化する対策や、二次相続まで見据えたシミュレーションを行います

グリーングループには、相続に関する相談が累計55,193件(2025年10月末現在)寄せられています。グループ内では相続手続き・不動産・税務の領域が連携しており、各専門家の知見を使いながらご家族のお悩みを解決できる体制が整っています。

「相続税を少しでも抑えたい」「将来不動産を売却したい」など、ご家族の状況に寄り添い、1つずつ確実に解決していきます。

相続登記は一度完了してしまうと、自己都合で簡単にやり直すことができません。法務局が教えてくれない部分こそ、後悔やトラブルの分かれ目です。

だからこそ、相続登記を始める段階からグリーングループと一緒に進めてみませんか。


まとめ

この記事では、相続登記で法務局に申請するまでのステップや自分で手続きを進める注意点などをまとめて解説しました。

最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇相続登記で法務局に申請するまでのステップは下記のとおり

  • ステップ1:不動産の情報を集める
  • ステップ2:亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を収集して全相続人を確定させる
  • ステップ3:遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成する
  • ステップ4:登記申請書を作成する
  • ステップ5:必要な書類をまとめて法務局で申請をする

〇相続登記のために法務局に行くときは窓口対応時間を必ず確かめる

〇自分で相続登記を進めることが危険な理由は下記のとおり

  • 原本のコピーが少しでもずれるとやり直しになる
  • 少しでもミスをすると親族全員に実印押印を依頼しなければならない
  • 本来使えた税負担を軽減する特例、控除を見落とす

〇専門家に相続登記を依頼したほうがいい理由は下記のとおり

  • 安心感:慣れない相続登記を進めるストレス・負担から解放される
  • 出口戦略:二次相続の税負担軽減まで見据えた戦略を立てられる

相続登記の書類が揃い、法務局の申請に進んでしまうと書類が形式上正しいかどうかの判断しかしてもらえず、節税対策や将来を見据えた設計などの不備に気付くことができません。

「こんなはずではなかった」と後悔する前に、グリーングループと一緒に今の状況を整理してみませんか?

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