
「父が亡くなり相続した土地を売却する予定だ。売却時の譲渡所得の計算に取得費が必要なんだけど、全く分からず、どうやって調べればいいんだろう」
いざ土地を売却するとなり、初めて必要になる土地の取得費。先祖代々の土地だし、どのように調べればいいのか、途方に暮れているかと思います。
土地の取得費は、下記の方法で調べることができます。確実な方法は土地の売買契約書や領収書を探す方法です。

実は、取得費が分かったからといって、安心できるとは限りません。譲渡所得税を算出して「こんなに税金がかかるのか」と不安になる方が多いのです。
【先祖代々の土地の取得費が50円だった例】 相続した土地が代々引き継がれてきた古い土地の場合、当時の購入価格が「50円」など、現在とはかけ離れた金額になっているケースがあります。 例えば、その土地を2,000万円で売却するとします。実際の購入価格が50円だったとしても、売却額の5%にあたる100万円を「概算取得費」として使用できます。 しかし、それでも譲渡費用などを除けば、1,900万円が譲渡利益となる計算です。 売却代金の大部分が利益とみなされるため、税負担が大きくなり、「どうすればいいのだろう」と焦ってしまうこともあるでしょう。 |
取得費だけを知った状態で相続手続きを進めてしまうと、後から税負担を抑えることが難しくなります。
本記事では、土地の取得費の調べ方と、少しでも税負担を抑える方法をまとめて解説します。相続した土地を売却して損をしないためにも、参考にしてみてください。
1章 土地の取得費の調べ方3つ
土地を売却するときに発生する譲渡所得税は、売却額に課税されるのではなく、売却額から土地の購入額や経費を差し引き、儲けた部分に課税される仕組みになっています。
そのため、相続した土地を売却したいときには「土地の取得費」を調べる必要があります。土地の取得費は、主に下記の3つの方法で調べることができます。
最も確実なのは売買契約書・領収書を確認する方法ですが、それが難しい場合にはその他の方法を検討することになります。
土地の取得費の調べ方 | 取得費の算出方法 | 概要 |
土地の購入代金+土地を取得するために直接かかった一定の費用 | 土地を購入したときの契約書・領収書で正確な金額を確認する | |
土地を購入したときの間接的な証拠を集めて、購入額や諸費用の根拠として認めてもらう | ||
土地の売却額×5% | 土地を購入したときの情報がないときに概算取得費として使用する |
ここでは、土地の取得費を調べる方法を具体的にご紹介します。土地を売却するとどの程度税金がかかるのか把握するためにも、参考にしてみてください。
1-1 【一番確実】売買契約書・領収書を確認する
最も確実なのは、土地の売買契約書・領収書を確認することです。
土地の取得費を立証するうえで、この2つの書類は間違いなく「土地をいくらで取得したのか」証明できるためです。
売買契約書とは売主と買主が合意した内容を書面にまとめたものです。決まった書式はありませんが、売買した土地の概要や購入額などが記載されています。
下記の売買契約書の場合は、売買代金、手付金の額及び支払日の項目に土地の代金が記入されるので、いくらで購入したのか把握できます。

出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「不動産売買契約書」
また、土地を取得したときに紙の領収書を発行している場合は、土地の購入代金が記載されているので確実に確認できます。
ただし、相続の場合は、亡くなった人やそれより先代の人が何十年も前に購入したときの契約書・領収書を探すケースがほとんどです。
引っ越しや実家のリフォーム、ご家族のライフスタイルの変化などで、紙書類は非常に高い確率で紛失してしまいます。
相続手続きにおいては、売買契約書・領収書ではなかなか確認できない可能性があるでしょう。
この後に紹介しますが「売買契約書・領収書がないから仕方ない」とそのままにすると、本来ならば支払う必要のなかった税負担がのしかかります。
売買契約書・領収書を探しても見当たらないと思ったら、その時点でグリーングループにご相談ください。
売買契約書・領収書がなくても間接的な証明ができないかなど、他の方法も含めて最適な解決策を提案させていただきます。
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【売買契約書・領収書だけでなく資料も調べよう】 売買契約書や領収書が手元にある場合も、購入時の仲介手数料や印紙代、登記を依頼した司法書士への報酬などが分かる書類も見つかれば、土地の取得費に含むことができます。 より細かく取得費に含まれる費用を算出できれば、その分税金を抑えられる可能性があるので一度確認してみるといいでしょう。 |
1-2 【間接的な証明方法】通帳や住宅ローンの資料を確認する
売買契約書や領収書が見つからない場合は、間接的な証拠として通帳や住宅ローンの資料などを集めます。
下記のような書類を集めることで、土地の購入額を証明する資料として税務署に認めてもらえる可能性があるからです。
間接的な書類の例 | 概要 |
住宅ローン契約書 | ローン契約書の控えや、登記簿の「乙区」に記載されている抵当権の債権額から購入価格を推計する |
当時の預金通帳や振込記録 | 亡くなった人の通帳や振込記録から土地の購入額が引き落とされた形跡を辿る |
当時のパンフレットや価格表 | 当時の販売パンフレットや、新聞の折り込みチラシ、当時の販売価格表を不動産会社や図書館、近隣の同種物件のデータから収集して提出する |
例えば、亡くなった人の遺品を整理するなかで「土地の購入代金を支払ったことが分かる記録があった」「住宅ローンを組んだときの契約書があった」という場合は、土地の購入額を示す証拠として使える可能性があります。
1-3 【どうしてもわからない場合】売却金額の5%を取得費とする
土地の購入額がどうしても分からない場合は、概算取得費を使うことになります。概算取得費は、土地の売却価額の5%を取得費とする考え方です。
【概算取得費】 売った金額の5パーセント相当額を取得費とする |
例えば、5,000万円で売却できた土地の概算取得費は、5,000万円×5%で250万円になります。これだけ見るとあまり違和感がないかもしれませんが、5%しか取得費にできないと譲渡所得が大きくなり、その分税金が高くなってしまうのです。
例えば、相続した土地を1,000万円で売却したとしましょう。売買契約書があった場合と概算取得費を使う場合では、数十万円以上も支払う税金が変わる可能性があります。
【売買契約書があった場合と概算取得費の比較例】 <売買契約書があった場合> <概算取得費の場合> |
※あくまでも一例です
土地の購入額が高かったと証明できれば税金を抑えることはできますが、証明できなければ「売却によって儲かった」とみなされてしまいます。
だからこそできれば、土地の取得費を証明できるように動いたほうがいいでしょう。
【市街地価格指数による取得費の推計は否認されるリスクがある】 土地の取得費がわからない場合、市街地価格指数(全国の主要都市における土地価格の推移を指数化したもの)をもとに購入当時の価格を推計する方法が紹介されることがあります。 実際に、平成12年11月16日の国税不服審判所の裁決では、市街地価格指数などを用いて推計した取得費が認められた事例があります。 しかし、市街地価格指数を使えば必ず取得費として認められるわけではありません。 平成8年以降に市街地価格指数などによる取得費の推計が争われた9事例のうち、推計による取得費が認められたのは2事例のみとされています。取得費がわからないからといって、安易に市街地価格指数から算出した金額で申告するのは避けたほうがよいでしょう。 まずは、取得費を裏付けられる資料がないか徹底的に調査することが大切です。 |
参考:国税不服審判所「平12.11.16裁決、裁決事例集No.60 208頁」
2章 土地の取得費を調べたいのに売買契約書や領収書がないときの対処法
ここまで述べたように、土地の取得費を正確に把握するには、売買契約書や領収書があることが望ましいです。
しかし、どうしても売買契約書や領収書がない場合は「1-2 【間接的な証明方法】通帳や住宅ローンの資料を確認する」方法を実施します。
しかし、間接的な証明方法が認められるかどうか、税務署の判断基準は非常に厳格です。間接的な証拠を見つけても、下記のように税務署から却下されるケースもあるのです。
【パンフレット単体の申請で税務署に却下された例】 パンフレットに「販売価格3,500万円」と印刷されていても、亡くなった人が300万円値引きしてもらった場合、購入額は3,200万円になります。 パンフレットの価格を土地の購入額として認めてしまえば、実際の購入額を不当に過大に見せて、売却時の譲渡所得を少なく申告することができてしまいます。 そのため、パンフレットなどの単体での間接的な証拠だけでは不十分だと却下されてしまいます。 |
【住宅ローンの契約書で税務署に却下された例】 住宅ローンの契約書に「借入額3,000万円」と書かれていた場合、実際の土地の購入額も3,000万円だったとは限りません。亡くなった人が頭金として1,000万円を現金で支払っていた場合、実際の購入額は4,000万円です。 しかし、住宅ローンの契約書だけでは頭金の存在を立証できないため、税務署からは「3,000万円の取得費しか認めない」と切り捨てられることがあります。 |
このように、売買契約書がない場合の間接的な調べ方は、自力で行おうとしても、書類を探す手間がかかる、税務署との不毛な交渉に膨大な時間がかかるなど難しいです。
「土地の取得費を算出したいのに売買契約書がないかもしれない」と分かった時点で、専門家に相談するようにしましょう。
相談に特化した専門家集団であるグリーングループは、ご家族の状況に応じてどのように土地の取得費を調べられそうか判断したうえで、無理のない方法で進めることが可能です。
まずは今の状況をお電話やLINEでお気軽にお話してみませんか?
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3章 相続した土地の取得費が低くても特例次第で大幅な節税が見込めます
相続の場合は土地の取得費を調べていくなかで、想定よりも取得費が低くなるケースがあります。
例えば、下記のように先祖代々続く古い土地を売却する場合は、購入額が非常に低く税負担が膨らむことが考えられます。
【古い土地を売却する例】 相続した土地が代々引き継がれてきた古い土地の場合、当時の購入価格が「50円」など現在とはかけ離れた金額になっているケースがあります。 今、その土地を2,000万円で売却する場合、実際の購入価格が50円だったとしても、売却額の5%にあたる100万円を「概算取得費」として使用できます。 しかし、それでも取得費は100万円にとどまり、譲渡費用などを考慮しなければ、1,900万円が譲渡利益となります。このように、古い土地では取得費が低く、売却時の税負担が大きくなりやすいのです。 |
だからこそ、取得費が低くなる場合は、遺産分割をする前に税負担を抑えるための特例が使えないか、仕込みをする必要があるのです。検討できる主な特例は、下記の2つです。
適用できる特例 | 概要 |
マイホーム特例 | マイホーム(居住用財産)を売ったときに譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる |
空き家特例 | 相続した空き家を売却したときに譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる |
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
これらの特例は簡単に使えるものではなく、厳格な要件があります。「自分は該当する」と思い込んでしまうと、下記のように実は適用から外れており、大きな税負担を背負うことになるのです。
【マイホーム特例が適用されなかった例】 「マイホーム特例で3,000万円まで無税にできる」と考え、自分で名義変更をして売却しました。 しかし、マイホーム特例は「本人が現に住んでいる(または住んでいた)居住用不動産」の場合が対象です。 売却した実家には本人が住んでおらず、特例が一切認められないことに。売却益に対して多額の譲渡所得税が請求されるという手遅れの事態に陥ってしまいました。 |
このように、土地の取得費を調べる際は、単に「いくらで取得した土地なのか」を確認するだけでなく、相続手続きを始める前に戦略を立てて税負担を抑えることを考える必要があります。
4章 グリーングループでは相続を始める前に手元に残る資金を最大化するシミュレーションを実施します
相続した土地を売却するときに、取得費だけを必死に調べても、全体像が見えてこなければ意味がありません。
多くのご家庭が「購入時の契約書は見つかるか」「5%の概算取得費をどう避けるか」という目の前の取得費に注目してしまいがちです。
しかし、実際には誰の名義にして、どのタイミングで売却し、税金をどのように抑えるのかという全体像を設計して計画的に進めることが大切です。
相続に関する相談件数が累計55,193件(2025年10月末現在)と経験豊富なグリーングループでは、相続手続きを始める前に徹底的にシミュレーションをして「土地を売却するとどうなるのか」を掴んだうえで節税対策などをご提案します。
また、グリーングループでは、相続手続き・不動産・税務の各領域が連携しているので、土地の売却方法なども含めたサポートも可能です。
【グリーングループの強み】
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相続手続きは安易に始めて申請を終えてしまうと、簡単にやり直しができません。本来なら支払わずに済んだ税金を支払い、後悔することになるかもしれません。
そのような事態に陥る前に、まずは今の状況をグリーングループにお話してみませんか?
まとめ
本記事では、土地の取得費の調べ方や注意点をまとめて解説しました。最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇土地の取得費を調べる方法は下記の3つ
- 一番確実:売買契約書・領収書を確認する
- 間接的な証明方法:通帳や住宅ローンの資料を確認する
- どうしても分からない場合:売却金額の5%を取得費とする
〇土地の取得費を調べたいのに売買契約書や領収書がないときは専門家に相談する
〇相続した土地の取得費が低くても、適したタイミングで特例を使えば税負担を軽減できる可能性がある
土地の取得費を調べるときには、単に購入額を把握するだけではなく、誰の名義にして、どのタイミングで売却し、税金をどのように抑えるかまで設計する必要があります。
相続した土地を売却して、手元に残る資金を最大化するためにも、グリーングループと一緒にシミュレーションしてみませんか?




