忘れた頃に届くことが多い督促状ですが、記載された請求金額に驚く人は珍しくありません。
こうしたケースでは、遅延損害金が含まれていることがあります。
あまり聞きなれない「遅延損害金」ですが、実際に支払う必要はあるのでしょうか?

ここでは遅延損害金について詳しく解説し、計算方法や解決方法を分かりやすくご紹介します。
トラブルにならないために、正しい知識を持って解決しましょう。

1章 遅延損害金とは

遅延損害金は、支払うべき金額を期日までに返せなかった場合に発生します。
たとえば、ローンや借り入れ、家賃、知人からの借金などを期日までに支払わないと上乗せされる形で請求されることがほとんどです。

遅延損害金は、支払うべき金額と遅延している期間によって金額が変わります
大きな金額を長期間支払わずにいると、遅延損害金も大きな金額になってしまう場合があるので注意しましょう。
場合によって延滞利息や遅延利息と呼ばれることもありますが、内容は同じです。

1-1 遅延損害金は滞納に対するペナルティ


遅延損害金とは

遅延損害金が発生するのは、支払い期日の翌日からです。
支払いを滞納したことに対するペナルティとなるため、滞納が始まった日から発生することになります。
債務不履行による損害賠償金の1つとなる遅延損害金は、金利が高く滞納が長期になればなるほど高額になりやすいことが特徴です。

遅延損害金と混同しやすいものとしては、「利息」が挙げられます。
利息も借りたお金に対して発生するものですが、遅延損害金とは違い債権者が運用利益として受け取るお金です。
滞納している、滞納していないに関わらず、お金を借りたら当然に発生するものです。

そのため支払いを滞納すると、借りた元金に利息、さらに遅延損害金を支払う必要が出てきます。
ただし、利息は元金にのみ発生するため遅延損害金に対して二重で発生することはありません。

1-2 遅延損害金は滞納している金額にかかる

遅延損害金は、あくまでも滞納した金額のみを対象として発生します。


遅延損害金は滞納している金額にかかる

このように分割で支払いをしている場合は、一度滞納したからといって元金すべてに対して遅延損害金が発生することはありません。

たとえば100万円の借り入れをして、10万円分の支払いをする期日に間に合わなかった場合、遅延損害金は支払いが間に合わなかった10万円のみを対象として発生します。
ただし一括での支払いを約束していた場合には、期日を過ぎたら全額に対して遅延損害金がかかるので注意しましょう

1-3 遅延損害金は年率14.6%から20%が一般的

遅延損害金は高めに設定されていることが多く、年率は14.6%から20%が一般的です。
たとえば、住宅ローンの場合は14.6%とされることが多く、消費者金融の場合は20%とされることが多くなっています。
ただし各ローンや金融機関で年率はそれぞれ設定されているので、実際の年利を知るためには契約内容の確認が必要です。

契約時に定めがない場合は、民法で定められた年率が適用されます。
2020年4月に改正された民法で定められている遅延損害金の年率は、3%です。
逆に遅延損害金の年率が20%を超える場合は違法である可能性もあるため、司法書士や弁護士へ相談するといいでしょう。

2章 遅延損害金の支払い義務はある

遅延損害金の支払いは、多くのケースで契約によって定められています。
また、契約内容に遅延損害金の支払いについて定められていなかった場合でも、民法で定められています。
ですので、遅延損害金は、支払うべきお金であり支払義務があることを覚えておきましょう。

3章 遅延損害金がかかるときに起こる3つのデメリット

遅延損害金が発生するということは、支払い総額が増えることになります。
しかし遅延損害金がかかってしまう状況においては、経済的な負担が増えるほかにも3つのデメリットがあることに注意しましょう。

3-1 滞納するとブラックリストに掲載される

支払義務があるお金を支払わずにいると、ブラックリストに掲載されてしまうリスクがあります。
ブラックリストに掲載されると、今後新たにローンを組めなくなる可能性があるので注意しましょう。
またクレジットカードが使えなくなってしまう場合もあり、不便を感じる場面が多くなります。

ブラックリストに掲載されるということは、信用情報に傷がつくということです。
一般的には2~3ヶ月ほどの滞納でブラックリストに掲載されるといわれていますが、明確な基準はありません。
ただし滞納してすぐにブラックリストに掲載されるというわけではないので、滞納に気づいたらなるべく早く支払うことが大切です。

3-2 裁判を起こされる可能性がある

支払いを催促する電話や書面への対応を怠り滞納を続けていると、裁判を起こされる場合があります
一般的には滞納から2ヶ月ほどで督促状が届き、一括での支払いを求められます。
これに対応せずにいると、裁判を起こされる可能性があるのです。
裁判を起こされた場合、出廷して今後の支払いについての協議をすることになるでしょう。

督促状についての詳しい解説はこちら
督促状を無視するのは危険!差し押さえされる前に知ってほしい対処法

3-2 預貯金や給与、不動産を差し押さえられる可能性がある

裁判所からの通知に対応せずにいると、財産などを差し押さえられる可能性が出てきます。
預貯金や不動産だけでなく、給与についても差し押さえられる可能性があるので注意しましょう。
場合によっては、裁判の判決によって差し押さえられる場合もあります。

差し押さえにおけるデメリットは強制的に不動産を売却されることがあるだけでなく、勤務先への通知がいくこともあることです。これによって支払いを滞納していることが勤務先に露呈し、社会的な信頼を失うことにもつながります。
仕事を続けることが困難となり、職を失い生活が破綻する可能性も出てきます。

4章 遅延損害金の計算方法


遅延損害金の計算方法

遅延損害金は、下記の式で求めることができます。

借入額×年率×滞納日数÷365日=遅延損害金

支払いが遅れている借入額に、契約書などで定められた年率をかけます。
さらに1日あたりの遅延損害金を算出して滞納日数をかければ、支払うべき遅延損害金が分かります。
ここからは、いくつかの事例で遅延損害金の計算を見てみましょう。

4-1 分割で返済をしているケース

まずは、借入をして分割にて返済しているケースについて解説します。
返済額は毎月7万円で遅延損害金の年率が20%の場合です。
2ヶ月弱となる50日間延滞した場合の遅延損害金は、下記の式で算出できます。

(7万円×20%×30日÷365日)+(14万円×20%×20日÷365日)

1ヶ月目は支払うべき借入額が7万円なので、7万円×20%×30日÷365日となり1,150円が遅延損害金となります。
しかし2ヶ月目に入ると、支払うべき借入額は2ヶ月分の14万円に増えることがポイントです。
遅延損害金は14万円×20%×20日÷365日で1,534円となり、50日間の合計は2,684円となります。

4-2 一括で返済するケース

分割返済ではなく、一括で返済するケースでは、計算式がシンプルです。
ここでは、借入額が60万円、遅延損害金の年率が20%で40日間延滞した場合も見てみましょう。
計算式は、下記となります。

60万円×20%×40日÷365日

計算すると13,150円となり、これが支払うべき延滞遅延損害金となります。

4-3 住宅ローンにて期限の利益を喪失しているケース

住宅ローンは、一般的な借入よりも高額であるケースがほとんどです。
この場合、遅延損害金も大きな額になりやすいので注意しましょう。
ここでは、残元金が3,000万円で期限の利益を喪失した場合の計算をご紹介します。
延滞損害金の年率は14.6%と想定し、20日間経過した場合です。

3,000万円×14.6%×20日÷365日

これを計算すると240,000円となります。
1ヶ月弱でこの金額になってしまうため、長期となれば金額が跳ね上がることも珍しくありません。

5章 遅延損害金を払いたくない人が知っておくべき対処法

遅延損害金は、法律によって支払いが義務づけられています
しかし、場合によってはどうしても支払いができない場合もあるでしょう。
そういったケースでは、いくつか講じられる対処法があります。
ここでは6つの方法をご紹介するので、状況に応じて検討してください。

5-1 滞納前に借入先に返済猶予のお願いをしてみよう

あらかじめ返済が厳しいことが分かっている場合には、滞納する前に借入先に相談するといいでしょう。
滞納してしまうと遅延損害金が発生してしまい、返済の相談も難しくなってしまいます。
そのため滞納する前に支払う意思があることを示し、返済していくための相談をすることがポイントです。
場合によっては、借入先が返済プランの見直しをしてくれたり、返済期間を延ばしたりしてくれる場合があります。
また、一定期間のみですが金利のみ支払えばいいことにしてくれることもあるでしょう。

いずれにしても、滞納がある状態での返済猶予のお願いは難しくなっています。
現状で滞納分がある場合は、まず滞納分を支払ってから相談するとベストです。

5-2 時効成立していないか確認しよう

借入金にも消滅時効があります。
消滅時効を迎えた借入金については、事実上返済する義務がなくなります
5年以上の期間、返済していないケースであれば、消滅時効が成立している可能性があるので確認しましょう。

2020年に改正された民法によると、「権利を行使できる時点から10年(商行為による債権は5年)」もしくは「権利を行使できることが判明してから5年」で消滅時効となります。
また銀行や消費者金融からの借入金は「商行為」なので、5年で消滅時効となります。

消滅時効の可能性が高いケースでも、下手に連絡をすると、時効が成立しなくなる場合もあります。
そこで、借入から5年以上経っていて請求もされていない場合でも、司法書士や弁護士に相談することをおススメいたします。

5-3 遅延損害金の免除や減額の交渉をしてみよう

支払い義務のある遅延損害金ですが、交渉をすることで減額や支払いの免除を受けられる場合もあります。
金融業者からの借入では交渉は難しいですが、個人間や金融業者以外の企業ならば交渉が成立することも少なくありません。
ただし、本来は支払い義務があるものについて交渉することになるため、簡単にはいかないことも覚えておく必要があります。

交渉をまとめるためには、具体的な返済計画を提示すると効果的です。
たとえば、期日までに必ず一括で返済するという条件ならば、交渉が成立することもあるでしょう。
また毎月定額を必ず期日までに支払うという条件も、場合によっては受け入れてもらえることもあります。
いずれにしても、支払うことへの誠意を示すことが大切です。

5-4 司法書士や弁護士に債務整理を依頼しよう

現時点の経済状況ではどうしても返済できないという場合には、司法書士や弁護士へ相談して債務整理を視野にいれてみましょう。
債務整理をすると、返済額を減らしたり支払いを免除したりすることができます。
そのため返済が厳しく生活の立て直しも必要である場合には、債務整理が効果的です。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
それぞれについて、詳しくご紹介しましょう。

1:任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することで返済しやすくする方法です。
金利を下げたり返済期間を伸ばしたりすることで、返済が生活に支障をきたしにくくすることができます。

詳しい解説はこちら
任意整理の流れと注意点の全てが一目で分かる詳細かつ簡単な解説

2:個人再生

個人再生には、裁判所への申し立てが必要です。
主に大きな金額の返済で選ばれる方法で、返済額を大幅に減らせる可能性があります。
返済すべき元本そのものを、大幅に減らすことができることがポイントです。

詳しい解説はこちら
個人再生はどんな流れで進む?相談から返済完了までの手続きを解説

3:自己破産

自己破産を行うと、すべての返済を免除できます。
ただし裁判所で破産宣告をしたうえで、免責許可を受けなければなりません。
また不動産などの資産については、ほとんど全て処分する必要があります。

詳しい解説はこちら
自己破産にかかる期間は?借金ゼロまでどのくらい待てばよいか

5-5 住宅ローンを滞納している場合は任意売却しよう

住宅ローンを滞納しているケースでは、任意売却という方法も有効です。
任意売却は、債権者である金融機関の同意を得て、住宅ローンが残っている状態で不動産を売却します。
売却益は住宅ローンの返済に充てることができるので、返済額を減らすことが可能です。
ただし、返済がすべてなくなるというわけではありません
残っている住宅ローン総額よりも売却益が下回る場合には、さらに債務整理が必要となる場合もあります。
そのため、任意売却する場合には司法書士や弁護士に相談すると安心です。

詳しい解説はこちら
任意売却とは?通常売却との違いからメリットデメリットまで徹底解説

5-6 住宅ローンを滞納している場合はリースバックという方法も検討しよう

任意売却をすると、家は売却されて住み続けることができません。
しかしリースバックという方法を活用すると、売却をしてもそのまま家に住み続けることが可能です。

リースバックは、滞納している住宅ローンを支払うために不動産を売却し、その不動産を賃貸として借りる方法となります。
引越しをせずに済むのでメリットのある方法ですが、誰でも簡単に利用できるわけではありません。
リースバックを利用するためには、残っている住宅ローンを一括返済できる金額で不動産が売却される必要があります。
また、買い手との間で支払い可能な家賃を交渉できるかという問題もあります。
ハードルの高い方法ですが、どうしても家に住み続けたいという場合にはリースバックについて検討するのもいいでしょう。

まとめ

遅延損害金は、法律で定められているため支払う義務があります
ただし、場合によっては返済額が減ったり免除してもらえたりするケースもあります。
対処法はいくつも挙げられますが、どの方法を選ぶにしても早めの行動が大切です。

遅延損害金を含む返済については、一人に悩むよりも専門家へ相談してみるといいでしょう。
グリーン司法書士法人では、遅延損害金や返済についての相談を承っています。
専門家の意見を取り入れて、正しい方法で返済を進めていきましょう。

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3つの債務整理にはそれぞれ違った特徴があるため、状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
また、どの債務整理をする場合でも信用情報に傷がついてしまうことも覚えておきましょう。
債務整理をすると、5~10年は新たな借入やローンの利用ができなくなることも覚えておくべきポイントで

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相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
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