借金は、一定期間を経過すると時効が完成します。

時効というと、刑事事件のように期間が経過すれば、自動的に無効になると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、借金の場合、時効期間の経過後に、時効であることを債権者に主張しなければなりません。これを「時効の援用」といいます。

時効が完成していれば、時効の援用をすることで時効は成立しますが、やり方を間違えてしまったり、何らかの理由で時効が停止・延長されていたりすると援用ができず失敗してしまうこともあります。

この記事では、

  • 時効の援用が失敗するケース
  • 時効の援用が失敗した際の対処法
  • 時効の援用が失敗しないためのポイント

について解説します。

1章 借金の時効援用が失敗するケース

時効の援用は、時効援用通知書を作成して、債権者に送付することで行います。

借金の時効援用が失敗するのは、そもそも時効が成立していない場合や、何らかの事情で時効が中断・更新している場合です。

主なケースは以下のとおりです。

  • 知らない間に訴訟を起こされていた
  • 裁判上の手続きが行われていた
  • 返済した履歴があった
  • 返済する約束をした
  • 時効の完成日を間違えていた
  • 「支払う」と約束してしまった
  • 援用通知書に不備があった

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

時効援用通知書の書式や送付方法などについてはこちらを御覧ください。

1−1 知らない間に訴訟を起こされていた

債権者が借金の返還を求める訴訟を起こした場合、訴訟を起こされた時点で時効はストップします。

また、その訴訟に敗訴し、裁判が確定した場合には、判決の確定日から再度、時効が0からスタートすることとなります。

住民票を移動していないなど、債権者側が居住場所を特定できないような場合には、「公示送達」といって、裁判所に訴訟が起こされたことを掲示する方法を取られることがあります。

そのため、債務者が知らないうちに訴訟が提起されているというケースは少なくありません。

知らないうちに訴訟が提起されている場合、当然出廷することもできません。その結果、自動的に敗訴となり、裁判が確定しているという事態が生じてしまうこととなります。

なお通常、消費者金融や銀行から借りたお金の消滅時効期間は最終返済から5年ですが、判決を取られた場合は判決確定から10年になります。この点も注意が必要です。

1−2 裁判上の手続きが行われていた

債権者が裁判所を通して、借金の返還を請求したり、催告をしたりした場合、その時点で時効がストップします。

その後、債権者が訴訟を提起し、裁判が確定した場合には、前述したとおり、裁判確定時点から再度時効がスタートすることとなります。

また、裁判上の請求や催告の後、すぐに裁判を提起しない場合でも、半年間は時効はストップされることとなります。

「裁判は起こされていないから大丈夫」と思っていても、そもそも裁判所を通して何らかの手続きをされた場合には時効がストップしていることがほとんどですので注意が必要です。

1−3 返済したこと(履歴)があった

金融機関からの債権の場合、「最後に返済された日」を基準とすることがほとんどです。

返済した覚えがなく、時効が完成していると思っていたら、思わぬ時期に返済した履歴があり、まだ時効が完成していないというケースがあります。

1−4 時効の完成日を間違えていた

時効が完成する日は、取引履歴などをしっかりと確認しなければ、明確にすることは難しいでしょう。

自身が思っていた時効の完成日よりも前に、時効の援用をしてしまうと、時効援用通知書の送付元から居住地が発覚し、債権者からの取り立てが再開したり、裁判を起こされたりする可能性があります。

その場合の対応を間違うと時効が停止・更新される事となってしまうこともあるので注意が必要です。

1−5 「支払う」と約束してしまった

時効が成立していても、何かと理由をつけて債権者が支払うよう要求してくることがあります。

それに対し「支払う」と約束をしてしまうと、その時点で「借金を承認した」ということとなり、時効がリセットされてしまいます。

支払うと明確に約束するまでいかなくても、返済のスケジュールを相談するなど、返済する姿勢を見せてしまうと「承認」と判断されるリスクがあります。

もし、時効が成立していそうな借金について、債権者からなにか要求された場合には、安易に答えず、司法書士や弁護士に相談しましょう。

1−6 時効援用通知書に不備があった

時効援用通知書の記載内容に不備があった場合、時効の援用ができない可能性があります。

もし、送付した時効援用通知書に不備があったとしても、債権者側がそれを親切に指摘してくれることは考えにくいでしょう。

また、時効援用通知書から住所が発覚し、取立てが再開したり、訴訟を起こされたりする可能性があります。

裁判で時効を主張したとしても、時効援用通知書に不備があったと主張されれば、争いになりかねません。

時効援用通知書に不備が生じるのは、自身で作成・送付した場合でしょう。時援用通知は、法律で定められた要件・事項をしっかり記載する必要がある法律文書です。自分で作成できるとはいえ、法律の知識のない人が作るのはやはりリスクがあります。

このようなリスクを避けるためにも、時効援用通知書の作成・送付は司法書士や弁護士に依頼することをおすすめします。

2章 借金の時効援用が失敗したらどうなる?失敗した時の対策

もし、借金の時効援用が失敗したら、すぐに司法書士や弁護士に相談してください。

というのも、送付した時効援用通知書から、住所が特定され、取り立てが再開されたり、訴訟を起こされたりする可能性があるからです。

そうすると、せっかく時効が完成していたとしても、時効が停止されたり、更新されたりしてしまう可能性もあります。

司法書士や弁護士に依頼して、状況に応じて適切な対応をしてもらうようにしましょう。

そもそも、時効の援用が失敗するケースのほとんどは、まだ時効が完成していないケースです。

時効が完成していないにも関わらず、不用意に時効の援用をしたことで、これまで催促されずにいた状況が一変し、取り立てが再開されたり督促されたりして、今後、時効が完成する希望が非常に薄くなってしまいます。

時効の援用をする前には、司法書士や弁護士に相談し、時効が完成しているかを確認してもらうことを強くおすすめします。

2−1 取立てや催促が再開してしまったら債務整理も検討しよう

もし、時効の援用が失敗し、取立てや催促が再開してしまったら、債務整理を検討しましょう。

債務整理をすることで、借金額を減額または0にできる可能性があります。

債務整理の種類は主に3つです。

なお、グリーン司法書士法人では、債務整理の実績が豊富です。ご相談者様の借金や経済的な事情に応じて、適切なプランをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。

①任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することによって利息をカットすることで、返済額を減額する手続きです。

任意整理では、財産を失う心配がありません。また、手続きをする借金を選ぶことができるため、保証人が付いている借金などを避けることも可能で、債務整理の中でもリスクが少ない方法です。

②個人再生

個人再生とは、裁判所にこれ以上の借金の返済が難しいことを認めてもらい、手続きすることで借金額を1/5〜1/10程度に減額する手続きです。

減額後は、原則として3年〜5年程度で返済することとなります。

家や車などの財産を失うことなく、借金を大幅に減額することが可能です。

③自己破産

自己破産とは、裁判所を通して、税金や公的費用以外の借金の返済を全額免除してもらう手続きです。

家や車など、高額な財産を手放す可能性は高いですが、その分、手続き後は借金の一切を返済する必要がなくなります。

3章 借金の時効援用通知を失敗しないためには専門家に依頼しよう

「時効が完成しているか」「裁判履歴がないか」は自身で調査するのは難しいのが現実です。

正確な情報を知るためには、司法書士か弁護士に依頼するようにしましょう。

専門家に相談すれば、もし正確な情報を得ることが出来なかったとしても、その場合の対処法も提案してくれます。

借金の時効援用を失敗してしまうと、状況が悪くなる可能性があります。

どうしても自身で対応する場合には、時効援用をする前にしっかりと対策し、失敗しないようにすることが大切です。

以下では、自身で時効の援用をする場合のポイントを紹介します。

3−1 時効完成日を確認する

当然ですが、そもそも時効が完成していなければ時効を援用することはできません。

繰り返しになりますが、時効が完成していないにも関わらず、時効援用通知書を送付してしまうと、それをきっかけに債権者に居住地がバレてしまい、取り立てや催促が再開したり、訴訟を起こされたりする可能性があります。

時効を援用する前に、確実な時効完成日を確認しておくようにしましょう。

時効が完成しているかどうか確認する方法は以下のとおりです。

時効完成日を確認をする方法

金融機関や消費者金融からの借金の場合、消滅時効は最終返済日の翌日から起算します。

過去に債権者から請求書や督促状が届いている場合、その書面に最後の返済日などの情報が記載されていることがあります。そこの情報から計算して、時効の完成日を確認することが可能です。

もし、書面に情報の記載がない場合や、手元に何の資料もないような場合には、信用情報機関に自身の情報の開示を請求します。

ただし、過去のすべての借金情報が信用情報機関に登録されているわけではありません。

また、通知書が届いた後に、訴訟を起こされていたり、裁判上の手続きをされていた場合には、時効が中断・更新されている可能性もあります。

書面上の情報や、信用情報機関の情報だけで判断するのは避けるべきです。司法書士などの専門家に相談し、調査を依頼するようにしましょう。

3−2 訴訟や裁判上の手続きが行われていないか確認する

最終返済日から起算し、時効が完成していたとしても、途中で訴訟を起こされていたり、裁判上の催告などの手続きがなされている場合、時効が停止・更新されている可能性があります。

そもそも、債権者から取立てや督促がされていないのは、居住地が不明であることが理由であることが多いでしょう。

そのため、訴訟を起こされていたり、裁判所を通して催告をされていたりしても、書類が手元に届いていない可能性があります。

債権者は住所が分からなくても、公示送達といって、裁判所に訴訟を起こすことを掲示する手段を取れば訴訟を起こすことができるのです。

そのため、時効を援用する前には、過去に訴訟を起こされていないかなどを確認しておくようにしましょう。

過去に訴訟や裁判上の手続きがなされていたか確認する方法

訴状や裁判所からの催告書が届いていたり、債権者から送られた書類の中に事件番号などが記載されたりしていれば、裁判所で事件記録を閲覧することができます。

しかし、そもそも訴状が届いている場合、それを無視する方はほとんどいないでしょう。無視をすれば、自動的に敗訴となり、強制執行は免れないからです。

また、債権者からの書類に事件番号が記載されていることはほとんどありません。

過去に訴訟や裁判上の手続きがなされていたか確認するには、司法書士などの専門家に相談しましょう。

もし、どうしても裁判履歴を調べることが出来ない場合には、時効の援用をしてみるしかないこともあります。ただし、安易に時効の援用をしてしまうと、結果的に損をしてしまうケースもありますので、その場合も司法書士などの専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。

4章 時効援用通知を失敗したくない方はグリーン司法書士法人にご相談を

「そろそろ時効を迎えているかも」と感じたら、まずはグリーン司法書士法人にご相談ください。

グリーン司法書士法人は、債務整理の専門家として、数多くの案件を解決に導いた実績があります。

時効援用の準備はもちろん、万が一時効援用ができなかった場合の対処法についても提案させていただきます。

初回のご相談は無料です。オンラインでの相談も受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。


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山田 愼一

代表司法書士山田愼一

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